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4章
【95】入学試験のくだり
しおりを挟むこの国には、言う所の国立学園が3校ある。
国と教会の合同経営だから国教立って言うべきなのかしら。
小規模の塾や寺子屋なら私立であるらしいけど、それも高等部に通える年齢になるまでのものらしいので、3校のどれかに通う事になる。
と言っても強制じゃないので通わない人もいるけど、資金は国と教会と寄付で賄ってて学費が掛からないから、継ぐ家業のない子は就活の一環として通うらしい。
なので受験者が多くって試験日当日、在学生は休みになる。
「ルー兄、行ってらっしゃい」
「ジークリット伯父様が入って左から3番目の受付に並ぶと良いって言ってたわ」
テルティア達がそばまで見送りに来てくれてる。
「分かった。いってきます」
別れ際、ルーシとカシウスは大きく手を振り、テルティアは胸元で小さく振ってた。
一応ルーシが1番お兄さんなんだけど、先に学園通ってる分かテルティアの方が落ち着いててお姉さんに見えなくもないわね。
王都にある学園はセントランド学園て言って、3校の中でも1番大きい。
国中の貴族とそれに釣られたお金持ちも集まるからで、校舎も4階建てが3つ並んでて、外壁も高くてしっかりしてる。
校庭は凄く広いし、外は小雨が降っているのに門を潜ると雨に打たれない。
見上げると学園の上の空にシャボン液の様な薄い膜見たいなのが見受けられる。
それが雨を防いでくれているみたい。
校庭は芝が生えているから、この入試の為に誰かが魔法で天蓋を張ってくれてるのかしら。
校庭には10ヶ所テーブルが用意されてて、そこに並んで受付する様子。
「ルーシ君、久しぶりね」
ジークリットさんの伝言通りの列に並ぶと担当はレイニーだった。
「レイニーさんがどうして?」
「試験は人手が足りないから、ギルド職員も駆り出されるの」
ギルドって教会傘下みたいな所あるものね。
「アリアも居るのよ」
隣のテーブルでアリアが手を振っている。
ルーシもそれに応える。
ギルドの受付でよく顔を合わせた2人。
最近ギルドに行ってなかったから懐かしいなぁ。
「それじゃ、早速手続き書類に記入をお願い」
レイニーが出してきた紙は幾つかの項目と記入欄があるり、個人情報記入する感じが履歴書や役所の申請書に似てる気がする。
まずは氏名。
これはルーシもすらすら書いてるけど、次が出身地。
ルーシは何処になるのかしら。
「そこは王都って書いてくれる?」
レイニーが助言してくれて、その様に書いた。
次は両親の名前。
これは困った。どうしたものか。
「そこは空欄で、その次の後見人欄にガイウス様の名前を書いて」
レイニーに面倒見させる為にジークリットさんはここに並べって言ってくれたのね。
彼女はギルドでの登録にも関わったから話が早くて助かるわ。
「最後に適性を調べるわね」
記入が終わりレイニーの確認が終わると、今度はボーリングの球みたいなのをテーブルに乗せてきた。
「これ知ってるよ」
「あら。使った事あるの?」
「うん。ギルドで登録した時、ジークリットさんが遣らせてくれたんだ」
「そうなんだ。じゃぁ使い方は知ってるね」
「うん」
ルーシは球の左右に空いた穴に指を差し込む。
そうすると目盛りが動いて武器の適性とかが分かるって代物。
前回の結果とルーシの腕前からして、バッタもん感が否めない。
「目安にしかならないけど」
レイニーがそう言う。
みんなもそう言ってたっけ。
結果は、『剣が4。槍が4。斧が3。棍が2。弓が1。体術4。魔力2。』
「どう?前回と違う?」
「剣と槍と棍と体術が上がってるよ」
向上してるって事はあながちデタラメでは無いのかな。
「そう。冒険者での経験が活きたのかもしれないわね」
レイニーはそう言いながら結果を書き込み、書類を渡してくる。
「これ持って右の校舎の2階、2iって書いてある教室に入って。そこで試験受けたら終了よ」
「わかった。ありがとう」
「行ってらっしゃい。頑張ってね」
右の校舎ってのが3軒並んでる校舎の中で1番横幅がある。
試験で使われてるのはこの校舎だけみたいだから、一般の教室があるのがそこなんでしょう。
他の2軒はなんだろう。まぁ、入学したら覚えるでしょ。
校舎の真ん中にある玄関から入って2階へ。
玄関入って正面に大階段。両脇に廊下が伸びている。
2階は奥側に廊下が伸びている。
上下階で前後互い違いなんでしょう。
「ルーシ、たぶん右の方よ。さっき1階の表札が見えたの」
階段の左側に1f、右側に1gって見えたから2階も同じだろうとルーシに伝える。
階段から右側には扉が3つ、広い間隔である。
その1つ1つが教室なんだろう。それぞれ表札付いてるし。
2iは1番奥。
この様子だと各階6クラスあるのかな。
d~iまで?それ以上は別校舎か。
教室内には既に10人近くの子供が席に着いている。
だいたい教室内にある机の半分の人数。
「用紙の置いてある席に付きなさい」
教壇に大人が1人。試験官でしょう。
「君のそれは従魔かい?」
あ、アタシの事ね。
「そうです」
首輪してるし、今日はメルヴィルさんに貰った教会のペンダントも着けてるから問題無いはずだけど。
「同伴は認めるが試験中動かないよう躾ておきなさい」
カンニングするかもって事?そんな必要ないわよルーシには。
「分かりました」
用紙が裏返しで置いてある席は残り1つだった。
「試験を開始するに当たっての注意事項をお話します」
ルーシが席に着くと直ぐさま試験官が喋り出す。
