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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
「白」
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「……そうだよな、見損なったよな、なんとでも言ってくれ、どこまで行ったって俺は惨めなんだ、他人の死をも厭わなくて、その腐った根性を変えようとできなくて……しなくて!
だから俺は戦わない方がいいんだ、関わらない方がいいんだ…………その方が…………誰かにとっても…………いい判断だろう……?」
饒舌にも、その口は腐った心の底をつらつらと吐き連ねる。
「…………本っ当に見損なったさ。…………変われないからって、戦わない決断をしたことがだよ…………!」
噛み締めるように、震えながら、ツバサはそう告げた。
ツバサを盾にした事でも、死にたくないだとか言う腐った根性を持っちまった俺でもない、戦う事を諦めた俺に対する———言葉だった。
「ああ……そうだ、俺は変われない、どこまで行ったって変われはしないさ、だからもう全部諦めた、俺には何も———」
「…………っ!!!!」
ツバサはディルの胸ぐらに掴みかかり、強引にもその身体を壁に打ち付ける。
「変われない……なんて、そんな事…………当たり前だろう…………!……そうだ、変われはしない、人は過去の罪から反省しようと考えても、変わることはないさ…………昔の頃の俺がそうだった!」
「なら分かってくれるはずだろ、俺の痛みが、悩みが分かるはずだろう……!」
「分かるさ、痛いほど分かる……だけど、『だから戦わない』なんて結論に至る思考回路は、微塵も分かりはしないさ……!」
「……!」
「そうだ、そうだった……1年前……魔王と戦っていた時の俺がそうだった、いいや今だって変われちゃいないかもしれない……そんな人生だったさ……」
何度も何度も。もう脳が腐るほど思い出した、ある日の空模様。
「俺は過去に罪を犯した、この手で何人だって……斬り殺してきたさ、それでも……俺自身は変わることができなかった、いざ同じ状況に置かれた時、俺はまたもや———快楽のためだけに人を殺した!」
「だからなんだって言うんだよ、同じなわけないじゃないか……お前に何が分かるんだよ!」
「…………それでも、何度罪を犯そうと俺は戦ってきた、それが贖罪になると信じて!……でも、それが実を結んだかは、今の俺にすら終ぞ分かりはしなかった……
それでも、今までの人生の中にでも、俺にはチャンスがあった、何度だって———戦えるチャンスがあったんだよ!」
『今の話とは関係ない』———なんてディルが口走ろうとした瞬間、またもや白はディルを押し倒す。
「……そのチャンスを乗り越えて、俺は『ようやく贖罪は終わった』と何度だって思った。
人を救って、俺が殺した人の分を生きるのが俺の贖罪だと思っていたから、それでもいいと思ったんだ、それでも十字架を背負った旅を、俺の中の運命は終わらせちゃくれなかった!
チャンスを乗り越えて、ぬか喜びで心の中で踊り狂った後に訪れたのは……また足踏みで、……ずっと、ずっと俺はその繰り返しだった!
……それでも、そこには微かでも変わるチャンスがあって、俺はその度に———勘違いかもしれないけど、前に進めてる気がしたんだよ!
それで少しでも、俺の罪が軽くなったような気がしたんだよ……!」
「チャンス……だって……俺にもそんなものがあると、お前はそう言いたいのか、なあ、ツバサ!」
「…………今の俺はツバサじゃない。……もうすでに、血と罪と罰に染まった人斬りだ。……だからこそ、お前にこうしてモノが言えるんだ。罪ならば、この身に何度だって浴びてきたさ!
だからこそ、お前には…………お前だけには、戦う事を諦めてほしくないんだ、それでずっと罪に囚われるようなザマには……なってほしくないんだよ…………っ!」
……(無言。)
ずっと、その後は無言だった。
はちきれんばかりの想いを伝えた白と、それについて考え伏した———否、その言葉と事実に呆然としていたディルの吐息のみが、その空間の静寂を支配していた。
……そこで。
「……それでも、俺は戦わない」
言われてしまった。
それだけは絶対に言わせまいと身構えていた白をも、その言葉の威力には気圧される。
「………………そうか。……ならば、…………言いたくはないが、ここで終わらせる為に———言っておく。
漢には、やらなきゃならない時があるんだ。……そこを見間違えるな、そうしたなら———後悔することになるから」
言い終わった白は立ち上がり、物陰にて隠れていたニトイを連れ、その場から颯爽と立ち去る。
これでよかったんだ。
俺は、孤独の方がよかったんだ。
一生罪を背負って、罪に囚われて生きていく?
