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1章
【21】居候させて頂きます
しおりを挟む「お帰りなさいませ。まぁルーシ様、いらっしゃいませ」
ガイウス邸では、またピレティアさんが出迎えてくれた。
「彼、3ヶ月位ここで暮らす事になったから」
「左様でございますか」
「お世話になります」
「まぁご丁寧に。こちらこそ宜しくお願い致します。では、直ぐに料理の準備をさせますね」
もう夕食時か。最近は目まぐるしくて、起きてても1日が早いわ。
直接ダイニングに向かうとテルティア達が既に着席していた。
「お帰りなさい。あれ?ルーシ君達も一緒なの?」
テルティアが面食らってる。
昨日、長いお別れになるつもりで居たんだもの無理もないわ。
カシウスはムスッっとして次に誰か入って来ないか扉を見てる。
「ルーシ君とナナチャだけだよ。彼等、当分この家で暮らす事になったから」
「ホント!?わぁ嬉しい」
テルティアが目を輝かせて喜んでくれた。
カシウスはしかめっ面のまま無言。
「まずは私達も席に着きましょうか」
「ああ。そうだね」
この前とは席順が違ってて、扉から遠い方のお誕生日席にガイウスさん。
彼から見て左にロジバールさん。その隣にカシウス、ハマール。
右にエイミラット、テルティア。
通常はこうなのかしら。ルーシはテルティアの隣に座った。
「よろしくね」
テルティアがルーシの膝の上に座るアタシの頭を撫でる。
「獣も一緒に食べるのかよ」
カシウスがまた憎まれ口を叩く。
「いいじゃない。この前は何も言わなかったくせに」
「この前は特別だろ。ペットと一緒に食事する奴がどこに居るんだよ」
「カシウス、やめなさい」
ガイウスさんの低い声、はじめて聞いたわ。
ペットと一緒にご飯する人なんて五万と居ると思うけど、人の家でご馳走になる時に無断でテーブルに付かせる飼い主って、確かに非常識よね。
「アタシ、端っこにいるね」
ルーシの膝から降りて、壁際にちょこんとしてみる。
「ナナチャ可哀想。カシウスが変なこと言うから遠慮しちゃったじゃない」
全力でしおらしくしてみる。
「‥‥分かったよ。一緒でいいよ」
カシウスが折れた。
ハマールがそっと彼の肩に手をやるが、突っぱねられてシュンとしてる。
なんかしおらしいじゃないの。
「おかえり。ナナチャ」
ルーシの膝に戻ったアタシの頭をテルティアがまた撫でてくる。
そんなやり取りしていると、料理が運ばれて来た。
一緒にアタシ用の椅子まで運んでくれて、ルーシの隣の席と交換してくれた。
テルティアは名残惜しそうでけど、食事中に撫でられてもうっ
と惜しいし、自分で言うのもなんだけど、動物触った手でご飯食べるのはおすすめ出来ないから、ちょうど良かったわ。
料理はパンとサラダとシチュー。
「昨日より少ないからビックリした?」
「そんなことないよ。おいしい」
「ウチは特別な事がない限りこんな感じの食事なんだ」
へー。王族なのにだいぶ慎ましやかなのね。
「でもどうして一緒に暮らすことになったの?」
食事を取りながらテルティアが聞く。
「冒険者になる為に特訓する事になったんだよ」
「とっくん?」
「そう。平日はロジバールから指導受けて、週末はエイミラットとハマールも含めて昨日のメンバーと合同演習しようと思ってるんだ。2人もやるかい?」
「やる!平日もやりたい!」
とテルティア。
「平日は学園から帰って来たらね」
「‥‥」
「カシウスは?」
「‥‥週末だけなら」
「よし。じゃぁそんな感じで、ロジィよろしくね」
「畏まりました。週末はガイウス様も参加して頂きますので」
「え?僕はいいよ」
「そうは参りません。側役が1人も付かない訳にはいきませんので、強制参加にございます」
「あぁ‥‥ そうだね。わかったよ‥‥」
ガイウスさんの元気が急になくなる。
運動嫌いなのかな。
「それだと、平日のローテーションもかわりますか?」
とエイミラット。
「そうですね。当分は私がルーシ殿と居ますので、お2人にお願いする事が増えます」
「分かりました」
「慣れてきたらルーシ殿のお相手も変わって頂くかと思います。私とだけでは片寄ってしまいますので」
「わかりますた」
気になる程じゃないけど、ハマールって少し訛ってるのね。
その所為かなんだか段々可愛く見えてきちゃった。
「トランプしよ。ババ抜き」
食後、テルティアの提案で5人でトランプすることになった。
ルーシ、テルティア、カシウス。それにお付きの2人ね。
リビングの端にあった丸テーブルと椅子をを真ん中に持ってきて、カードを切り出す。
馬車の中でも遣ってたからルーシも出来るけど、あの時はみんな手加減してくれてたのよね。
「何か賭けないのかい?」
「お父様は黙ってて!」
「はいはい。じゃぁ先にお風呂に行こうかな」
そう言ってガイウスさんとロジバールさんがリビングを出ていった。
彼等が帰って来るまでに何戦したかしら。
ルーシの全敗ね。ブービーはほとんどハマール。
「それじゃぁ、私達もお風呂に参りましょう」
今度はエイミラットとテルティアが出ていく。
「それじゃぁ、彼女達の代わりに僕らがはいろうか?」
ガイウスさんとロジバールさんがテーブルに着く。
「ババ抜きはもういいよ。お前ら弱すぎ」
カシウスが椅子にふんぞり返る。
「2人とも素直な方ですから、ババ抜きには不利でございますね」
ロジバールさんは見てなかったのに分かってる。
「それではポーカーでも致しましょうか」
「何か賭ける?」
「テルティア様に怒られちゃいます」
ハマールは弱腰に言った。
「そうだね。皆も怒られちゃうから我慢しよう」
そんなに賭け事好きなのかしら。
ポーカーはいい感じに勝敗が別れた。
ルーシは狙ったカードが来れば嬉しそうだし、何よりも良い手で負けた時に悔しそうなのがアタシは嬉しい。
そんな感情見たことなかったし、人間味豊かになってきてる。
「上がりました」
エイミラットとテルティアが戻って来た。
「後は皆で入っちゃったらどうだい?」
「おれ達は後でいいから。お前入ってこいよ」
カシウスは人とお風呂入るの嫌いなのか、思春期なのか、どっちでもいいからさっさと入っちゃいましょ。
ルーシの袖を引っ張ってみる。
「じゃぁ、ルーシ君入っておいで」
「うん」
アタシ達2人だけだとお風呂は広すぎるわね。
余裕で泳げちゃう。
行儀悪いけど、ルーシにも薦めてみる。
「どうやるの?」
ああ。泳ぐとか知らないわよね。
念話で映像って伝わるのかしら。
「‥‥やってみるね」
伝わったぽい。
とりあえずクロールを外から見た時と自分が遣ってる時のイメージを送って見たのだけれど‥‥
数分で形になった。
「ルーシすごいわね。出来てるわよ!」
「えへ。ありがとう」
ルーシの照れ笑い、ヤバカワ。
体使う事でもこれだけ覚え早いなら、明日からの特訓も心配ないかもね。
「みんな優しいね。」
ひとしきり泳いだ後、ルーシは天井を見ながら言った。
ホント、いい人達と出会えて良かったわ。
一時は逃避行も覚悟してたけど、こんないいお風呂はいれるし、当面の目標まで示して貰っちゃって。
「ボク、頑張るよ」
「うん。2人で頑張りましょ」
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