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1章
【4】外は森でした②
しおりを挟むリネットが言うには、この森は半日あれば横断出来る位の大きさしかないらしい。
アタシ達が居た場所がだいたい真ん中って話だから、四半日も歩けば外に出られるわね。
先頭をニコラ、次にルーシとアタシ。
後ろにリネットがいて、しんがりがヴィオラをおんぶしたセドリックの一列で歩いている。
進みながらも色んなものに興味を示すルーシに、リネットが付き添って名前などを教えてくれている。
なので進むのが遅い。
でも、牛歩ばりなのにヴィオラが文句言って来る事はない。
むやみに憎まれ口叩く娘じゃないんだろうけど、今はそれどころじゃないって感じでしょうね。
セドリックに何度も「重くない?」って聞いちゃってる。
「そろそろ暗くなって来たわね」
まだ日は落ちてないだろうけど、森の中なので日差しが弱い。
「~~~~『ライト』」
シュポッ
急に全員の足元にホタルのみたいな明かりが灯った。
「これは『ライト』って魔法でね、初歩的な、ほとんどの人が扱える魔法だから今度教えてあげるね」
ルーシの足元にも一つ灯ってる。
所作からしてたぶんヴィオラが掛けてくれたみたい。
それから3時間ほど、日も暮れて『ライト』を足元だけじゃなく、前方も照らして進んで行くと、小山があった。
触れたわけではないけれど、たぶん氷。
ニコラが触れると直ぐに溶けてなくなっちゃった。
中には馬車と馬二頭。生きてるからカマクラみたいな形状だったんでしょう。
「今日はここで夜営しよう」
セドリックが言う。
「今日はわたしが夕飯作るわ。火の準備は誰かお願い」
ヴィオラは靴を返してもらうと馬車に向かった。
裸足になったルーシはまた足裏の感触を楽しんでいる。
「今晩はここに泊まって、明日の朝に森を出るから。そしたら初めて見るものがまた沢山あるわよ、きっと。だからご飯食べてゆっくり寝ましょ」
「キミの友達も同じもの食べられるのかしら?」
大丈夫よ。今なら何でも食べられるわ
ヴィオラはスープを作った。
野菜がメインで具だくさんだけど、細かく切ってある。
消化しやすそうで助かるわ。何より温かいのが嬉しい。
ルーシは温かいものが初めてだから、最初はお椀持つのも恐る恐る。
廻りの人の食べ方見てゆっくり一口食べてた。
美味しいって分かったとたん、久しぶりのご飯なのもあって
一気に食べて、おかわり貰ってたわ。
「ルーシ、眠いなら馬車行きましょ。毛布あるから」
食べ終わるとルーシは直ぐにウトウトし始め、リネットに手を引かれて行った。
アタシも行こっと。
「あの変わった動物、本当ルーシに懐いてるわね」
「ルーシ直ぐに寝ちゃったわ。」
リネットが戻ってく。
「あの子これからどうなるのかしら」
「協会に呼ばれて取り調べ受けるかも知れないな。」
「取り調べって、ルーシは監禁されたあげく放置されただけでしょ?」
「分からないけど、そうだとしても質問される位はあるんじゃない?」
「ポーションの製造も確認出来なかったわけだし、誘拐事件になるのかな」
「彼は概ね被害者だろうから事情聴取位で済むだろうけど、あの動物はどうでしょうね」
「新種なのかしら」
「たぶん、キメラだと思うわ」
「ウサギとトカゲとコウモリの?」
「ウサギとドラゴンじゃないかしら」
「そんなレアな魔獣使わないでしょ」
「成功する自信があれば使うんじゃないか?犬と混ぜて手懐けるとか」
「キメラって違法なの?」
「違法じゃないわ。どうせ失敗するから取り締まらないって噂だけどね」
「本当にキメラだったら尚更だけど、新種だったとしても調べ尽くされそうね」
「あの子達、離れ離れにするのは可愛そうよ。何とか出来ないかしら」
「保護しただけのアタシ達なんかじゃ、ギルマスに相談してみる位しか出来ないんじゃない?」
アタシって、外出たらヤバかった奴だったのかしら。
まぁ、ルーシを連れ出すのが目標だったから、まずは目的果たせて良しとしよう。
並んで昇る大小2つの月が馬車の屋根で見えなくなった頃、
「う・・あぁぁ!!くっがぁ!!」
突然ルーシが苦しみ出した!
頭抱えてる!
「どうした!ルーシ!」
みんな馬車に駆け寄る。
どうしたの?どうしちゃったの?何か手の甲光ってるし‥‥
「‥‥君はちょっと離れてようか」
セドリックがアタシをつまみ上げる。
ちょっと何するのよ!いくらイケメンにでもやるときはやるのよアタシ!
「なんだ」
ヴィオラが拍子抜け見たいな言い方しやがる。
「大丈夫よ」
リネットがルーシを抱き締める。
「これは大人になる儀式見たいなものだから。始めはすごく頭が痛いけど、じきに治まるわ。大丈夫。ワタシ達もみんな同じだったから」
「今は頭に入らないかもしれないけど、これは『受紋』て言って13歳になる日の夜に妹神様が加護を授けて下さるの」
ニコラがルーシの手を取ってそっちを見ながら言った。
「両手に紋があるわ‥‥!」
ニコラが急に興奮しだした様に見える。
「ニコラ!落ち着いてからにしてよ!」
リネットがニコラをルーシから遠ざける。
そうこうしてる内に確かにルーシの頭痛は治まったみたいだ。
セドリックも見計らってアタシを解放してくれた。
「ルーシ、落ち着いた?良かったら紋章見せてくれないかしら」
「ニコラ、あなたが興奮するのも分からなくは無いけど、彼も突然の事で混乱してるだろうし、明日出発してからでもいいんじゃない?」
そうよそうよ。
アタシのちょっと後位に近付いて来たニコラを軽く威嚇してやった。
「‥‥そうね。ごめんなさい。ちょっとワタシ興奮してるわね」
「ちょっと所じゃないんじゃない?紋章研究家さん」
ヴィオラが意地悪口調で言う。
「確かに、ワタシも落ち着いてからの方が良いわね。ごめんなさいルーシ。また明日、おやすみ」
「おやすみ、ルーシ」
リネット以外が荷台から降りてった。
「今日は色々あって疲れたね。寝るまで一緒に居るから、安心してお休み」
リネットがそう言ってルーシと一緒に毛布にくるまった。
「きみも一緒に寝たいの? いいよ」
変な気起こさない様に2人の間に潜り込んだんだけど、今日はさすがのアタシも疲れたわ。
寝堕ちしちゃいそう。
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