上 下
16 / 28

16

しおりを挟む
「よちよちよちよち、よちよちよちよちだいすきですよーよちよち……よちよち…………」

丘梨栄枯は青年を抱きかかえながら眠りについた。
初吐い信開始から吐い信者ここまで休まずぶっ通しだ。
長時間のダンジョンでの活動で想像していたよりも彼女の身体は疲弊していたのだろう。

青年もまた仰向けに寝た彼女の腕の中胸の中で落ち着くぬくもりとニオイと快楽にくるまれていき、ぽやぽやとする頭で心地の良い夢の中へとおちていった。

すやすやと大人しくなった粗悪なベッドの上、後方に立っていた仙人はそっと2人に布団をかけた。



90443ぼこ:これ日本神話らしいね
90498ぼこ:↑仙人もおるしな
90503ぼこ:ねんねしな
90504ぼこ:やわらかな眠りにつくんだよ。
90566ぼこ:眠りにつくんだよ!
90677ぼこ:眠りにつくんだよ。
90732ぼこ:丘梨栄枯はホトプレあやしてたら眠りにつくんだよ。
90743ぼこ:え……寝た?
90800ぼこ:↑眠りにつくんだよ。
90808ぼこ:なんやねんこれ……
90862ぼこ:ホトプレママ(31)やわらかな眠りにつく
90870ぼこ:死のダンジョンの日常
90888ぼこ:仙人グッジョブ
90889ぼこ:仙人やさしい
90890ぼこ:てか新キャラおるんだが
90900ぼこ:金髪ポニテショートデニム!?
90901ぼこ:主人公不在(爆睡)で謎の新キャラ投入
90902ぼこ:絶対このタイミングじゃない!


「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

粗悪なベッドの前、突っ立つとなり。

程々の距離パーソナルスペースの外で向かい合った両者。
綺麗なエメラルドの瞳がじっと仙人を見つめている。


90999ぼこ:ちょっと待て……
91000ぼこ:しーーん……
91001ぼこ:サイレント
91009ぼこ:まさかの後方寡黙ポジ被り
91010ぼこ:てかかわいい
91011ぼこ:きゃわわ
91068ぼこ:しゃべれや!
91087ぼこ:外人!?
91100ぼこ:後方異国寡黙金髪ポニテショートデニム美少女
91111ぼこ:↑これがおまえらってマジ?
91112ぼこ:へぇおまえら後方異国寡黙金髪ポデ美少女だったんだ
91118ぼこ:おまえらガチャLR
91160ぼこ:ヒロイン交代なんだってな
91177ぼこ:なんなんやろねこの静寂は……
91185ぼこ:アレ「あの……沸いてるんですけど」
91198ぼこ:↑丘梨、寝落ちだってよ


「探索じゃな、異国の若者よ付き合ってくれるか?」

「…………!」

金髪ポニテショートデニムは少しおどろき、うんうんと二度ゆっくりと頷いた。
仙人の言葉は異国の若者に通じている。
そしてまたじっと見つめる先、すやすやと心地よいなんともいい寝顔で眠る栄枯と青年。
エメラルドの瞳は仙人に指差しで何かを言いたげに確認をうながす。

「うむ初ダンジョン、栄枯は疲れておるのじゃろうしばらくそのまま寝かしておくのじゃ。栄枯の武器を拝借し行こう、幸いここは精霊の泉じゃ水には困らんじゃが4人分の食材とこの先攻略を有利にすすめるのに必要なカード、まだまだ序盤じゃが脱出ののど飴も運良く探し出さねばならんからのぉ」

