文字の大きさ
大
中
小
139 / 256
断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
真の絶望
「……まさか、この私が1回死ぬとは、思っても……いませんでした」
その声は、確実に———あの肉片より聞こえている。
……『1回死ぬ』だと?
まるで何回も死ぬ事が可能のような———否、おそらくそうなのであろう口振りが、最悪の予感を加速させる。
そうか、永遠不死者…………!
「まぁ……たった1度では、私を打倒など———無に等しく、あり得ない話ですが」
そう発せられた方角に、薄れかけた意識をもう一度傾けると———
上半身だけ再生した、男の姿が垣間見えていた。
「…………最……後、まで…………顔を、隠す…………なんて……」
……しかし、その顔は———やはり、右手に持った黒き仮面によって完全に隠されており。
結局男の正体については、白髪ということ以外には何も分からず。
まあ、そっか。
どこまでも敵わなかった、時間稼ぎになったかすら分かりはしない。
結局、その男にとっては———全て、茶番だったのだ。
「…………無意味、でしたね。……そんな事の為に命を散らさなければ、まだ貴方は生きられていたというのに」
「生きられていたのに」
くだらない言葉だった。
既に生に意味はない、期待など微塵もしていない私にとって、その言葉は何より無意味な言葉だった。
結局、私もアイツらと同じだった。
結局、私も人間だった。
だからこそ、死ぬ時はこうもあっさりと、こうも呆気なく、こうも無意味に———死んでゆく。
……でも、やっぱり今の私には、あの日々が———、
3番隊で、なんだかんだ仲良くやってたあの日々こそが、一番楽しかったんだな、と。
そう思ってしまったから、悪夢はここまで続いてしまった。
……でも、それも終わった。
死ぬ事を願われ、最後の最後で生きる事を願われた怪物は、たった今———死に絶えた。
その覚悟も、その決意も。
結局はどこまでも非力で、どこまでも無力で、どこまでも無意味だったのだ。
「……ツ…………バサ、君……………………分かった、今すぐ…………死んで、あげる……から、てんごくで………………まってて、ね……?」
ノイズに包まれてゆく、その薄れかけた景色は———私の心に安寧をもたらす。
「レイラちゃん…………怯え、ないで…………ね…………他人と接する事を…………やめた貴方、なんて……誰も、見たくはない…………でしょう、から……」
「…………さようなら、貴方は実に———よく働いてくれました」
———無惨にも、その身体は宙を舞った。
その声は、確実に———あの肉片より聞こえている。
……『1回死ぬ』だと?
まるで何回も死ぬ事が可能のような———否、おそらくそうなのであろう口振りが、最悪の予感を加速させる。
そうか、永遠不死者…………!
「まぁ……たった1度では、私を打倒など———無に等しく、あり得ない話ですが」
そう発せられた方角に、薄れかけた意識をもう一度傾けると———
上半身だけ再生した、男の姿が垣間見えていた。
「…………最……後、まで…………顔を、隠す…………なんて……」
……しかし、その顔は———やはり、右手に持った黒き仮面によって完全に隠されており。
結局男の正体については、白髪ということ以外には何も分からず。
まあ、そっか。
どこまでも敵わなかった、時間稼ぎになったかすら分かりはしない。
結局、その男にとっては———全て、茶番だったのだ。
「…………無意味、でしたね。……そんな事の為に命を散らさなければ、まだ貴方は生きられていたというのに」
「生きられていたのに」
くだらない言葉だった。
既に生に意味はない、期待など微塵もしていない私にとって、その言葉は何より無意味な言葉だった。
結局、私もアイツらと同じだった。
結局、私も人間だった。
だからこそ、死ぬ時はこうもあっさりと、こうも呆気なく、こうも無意味に———死んでゆく。
……でも、やっぱり今の私には、あの日々が———、
3番隊で、なんだかんだ仲良くやってたあの日々こそが、一番楽しかったんだな、と。
そう思ってしまったから、悪夢はここまで続いてしまった。
……でも、それも終わった。
死ぬ事を願われ、最後の最後で生きる事を願われた怪物は、たった今———死に絶えた。
その覚悟も、その決意も。
結局はどこまでも非力で、どこまでも無力で、どこまでも無意味だったのだ。
「……ツ…………バサ、君……………………分かった、今すぐ…………死んで、あげる……から、てんごくで………………まってて、ね……?」
ノイズに包まれてゆく、その薄れかけた景色は———私の心に安寧をもたらす。
「レイラちゃん…………怯え、ないで…………ね…………他人と接する事を…………やめた貴方、なんて……誰も、見たくはない…………でしょう、から……」
「…………さようなら、貴方は実に———よく働いてくれました」
———無惨にも、その身体は宙を舞った。
感想 203
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第五章リード王国編
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
『嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います』
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。Sランクモンスターが美少女に擬態して迫ってくる! どうするオッサン!?
巻き込まれただけの高校生、冒険者になる
クラスメイトに疎まれ、馬鹿にされ、蔑まれる男子高校生。
少し頭のネジが外れた彼だが、少ない友人や、家族の事だけは大切にしている、至って普通の高校生。
そんな彼がいつも通りの日常を送っていると、唐突に地面に穴が開き迷宮に落とされてしまう。
そこで出会った仲間と共に外を目指すが、数々の困難に出会い苦戦を強いられる事となる。
これは平凡な高校生が色々な悩みを抱えながら異世界を歩き、家族との再会を望む成長の物語。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
『「命の恩人を見つけたから、お前との婚約を破棄する!」――お嬢様を捨てた領主様、その“ミストロンの奇跡”は私ですが?』
「命の恩人を見つけた。だから、お前との婚約を破棄する!」
領主から突然婚約破棄を告げられた令嬢。
彼が新たな婚約者に選んだのは、10年前に魔物の群れから自分を救ったという“ミストロンの奇跡”の女性だった。
だが、その女性は本当に奇跡の英雄なのか。
そして、婚約破棄された令嬢を幼いころから育ててきた地味なメイド・エナメルには、誰も知らない過去があった。
やがて大量の魔物が都市へ襲来したとき、偽物の奇跡と、本当の奇跡の正体が明らかになる。
※本作は『メイドのエナメルは今日も静かにお仕えします』シリーズの一作です。本作単体でもお楽しみいただけます。
婚約破棄されたので泣こうと思ったら、隣の王子が爆笑していました
婚約者に大勢の前で婚約破棄され、涙を流そうとした公爵令嬢リリアーナ。
ところが、その場にいた隣国の第二王子はなぜか大爆笑。
「その婚約者、昨日も別の令嬢に愛を誓ってたよ?」
その一言から、元婚約者の嘘は次々と暴かれ、自滅の連続!
泣くはずだった婚約破棄は、笑いと溺愛にあふれた人生逆転劇の幕開けだった。
恋人より先に、夫婦になった。
少子化対策の一環として創設された、全国唯一の実験校「国立未来共生学園」。
新入生たちは最新AIによって将来、最も幸せな家庭を築ける相手とペアを組み、3年間の模擬夫婦生活を送ることになる。学年トップクラスの優等生・神崎悠真の相手は、全国レベルのスポーツ少女・天海美羽。正反対の二人は衝突を繰り返しながらも、少しずつ互いを理解していく――。
これは、恋より先に「夫婦」を学ぶ二人の青春ラブストーリー。