僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

エル

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過去~高校生編1

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ーside 水野慶太ー

いや、なんで?

バイト終わって外に出てみれば待ち伏せされてて。

食事に誘われて、断って。

で、気づけばここ、みたいな。


お金がかかるとかかからないとか以前に。

なんで(あくまで)知らない人の家に行くことになってるの?


今日はまっすぐうちに帰って。

昨日作ったカレーの残りでカレーうどん作って。

食べ終わったら読みかけの本の続きをゆっくり読むはずだったのに。


そのはずだったのに。

僕のボロボロのアパートとは比べるのさえ申し訳ないほど、モダンで真新しいマンションに着いてしまった。


デザイナーズ、ってやつだろうか。

顔良し、頭良し、そしてさらに金持ちなのか?

二物じゃなくて三物も与えられてるのですか?


ぼへぇ、っと間抜け面で建物を見上げている僕は背中を押されてエレベーターに乗り込んだ。


「あのさ、桐生くんは…」「玲人」

「きりゅ…」「玲人」

「…玲人は、まさかここに一人で住んでる訳じゃ、ないよね?」


お願いだから違うと言って欲しい。


「んなわけねぇじゃん。」

「あ、そ、そうだよね。いくらなんでも…」

「親、あんま来ねぇけど。」


そう言うのを一人暮らしと言うのではないでしょうか?

そう突っ込みたくなる僕は間違ってないと思う。


「ま、確かにでけぇけど俺の金で買ったもんじゃないし。親の金を自慢しても意味ねぇだろ。」


ははっ、となんでもない感じでそう話す。

意外としっかりしているのかもしれない。


「連れ込むにはかなり役立ってるけど。親に感謝感謝!」



前言撤回。
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