転生竜と賢者の石な少年

ツワ木とろ

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2章

【59】スムカの異変

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 喉を詰まらせ苦しむスムカにフィンティスが懐から取り出した小瓶を渡す。
 ポーションの小瓶に似てる。
 
 だけど中身は真っ黒で、ポーションでないのは一目でわかる。

「それを“のみほしなさい”」

 言われるがまま小瓶に口を付けるスムカ。
 飲み干すと喉の詰まりが取れたみたいで、座り込んで呼吸を整える。

「何を飲ませた!」

 危険そうなモノを飲まされてたけど、今のところ何も起きてない。

「これを“なめていなさい”」

 ディオの質問を無視して今度はビー玉大の球体を口に押し込む。

「もしや、それはポーション飴では!?」
「おや、ご存知ですか。これはこの施設の売れ筋だったのですよ」

 ここで作られてたって事?
 ビックスさんは無闇にかましてたんじゃ無かったのね。

「原料が底を付いたので在庫はこれでお仕舞いですけどね」
「原料とは?」
「上質なポーションですね」

 元々、口が軽い奴なのか、今まで黙った反動で口が滑りまくってるのか、フィンティスは饒舌になっている。

「ポーションに質の違いは無いはずですが?」
「さぁ。それはサーリアに聞いてみて下さい」

 またサーリアの名前が出てきた。
 しかも偽ポーションに繋がりそうな情報じゃない!

「そのサーリアと言う方が作ったポーションなのですか?」
「おっと、ついつい喋り過ぎて仕舞いました」

 質問を重ね過ぎてしまったわね。
 ビックスさんも気がはやってしまったんでしょう。少し仕舞ったって顔してる。

「まぁ、どの道ここで焼け死ぬのですから問題ないですね」

「ううっ」

 スムカが突然うめき声を出し、うずくまる。

「始まりましたね」

 スムカの体から黒い煙が立ち込め、徐々に量を増す。

「これは期待出来そうだ!」

 スムカのあらゆる血管が浮き上がる。

「スムカ!!」

 ディオ達の方を向いたスムカの苦しそうな、悲しそうな表情。
 目が充血を通り越して真っ赤になるに連れて、狂気な表情に変わっていく。
 首や四肢の皮膚がただれ、変色して固まり、鱗の様。

「ああぁぁぁaaa!」

 スムカが絶叫すると丸まった背中からアタシと同じ様な翼が服を裂いて現れた。

「なんと素晴らしい!」

 フィンティスが歓喜する。

「“たちなさい”」

 スムカが立ち上がる。
 まだ呼吸が荒く、眉間にシワが寄っている。
 側頭部に細い角が生えてて、バサッと舞い上がったスカートから尻尾が出てくる。
 竜人て言うのかな。そんな姿をしている。

「どうなってるんだ‥‥」
「これが魔獣ですよ」
「魔獣?人が魔獣化するなんてあり得ない」
「人はなまじ魔素に耐性あるお陰で、魔獣化する前に死んでしまいますからね」

 フィンティスが頭を撫でるとスムカが歯を剥き出しにする。
 犬歯が長くなってて、他の歯も牙みたい。

「でも、1度に大量の魔素を吸収すれば人だって魔獣になれるんですよ。」
「そんな‥‥」
「個人差はありますよ。私も100名近く実験して20名しか成功しなかったですし」
「20名ってまさか‥‥」
「ええ。森に居たゴブリンですよ。だから言ったでしょ、家族は襲わないって。そう命じてましたから」

 あのゴブリン達が孤児院の子達だったってことよね。
 知らなかったとは言え、家族を殺してしまったなんて‥‥

 みんなが困惑してる中、上機嫌なフィンティス。

「貴方は何が出来るのですかね。翼があるから飛べそうですね。“わたしのめいれいにしたがいなさい” 飛んでみなさい」

 スムカが翼を羽ばたかせ浮き上がる。

「素晴らしい。口から何か吐いてみなさい」

 口から細長い竜巻が起こり、それが天井の一部を破壊した。

「風飛竜の魔石だったのですね。大当たりですよ」
「スムカに何をした!」
「だから魔石を呑ませたのですよ」

 フィンティスが『点火』と唱えながら至る場所に火を付けていく。

 形が全然違ったけどあれも魔石? 色は同じだったけど‥‥

「知人が人工魔石の研究をしてましてね。色々頂いたんですけど、さっきのは大き過ぎてね。スムカが帰って来るの待ってたのです。」
「何故スムカだったんだ!」
「喉が開く様に教え込んで来ましたからね。外でもそれを売りに仕事していたはずですよ?」

 今のセリフで私が想像した通りなら、こいつクソ野郎だ。
 スムカを弄んで玩ばせたって事でしょ。
 今すぐ焼き殺して仕舞いたい。でも体が動かない。

「私を抱えて飛びなさい」

 体の小さなスムカが自分より大きいジジィをお姫様抱っこして翼を広げる。
 強い風を起こしながら舞い上がる。
 その風でも消えない位もう火が回っている。

「これは良いですねぇ。それでは皆さん、ごきげんよう」

 さっき壊した天井から凄い勢いで飛んでいった。

 何が「ごきげんよう」よ。死なす気な癖に。
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