「制限時間は1時間。時間内に回答が終了した者は退室して構いませんが、再入室は出来ません」
周りの子達はだいたいカシウスと同い年なのよね。ルーシの1個下。
「試験中のスキル使用は原則禁止。常時発動型の場合は支障を来さない様にして下さい」
周りの男の子を見るとルーシはやっぱり小さい方なのね。
カシウス位が標準か。
まぁ、ルーシも背は伸びてきてるし、まだ成長期だから心配する必要はないだろうけど。
小さい方が可愛いし。
「不正行為があった場合は即刻退場。再入試はありません」
アタシみたいな従魔を連れている子は1人もいない。
『羊飼いの紋』はポピュラーなはずだけど、アタシみたいな小動物を使役するってのは珍しいのかもね。
「それでは試験を開始します」
用紙を捲ると2枚重なってて問題用紙と答案用紙だった。
パッと目を通すと全項目算数だ。
簡単な計算問題から始まり、徐々に複雑で大きい数の計算になって行くのと、面積の問題やパーセントを答える文章問題なんかもある。
文章問題は途中の計算式書かせたりもあって読解力も試されている。
問題は100問あってどんどん難しくなって行く。
最後の方はアタシも解けない問題まで出てきた。
たぶん解かせる気がないんじゃ無いかな。
「終了です」
結局誰も退室せずに時間が来た。
普通に時間短い気がするんですけど‥‥ 教室のみんな意気消沈しちゃってるじゃない。
ルーシでだいたい3分の2くらい解けたかな。
それがどれ位の成績なのか、ちょっと不安になって来ちゃった。
「お疲れ様。カシウス達が待っててくれてるから、早く行きましょうか」
問題用紙持って帰れる見たいだから帰ったらガイウスさんに見てもらいましょ。
「お帰り。どうだった?」
見送ってくれた所でみんな待っててくれてる。
「分かんない。」
ルーシが持ち帰った問題用紙を見せる。
「帰ったら私達も解いてみよっか」
帰宅すると早速テルティアとカシウスがリビングで問題を解き始める。
時間はハマールが時間を計ってるわ。
「終わりです」
「え、終わり?」
「はい。時間ですだ」
「これ最後の方難し過ぎない?」
テルティアでも解けなかった見たい。
2人が答案を見せてくれる。
「ボクもテルティアとおんなじ位だったよ」
「ルー兄そんなに解けたの?凄いや」
カシウスは半分位で止まってる。
みんなで見比べているとガイウスさんとロジバールさんが帰って来た。
「ただいま。試験はどうだった?」
「お父様、お帰りなさい。この問題見てみて」
テルティアが問題用紙を手渡し、ガイウスさんとロジバールさんが覗き込む。
「後半難しいよね?」
「その様ですね。私でも解けるかどうか」
「ロジィでもそうなんだ」
「はい。時間内に全問解くのは困難に思いますよ」
「僕も解けて3分の2位じゃないかな」
「父さんでもそうなら、同じ位解けてるルー兄は心配ないね」
そう言われると不安感がなくなって来るわね。
今日はガイウス邸にお泊まり。
久々にテルティアとエイミラットとお風呂に入る。
「いいなぁ、カシウスは。ルーシと同じ学年になって」
テルティアはお湯に浸かる時いつもアタシを抱いているのだけれど、今日は特にギュッとしてくるわ。
「学園生活はつまらないのですか?」
とエイミー。護衛が学内に入れないのは高等部も同じらしい。
「楽しいよ。新しい友達も出来たし」
「テルティア様はsクラスに進学なさらなかったんですよね?」
「うん。bクラス」
そう言えばiクラスまであるみたいだけど、どういう組分けなのか知らないわね。
「ミューミュミュミュ?」
「ナナチャどうしたの?」
「ナナチャは人の言葉を理解しているみたいですからね、もしかしたらクラスについて聞きたいのかも。ルーシ君の事もありますし」
「そうなの?」
「ミュー!」
エイミーのお陰でクラスについて聞くことが出来た。
sクラスとaからiクラスまでが4学年あり、sクラスは貴族組。aクラスはお金持ち組なんですって。
sクラスがどうだか分からないけど、aクラスは寄付金が絡んでそう。
そこで格差作るのはどうかと思っちゃうけど、経営的に致し方ないのかな。その寄付金のお陰で一般人は学費掛からないわけだし。
「お父様と話し合って私はbクラスにして貰ったの。」
それ聞くと、bクラスからは学力順て話だったけど、純粋にって訳でも無さそうね。
まぁ、テルティアは頭いいから実力でも上位クラスに入れるだろうけど。
「魔巧技士目指すならその方がいいからね」
「それにガイウス様は貴族至上主義がお嫌いですしね」
ガイウスさんが公爵家の面汚しとか言われているのはその所為なのかしら。
「私が継ぐ爵位はないから、貴族として暮らすなら貴族との結婚しかないのよね。私はそんなの嫌だからお父様の考えは好きよ」
「私もテルティア様には好きな道を進んで欲しいと思いますよ」
「ありがとう、エイミー」
テルティア達が上がると、次はガイウスさんとロジィさんの番。
ルーシとカシウスとハマールはいつも1番最後か別のお風呂を使う。
「それじゃぁ入ろうか」
とガイウスさんが言うとロジィさん以外にカシウスとルーシも歩き出す。
「行ってらっしゃいだす」
見送るハマール。
「え、今日は4人で入るの?」
「うん。ガイウスさんがそうしようって」
「ミュー!」
「ナナチャがもう1回入りたいって」
「え、また?ナナチャって本当お風呂好きね」
確かにお風呂は大好きだけど、4人で行くなんて滅多に無いもの逃すわけには行かないじゃない。
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