———それでも、俺は———。
「……そうだよな、見損なったよな、なんとでも言ってくれ、どこまで行ったって俺は惨めなんだ、他人の死をも厭わなくて、その腐った根性を変えようとできなくて……しなくて!
だから俺は戦わない方がいいんだ、関わらない方がいいんだ…………その方が…………誰かにとっても…………いい判断だろう……?」
饒舌にも、その口は腐った心の底をつらつらと吐き連ねる。
「…………本っ当に見損なったさ。…………変われないからって、戦わない決断をしたことがだよ…………!」
噛み締めるように、震えながら、ツバサはそう告げた。
ツバサを盾にした事でも、死にたくないだとか言う腐った根性を持っちまった俺でもない、戦う事を諦めた俺に対する———言葉だった。
「ああ……そうだ、俺は変われない、どこまで行ったって変われはしないさ、だからもう全部諦めた、俺には何も———」
「…………っ!!!!」
ツバサはディルの胸ぐらに掴みかかり、強引にもその身体を壁に打ち付ける。
「変われない……なんて、そんな事…………当たり前だろう…………!……そうだ、変われはしない、人は過去の罪から反省しようと考えても、変わることはないさ…………昔の頃の俺がそうだった!」
「なら分かってくれるはずだろ、俺の痛みが、悩みが分かるはずだろう……!」
「分かるさ、痛いほど分かる……だけど、『だから戦わない』なんて結論に至る思考回路は、微塵も分かりはしないさ……!」
「……!」
「そうだ、そうだった……1年前……魔王と戦っていた時の俺がそうだった、いいや今だって変われちゃいないかもしれない……そんな人生だったさ……」
何度も何度も。もう脳が腐るほど思い出した、ある日の空模様。
「俺は過去に罪を犯した、この手で何人だって……斬り殺してきたさ、それでも……俺自身は変わることができなかった、いざ同じ状況に置かれた時、俺はまたもや———快楽のためだけに人を殺した!」
「だからなんだって言うんだよ、同じなわけないじゃないか……お前に何が分かるんだよ!」
「…………それでも、何度罪を犯そうと俺は戦ってきた、それが贖罪になると信じて!……でも、それが実を結んだかは、今の俺にすら終ぞ分かりはしなかった……
それでも、今までの人生の中にでも、俺にはチャンスがあった、何度だって———戦えるチャンスがあったんだよ!」
『今の話とは関係ない』———なんてディルが口走ろうとした瞬間、またもや白はディルを押し倒す。
「……そのチャンスを乗り越えて、俺は『ようやく贖罪は終わった』と何度だって思った。
人を救って、俺が殺した人の分を生きるのが俺の贖罪だと思っていたから、それでもいいと思ったんだ、それでも十字架を背負った旅を、俺の中の運命は終わらせちゃくれなかった!
チャンスを乗り越えて、ぬか喜びで心の中で踊り狂った後に訪れたのは……また足踏みで、……ずっと、ずっと俺はその繰り返しだった!
……それでも、そこには微かでも変わるチャンスがあって、俺はその度に———勘違いかもしれないけど、前に進めてる気がしたんだよ!
それで少しでも、俺の罪が軽くなったような気がしたんだよ……!」
「チャンス……だって……俺にもそんなものがあると、お前はそう言いたいのか、なあ、ツバサ!」
「…………今の俺はツバサじゃない。……もうすでに、血と罪と罰に染まった人斬りだ。……だからこそ、お前にこうしてモノが言えるんだ。罪ならば、この身に何度だって浴びてきたさ!
だからこそ、お前には…………お前だけには、戦う事を諦めてほしくないんだ、それでずっと罪に囚われるようなザマには……なってほしくないんだよ…………っ!」
……(無言。)
ずっと、その後は無言だった。
はちきれんばかりの想いを伝えた白と、それについて考え伏した———否、その言葉と事実に呆然としていたディルの吐息のみが、その空間の静寂を支配していた。
……そこで。
「……それでも、俺は戦わない」
言われてしまった。
それだけは絶対に言わせまいと身構えていた白をも、その言葉の威力には気圧される。
「………………そうか。……ならば、…………言いたくはないが、ここで終わらせる為に———言っておく。
漢には、やらなきゃならない時があるんだ。……そこを見間違えるな、そうしたなら———後悔することになるから」
言い終わった白は立ち上がり、物陰にて隠れていたニトイを連れ、その場から颯爽と立ち去る。
これでよかったんだ。
俺は、孤独の方がよかったんだ。
一生罪を背負って、罪に囚われて生きていく?
———それでも、俺は———。
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