僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

エル

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過去~高校生編1

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ーside 水野慶太ー

まだ冬の名残がある少し肌寒い四月初め。

僕は県立修蘭高校へと入学した。


季節外れの雪のように花びら激しく舞う桜並木を少し誇らしげに、そして少し気恥ずかしく学校へ続く道を歩いたこと覚えている。


新入生代表の挨拶をと学校側から要請され昨晩必死に考えた。


勉強だけはがむしゃらに頑張ってきたんだ。

それだけが僕が誇れる唯一のものだと言ってもいいほど、僕には何もなかった。


お金も、家族も。

何もない僕。


奨学金をもらわなければ学校にも通えない僕。

頑張らざるを得なかった勉強。


一人で生きていくことを課せられている僕の人生。


そう。

君に出会うまでは。
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