転生竜と賢者の石な少年

ツワ木とろ

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1章

【1】覚醒したら檻の中①

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 アタシの自我が目覚めた時、
目の前にはとてもキレイな少年がいた。

「起きた‥‥」

 透き通るような白い肌。
銀髪。眉毛もまつ毛も銀色。
ルビー見たいな瞳。
それと同じ位赤い唇でカタコトに話す少年。

   カワイイ‥‥
   アナタのお名前は?
「ミュー‥‥」

 アタシが発したのは鳴き声だった。
 何かおかしい。

「大丈夫。怖くない‥‥」

 アタシがキョドってるから怖がってると思ったのか
少年が声をかけてくれる。
見た感じ10歳位なのにやけに大きい

 アタシが小さいのか‥‥
 ああ、これ、アタシ、何か人間じゃないモノになってるわね
 アタシたぶん、死んで転生してるわね

 天国で誰かとそんな話したような・・・
 そもそも何回目の転生かしら?
 覚えていようと思った夢を後日思い出してるみたいな、全体的にフワッとした感じ。
 たぶん大事な事は忘れてるって、それすら曖昧。
 思い出せない事は後にして、今の状況を確認してこうかしら。
 まず、自分の事から。


 手も足も白いモフモフね。

「よしよし‥‥」

 少年が頭を撫でてくる。
 彼の名前が分からないから、とりあえずショウタロウ君と呼ぼうかしら。
 触られた感触から耳は上に長そうね。
 ウサギかしら。
 でも、シッポが黒とかげなのよね。
 しかも背中にドラゴンみたいな翼が生えてる!
もしかして飛べるんじゃない?

  バサッ  フワッ

 翼をひろげて羽ばたかせると、いとも簡単に飛べた。
 耳やシッポを動かすのも当たり前に出来て、なんだか気持ち悪い。
 自分の姿が見てみたい。何処かに鏡はないかしら。

 辺りを見渡すと、そこが異様なのがわかった。
 大きな岩壁の部屋の中心に大きな檻。屋根の形状からして鳥かごみたい。
 その中にアタシとショウタロウ君が居る。

 檻の中にはトイレ、バス、ベッドが仕切り無しで設置されていて、
 何処で何してても何処からでも丸見え。
 そして、ショウタロウ君は何も着てない。丸出しだ。

 檻の外、部屋の端に机と椅子が1つずつ、こっちに背を向ける形で置いてある。その上に鏡が見える。
 鉄格子の隙間はだいたい20cm。
 アタシが翼を畳めば通れそうね。
 行ってみようかしら

「ダメ、行かないで!」
   大丈夫。遠くには行かないから
「ミャミュー」
   伝わったかしら

 ピョンピョンと楽々檻を抜け、
フワフワっと飛び立ち、机の上、鏡の前に降り立った。
 鏡に映るアタシは人間ではなかった。

   まぁ、そうよね

 思った通りの白兎に黒いとかげのシッポと翼。見事なツートン。

   以外と有りなんじゃない?

 鏡の前でポーズを決め込んでたら、本が2冊あるのに気が付いた。
分厚い表紙の重厚感のある本。
 1冊には『失敗の副産物』と題打ってある。

   字が読めるわね、アタシ

 理由なんて考えても思い出せないから気にしないどこ。
 自分がだいぶ冷静な事にはちょっと驚いちゃうけど‥‥

 もう1冊には『キメラ7』と書いてある。
とりあえず、近いそちらを開いてみた。


 ◆
 7体目のキメラ。
 前回と同じ方法で子ウサギと飛竜系のファイアドラゴンの幼生を掛け合わせた。

 合成後1日目、前回同様皮膚がただれ、うめき声を上げ出す。
 放置すれば前回と同じ結果になるだろうが、今回はルーシの血を飲ませてみた。
 すると、一瞬落ち着くがしばらくするとまたうめきだす。
それが幾度も続く。