顎に手をやりあごひげをすりすりと、仙人は目をほそめてニッコリと金髪の異国人に微笑んだ。


91255ぼこ:せ、仙人がしゃべったぁ!?
91287ぼこ:クソ長長文仙人!?
91300ぼこ:仙人しゃべれた
91333ぼこ:しゃべらずキャラで行くつもりが仕方なしにしゃべったって感じに見える
91360ぼこ:さすが仙人、周りがよく見えてる
91390ぼこ:異国の若者なんかしゃべれ
91421ぼこ:金髪ポニテ美少女はしゃべらなくても美味!
91443ぼこ:後方寡黙ポジを譲ったもよう
91444ぼこ:このままじゃチームサイレントになるからな
91500ぼこ:↑いちばんサイレントじゃないやつがぐーぐー寝てるだけなんだよなぁ…
91555ぼこ:てか起きろや丘梨アホ子
91567ぼこ:ホトプレママだからね
91598ぼこ:ねーむれーねーむれー
91599ぼこ:とりあえずホトプレそこ代われ
91630ぼこ:え、主役不在!?
91700ぼこ:は? 仙人しゃべったファン辞めます
91721ぼこ:↑なんとなくはわかる(笑)
91750ぼこ:カレー引き伸ばし夢幻突破
91765ぼこ:セックスして寝るな吐い信者!


「さぁ、はじまっていますべらぼぅにつづいているんじゃのぅ。丘梨栄枯のダンジョンうまい飯第1話しるふぁんかれー……こんな感じかの、合っているか異国の者よ」

うんうんと笑いながら頷き、ぼこぼこチューブの使い方を白髪のお爺さんにレクチャーする金髪美少女。

白く細い少女の指が宙に展開したビジョンを指でタッチし設定されていた有料吐い信を解いた。

AIカメラが映したのはアップになる仙人、白とグレーの混じった髭面、ながくウェーブした剛毛、野生味を感じるその姿。
長い時を過ごし、何かを悟った目をしている。
だがまだ諦めていないギラついたものを感じるそんな目だ。


ぼこ:待って! え、ちょっとまって
ぼこ:丘梨栄枯きたわね
ぼこ:きったねぇ丘梨栄枯!
ぼこ:丘梨栄枯(71)
ぼこ:丘梨栄枯(81)
ぼこ:丘梨栄枯ちゃんがんばれー
ぼこ:これ丘梨栄枯らしいな
ぼこ:ふざけんな!
ぼこ:さすがに乗っ取りは笑った
ぼこ:丘梨栄枯死んだんだってな
ぼこ:ちゃんと使えてえらい
ぼこ:仙人と金髪美少女の吐い信(無料)
ぼこ:↑一向に作れないカレー教室が有料なのがバグだからね、ええ、ひじょうに
ぼこ:かわいい外人は正義
ぼこ:栄枯ヒロイン交代だってよ
ぼこ:もうこれでいんじゃないかな
ぼこ:さすが丘梨栄枯呪いでじじいになっても吐い信する吐い信者の鑑
ぼこ:栄枯は戦闘不能よーん
ぼこ:てかしゃべれ異国女!


すでに吐い信者と青年の眠る拠点メルヘン&ぐりーんを離れ、第1死の道中を移動。
既に制圧した小部屋でぼこぼこチューブとAIカメラを拝借し、
お疲れの吐い信者に代わり仙人と金髪ポニテ少女は生吐い信を始めたところである。
並ぶ2人、荒れる死鳥舎の打つ大量のぼこをしばし眺め、


「うむ、では丘梨栄枯が起きるまではダンジョン探索レクチャー動画といこうかの」

「まずは、武器じゃな。ダンジョンの武器といえばなんじゃ?」


ぼこ:カタナ
ぼこ:AK-47
ぼこ:盾
ぼこ:傘
ぼこ:掃除機
ぼこ:キッチンミトン
ぼこ:ドーナツ
ぼこ:ナス
ぼこ:素手
ぼこ:相撲
ぼこ:金属バット
ぼこ:メリケンサック
ぼこ:バーベキュー皿
ぼこ:ロボット!
ぼこ:肉塊ハンマー


「ふむふむ、色々でとるが。正解はダンジョンに武器はない」

「正確にはワシの知る限り死のダンジョンに滅多に武器はないじゃな、基本的には現世から電子境界へと己に合った武器を持参する必要があるのぅ」

「そしてこのブラック武器、ワシも初めて見たわい。栄枯はダンジョンの悪魔にも気にいられるほどモッテいるのー。非常に強力な武器じゃろう、成長ポテンシャルも他よりぐっと高くなっているじゃろうな。売ればこの小さな果物ナイフでも……一本で億はくだらん? かのぅ」

