転生竜と賢者の石な少年

ツワ木とろ

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1章

【2】覚醒したら檻の中②

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 目を覚ましたら、ご飯して、ルーシと遊んび、疲れたら寝る。
 おっきな鳥かごの中でずっとそんな暮らしをしている。

 ルーシは可愛くていつまでも飽きないけど、遊びが追いかけっこ位しかない。
 なので勉強もさせてみようと試みてるんだけど、言葉が通じないから進展しない。
 床に爪で文字やら数字やら書いて見せても、アタシが絵を描いてるって思ってるみたい。
「キミは器用だね」
 彼って言葉はよく知ってるのよね。
 たぶん老婆の話から吸収してるんだろうから、ホントはすごく賢いんだと思う。
 ルーシって難儀な生い立ちだから、どうにかここから出して外で生活させてあげたい。


 机の上にあったもう1冊はルーシについての本だった。
 あまりにもイカれた内容だったので、彼の体質が証明してなかったらとても事実とは思えなかった。

 あの魔女のババァは何十年もかけて、666人の6歳の子供の心臓を冷凍保存してたらしい。
 その心臓を使って賢者の石なるものを作ろうとしたら、何故かルーシが誕生した。
それは思ってた結果じゃなかったらしい。
 失敗にキレたババァはアタシにした様に魔法で焼き殺そうとしたんだけど、
彼は無傷だったんだって。
 ナイフで刺しても抜くと傷がなくなる。
 その後、色々試しても、一瞬傷付くけど直ぐ治っちゃう。
 だから、彼が『完全治癒薬』?なんじゃないかと、
この檻の中に閉じ込めて実験を始めたんですって。
 アタシが生まれる前にだいたい実験は終わってたみたい。
 読む限り、髪や爪ならいざ知らず、体の至る所を削り、
出るもの全て採取した結果、血が回復薬なんだと結論付けて、それからはその血を使った研究をしてるみたい。
 アタシもその血のお陰で助かったのよね‥‥

 そんなん読んだ後じゃ、ババァが来る度に無抵抗に血を抜かれてるルーシがいたたまれなくて、
アタシ、噛みついてやったわよ。
 焼き殺してやろうかともしたけど、奴は水とか雷とかも魔法で打ってくるので、負けちゃった。
 挑むたんびに返り討ちにあって、そのたんびにルーシが指噛みちぎって血を飲ませてくれる。
 アタシが死にそうになってる時に見せる彼の表情、潤んだ目がとても辛くって、抵抗出来なくなっちゃった。
 今ではアタシが邪魔しないように持って来られた普通の鳥かごに素直に入ってあげてるわ‥‥

 そんなこんながだいたい二年かしら‥‥

  ガタン

 久しぶりに扉の開く音がした。
 ババァは研究に没頭してるのかわからないけど、
1度来るとだいたい1ヶ月は放置プレイ。
 来る度にルーシの血を抜いて、エサとしか思えないドライフードの入った木箱を置いて帰るってルーティン。
 アタシ的には一生現れなくてもいいんだけど。
 今日は半月ほどぷりに来やがった。

 魔女が来たのに気づくとルーシはすぐさまアタシをカゴの中に入れる。
 彼がそうしつけられてるのは嫌だけど、もう抵抗はしない。
 出来ないと言うか今のアタシじゃ彼が泣くだけ。
 それが悔しいわ。

「見て!」
 
 今日はやけに声が弾んでる。何だか声色も若い気がする。
 気になって見上げると、
30代前半って感じの女が立っていた。

   誰?

 ルーシも分からないみたい。

「ワタシよ。サーリアよ。」

 そう言いながらそいつは檻の中に入ってきた。

「若返りの薬が完成したのよ。」

 檻の鍵を持ってるし、特徴的な涙ボクロとよだれボクロが
確かにババァっぽい。
 ってか名乗られても、名前とか初めて聞いたし。

「肌もそうだけど、内側も元通り。曲がった腰も伸びて」

 女性なら当然だけど、彼女はとても嬉しそうで饒舌になってる。
 雰囲気まで柔らかるなってる。

「垂れた肉も引き締まったわ。ほら見て!」

 いくら嬉しいからって脱ぐんじゃないわよ!
 ルーシが真っ裸だから抵抗感薄いのかもしれないけど、

   そんでもってターンすな!

 たしかに、元のババァの裸を見たこと無いからアレだけど、
出るとこ出て引っ込む所引っ込んで、色っぽい体つきをしている。
 アタシは無反応だけど‥‥

「あら、やだ」

 サーリアがルーシを見下ろして止まってる。

「いつの間に?大人な反応出来るようになったのね。」

   ‥‥キャー!!

 ホントに大人になってるぅ!
年頃的に条件反射みたいなものよね?
 恥ずかしくって見られない!

「ちょうど試して見た事があったのよ。だからこれから新しい実験をしましょう。」

 サーリアは脱いだローブを取り、アタシの鳥かごに掛けた。
 やめて!見えなくしたってアタシ、耳がいいのよ!
 前足で耳塞いだって聞こえて来ちゃう。
 ベッドがきしむ音なんて聞きたくない!!


 二人の情事が盛んに行われる事はなかった。
 数回はあったけど、彼女からしたら必要数のサンプルがとれたんでしょう。
 ルーシの方はと言うとサーリアが現れると股間を隠す様になった。
 トラウマ植え付けられたのね‥‥かわいそうに。
 何はともあれ彼が猿にならなくて良かったわ。
 アタシを撫でる時の瞳はまだピュアなままだった。

  ガタン

 今度は1ヶ月ぶりに来やがった。
 アタシを鳥かごに入れ、ルーシは三角座りをした。
 普段ならすぐに採血みたいな事するのに、今日は行わずに食料を足してる。
 見ると彼女は赤子を抱いていた。

「ミュー!ミュー!!」
「どうしたの?!」
   あの魔女が赤ちゃん抱いてるのよ!それってまた拐って来て実験に使うに決まってるじゃない!
「ヴュー!!!」
「落ち着いて!」

 何も知らないルーシはアタシがおかしくなったと思ったのか、指を噛みちぎって差し出して来た。

   ごめんねルーシ、今それを飲んだ所で治らないの。怒りは収まらないのよ。
「うるさいわね」

 魔女は檻を出て、本を持って出ていった。
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