 経過を観察する。

 2日目、経過変わらず。

 3日目、徐々にうめく頻度が減って来ている。

 4日目、また、頻度が減った。

 5日目、1度もうめかなくなったが、目を覚まさない。

 6日目、昏睡状態。このまま数日目覚めなければ解剖する。
そのタイミングも今後の経過次第で判断する。
 ◆


 たぶんアタシの事よね。もう少しでバラバラにされるとこだ!?
 ルーシの血ってなにかしら。

「ほぉほぉ!」
   え、なになに?!なによこのババァ
「成功かねぇ。」

 突然背後から現れた老婆に持ち上げられ、回されひっくり返される。

「ほんに成功じゃ」

 そして勝手に歓喜されてる。

「ぬしよ、火は吐けるか?」
   何いってんの?いいから降ろしなさいよ!女に抱き抱えられても嬉しくないのよ!
「そうよのぉ。そもそも幼生は吐けないんじゃったわ」

 そう言って老婆はアタシを檻に投げ付けた。
 イカれてるわこの人。
 ショウタロウ君は縮こまってる。老婆が怖いのかしら。

「プァトシャハリタェウィバトタクヒルイブラクタラブイフリータ『業火』」

 老婆が呪文みたいなのを唱えると強烈な痛みに襲われた。
 たぶん火傷。根性焼きなんて比じゃないレベル。
 意識と目は動かせるけど、後は無理。痛いし皮膚がただれて縮み上がって動けない。

「!!」

 倒れてるアタシをショウタロウ君が抱き抱えてくれた。
 こんな天使みたいな子に看取られるなんてこれはこれで幸せね。
 憎たらしいけど、

   ババァ、グッジョブ‥‥

 意識が遠退いて行くアタシの口に、ショウタロウ君の指が入れってきた。
 血の味がする。
 火傷でただれた喉に血の水分が染み渡る・・・

   あら?治った?
「良かった‥‥」

 ショウタロウ君は安堵して腰を下ろした。
 どういう事?

「キメラ、火を吐いてみよ」

 きょとんとしてると、またババァが訳のわからない事を言い出す。

   うっせぇなババァ。やんぞ、うぉら!

 ゴォーー!

 暴言吐いたら、声の変わりに火が出た。
 なんで?
 もっかい試してみよう。

   ショウタロウ君!

 出ない。

   ババァ!

 出ない。

   殺すぞうぉら!

  ゴォーー!

 出た!

   殺すぞ!

 出ない。

   うぉら!

 ゴォーー!

 出た!
 『うぉら』と殺意が発生条件てとこかしら。

「上手くいったな。ルーシよおぬしは便利よのぉ。 引き続きそやつの世話は任せたぞ」
「‥‥」

 ショウタロウ君がアタシの頭を撫でる。それが老婆への返事みたい。
 ってか『ルーシ』って君の名前なのね。
 老婆は椅子に座り、何か書き物して立ち上がると、
机のすぐ側に現れた隠し扉から外に出ていった。

 あの老婆、格好だったり、呪文唱えて火を起こしたり‥‥絶対、魔女よね。
 彼女が何を書いたのか見たい、もう一度机に行ってみよう。
 ルーシの脚や手にスリスリして何処にも行かないからねアピールをしてから檻を出たので今度は何も言って来なかった。

 『キメラ7』に追記があった。

 ◆
 7日目、意識を回復した。どちらが主体か分からないが別種のパーツも動かすことが出来る様だ。
 成功と見ていいだろう。なので次の実験をしてみる。

 ドラゴンの幼成は、火の中で生き残る事が出来たら、火を宿すと言う伝承に基づき、『業火』を浴びせた。
 死にかけにルーシの血を飲ませると即座に回復す。
 火を宿した事も確認し、これも成功した。
 ◆

 やっぱりアタシってキメラなのね。
 ルーシ君の血で回復って‥‥
 彼、なにもの?
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