「成長とは、カードおっと詰め込みすぎダンジョンで脳の栄養を使いすぎるのはよくなかったの。ともかく切り札のカードと戦いの基本となる武器戦闘これを駆使してたたかうのが死のダンジョンじゃ! おっと、おぬしらにもある誰彼ひとつはある個性的なスキルもあるのーそれはまた次回じゃな」

ブラック果物ナイフを手にした仙人はそれの刃表裏をじろじろと眺めて、
やがてカメラ目線。
ひだりの指を立てて死鳥者にグッジョブと仙人スマイルをお送りした。


▼94000ぼこ突破▼

ぼこ:クソみたいな問題!
ぼこ:へぇー
ぼこ:さすが仙人
ぼこ:チュートリアル仙人
ぼこ:しってた
ぼこ:1番チュートリアルが必要なヤツが眠ってる件
ぼこ:↑眠りにつくんだよ。
ぼこ:長文仙人のせいで俺も眠りにつきそう
ぼこ:↑さすがにもっと脳つかえ
ぼこ:脳の栄養はあんま使ってないけどちんぽの栄養垂れ流してたヤツならいたな
ぼこ:仙人のダンジョン攻略日記
ぼこ:てか億ってまじ
ぼこ:億万長者栄枯
ぼこ:そりゃ生吐い信中でもかまわず寝るわ
ぼこ:栄枯様に飼ってもらう方法
ぼこ:けっきょく死を恐れないものがダンジョン成功者なんだよね
ぼこ:栄枯は馬鹿やってるけどこいつそういや死にに来たもんな
ぼこ:死のダンジョンの死者数(自殺者)が多いのも事実だけど
ぼこ:まぁ栄枯は死のダンジョンで肉塊ゆがいて緑液捨ててんだけど
ぼこ:え、仙人講座つづくかんじ?
ぼこ:吐い信者丘梨栄枯はやわらかな眠りにつくんだよ。
ぼこ:ブラック武器持ってるやつをしらんからなんともいえん
ぼこ:ブラック武器ってなんなん?
ぼこ:みんな知らんよ。だって吐い信中にブラック武器出たやつは全員死んでるからな
ぼこ:↑は?
ぼこ:衝撃的事実絵得非常に
ぼこ:おまえらが急に明かすなよ…なんなの…?
ぼこ:え、ガチ?
ぼこ:↑ええ、ひじょうにも!
ぼこ:億万長者、まぁ生きて帰れればだけどね



マリアレポート⓰
ブラック武器

ふむ。ブラック武器……謎だらけのこの武器について分かっていることは。

・ブラックサンダー死のダンジョンに蓄積された強烈な死電子を浴びた武器
・ブラックサンダーを浴びればダンジョンカードはブラックカードなるものに変容する
・持参する通常の武器よりもおそらく性能と成長ポテンシャルは高い

武器を持参し【LR】天使の祝福と悪魔の悪戯を発動しごくごく稀に起きるブラックサンダーを浴びれば入手可能だ。
他にもダンジョン攻略中に突然前触れもなくブラックサンダーが落ちて運良く浴びてしまうこともある。
だが……ブラック武器を手に入れてしまったものはその後全員なんらかの形で狂い死に、死んだが不思議にも黒ずんだ武器は元のフツウの武器に戻るという。

とにかく持ち帰ってきてもらわないとさすがにみんなの先生でも愚推するしかない。


死電子とはなにか……?

おいおい優性電子の生電子があればそれに対する死電子があるものだ。
世の中は上手くバランスを取る必要がある、じゃなきゃ人はとっくに滅びているそれはわかるだろう? ふふ。
たったそれだけのことさ。
ところでブラックサンダーも蓄積されたものを放出する一種の制御の利かないバランス取りのようにわたしは愚推するが? ふふふ、キミはどう考える? ぜひとも先生に聞かせてくれ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

お兄ちゃんは僕のもの

BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:157

異世界マンションの管理人

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:124

月が導く異世界道中

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:58,078pt お気に入り:53,916

酔った俺は、美味しく頂かれてました

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:74

処理中です...