転生竜と賢者の石な少年

ツワ木とろ

文字の大きさ
97 / 120
4章

【96】ガイウスさんのお願い

しおりを挟む

 この4人とでお風呂は初めてなんじゃないかしら。
 ハマールがロジィさん1人にガイウスさんとカシウスを任せるのは気が引けるけど、抜け毛が気になるから皆と一緒も憚られるって思ってるから、カシウスが気遣って皆と入るの嫌がるのよね。
 ルーシと一緒は嫌がらないから普段はカシウスとハマールとお風呂入る事が多いかな。
 ガイウスさんとロジィさんとは久しぶり。
 あの時はセドリックも居たっけ‥‥

「あの問題を3分の2解けたなら間違いなくbクラスになると思うよ」

 湯船に浸かるとおもむろにガイウスが言う。

「じゃぁオレもbクラスがいい!」

 とカシウス。
 ガイウスさんは頷く。もとよりそのつもりだったみたい。
 口利きしてルーシをsクラスに入れるのはかなり難しいだろうけど、カシウスをbクラスにするなら容易でしょう。
 テルティアで実績あるしね。

「ルーシにお願いが2つあるんだ」
「なぁに?」

 一緒にお風呂に入ったのはそのお願いってのを伝える為かしら。

「1つは学園内でのカシウスの護衛をして欲しい」
「は?父さん、学園内に護衛は入れないじゃないか」
「ああ。だから生徒になるルーシに頼みたいんだ」
「うん。いいよ」

 ルーシは考えなしと思える位即答だった。

「学園内で護衛はいらないんじゃないの?」

 貴族の子供もいるのに護衛禁止って事は学園内は確固たる警備体勢なんじゃないのかな。

「暗躍があってね、保険みたいなものだよ。それに、カシウスが問題起こさない様に見張ってて欲しいし」
「問題ってなんだよ」

 中等部の頃はカシウスよくケンカしてたんだっけ。

「今までは子供のケンカで済ませてたけど、これからはそうも行かなくなるからね」
「うん。分かった」
「頼んだよ」
「ちょっとルー兄まで!」

 カシウスが少し不貞腐れる。
 茶化して話を終わらせたけど、暗躍って物騒な話じゃないわよね。

「それと、もうひとつなんだけど‥‥」

 今度は何だか少し話辛そうと言う。

「プートリアの件なんだが‥‥」
「プートリア?」

 何かしらそれ。

「オレの従妹だよ」

 従妹って事は王女様?

「プートリア・サンペリエ。王位継承権第一位で姪っ子さ」

 従妹だの姪だのが王女様だなんて、知ってはいたけど改めて聞くと凄い偉い人達とお風呂入ってるわねアタシ。
 で、その王女様がどうしたのかしら。

「この国の王選出には基準があってね。直系か血縁者なのと、王家の痣があるか、竜を使役しているかなんだ。」

 『王家の痣』って確かカシウスが受紋したヤツだったか。

「該当者が居なければプートリアの継承権は揺るがなかったんだけど‥‥」

 カシウスに痣が出て仕舞って揺らいでると。
彼も前国王から見れば直系だもんね。
 でもそれでルーシに何をお願いするのかしら。

「プートリアの受紋てさ、『羊飼いの紋』で竜をテームしてるよね?」

 とカシウス。なら安泰じゃない。

「飛竜系の火竜の幼生をね」
「ほら。なら問題ないんじゃないの?」
「それがルングス辺境伯の嫡子も飛竜を使役してしまってね。それもあって幼生のままでは説得力に欠けるって思われているんだよ。そこで白羽の矢がたったのがナナチャなんだ」

 え、アタシ?ルーシじゃなくてアタシが目当てなの?

「国王に誰がナナチャの事を話したらしいんだ。それでプートリアの竜の成長を手助けして欲しいって言われているんだよ」

 誰にも何も知られていないとは思って無かったけど、まさか国王にまでアタシの事が話題に上がってるとは思わなかったわ。
 だったら手伝って王家と仲良くなっといた方が絶対良いわよね。

「手伝うのは構わないけど、条件があるってナナチャが言ってるよ」
「なんだい?なるべく叶えられる様に努力するよ」
「‥‥ 炎を使うから燃えてしまわない場所が必要なのと、あまり人に見られたくないからやる時は少人数が良いって」

 アタシの時と同じ様にすれば良いと思ってるんだけど、あの時はルーシの血を飲ませて貰ったのよね。
ポーションで代用出来ると思うけど、もしもダメだった時の為に目撃者は少ない方がいい。

「出来ればナナチャと僕と、プートリアさんとその竜だけが良いんだけど」
「それは流石に無理だと思う。プートリアの護衛は最低限必要だし、それでも少ないと言われ兼ねないな」
「だったらカシウスとハマールにも付き添って貰いたいな」

 彼等ならルーシの秘密を知っているし、今までも内緒にしてくれてるから安心出来る。

「オレも手伝うよ。プートリアは妹みたいなもんだし」
「それはいいね。カシウスが手伝う事で王座を狙っていないって印象を与える事にもなる。どうなるか分からないけど話を通してみるよ」
「後、もし失敗した時の事を心配してるみたい」

 ガイウスさんの顔が少し曇る。

「‥‥本当はナナチャを差し出すよう言われたんだ。でも上手く行けば火竜の方が権威を示せるって説得して今に至るから‥‥ 失敗したらナナチャをあげなくちゃならなくなるかも」
「そんな!」

 ルーシとアタシの代わってカシウスが声を上げてくれる。

「そんなのないよ!」
「分かってる。だからもし失敗したらまた別の案で交渉しようと考えているんだ」

 ガイウスさんは既にアタシ達の為に動いてくれているのね。
 今までとても良くして貰ってるから板挟みになる様な事は言いたくないかな。

「ナナチャが分かったって」
「え?ルー兄はそれでいいのか?」
「良くないけど‥‥ たぶん失敗しないし、失敗しても何とかしてくれるって言うなら、今ガイウスさんを困らせたくない」

 ルーシとは意志の繋がりがあるからアタシの思いが伝わってるだろうけど、彼も同じ気持ちだったから代弁ではなく自分の意見として発言してる。
 大事な決断は自分で責任を持とうとしているみたい。

「ルーシ、ありがとう」
「‥‥ そうと決まればオレに出来る事は何でも言ってよね!」
「うん。ありがとうカシウス」
「そろそろ上がりましょうか。逆上せてしまいます」

 ロジィさんが居たの忘れてた。
 不必要な時は気配消して、出る時は出てちゃんと区切ってくれる。
やっぱりロジィさんは凄い。
 学園内でカシウスの護衛をするなら彼を手本にしなくちゃね。

   「うん。頑張ってみる」
   「アタシも居るから2人でロジィさんに追い付きましょ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

薬師だからってポイ捨てされました!2 ~俺って実は付与も出来るんだよね~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト=グリモワール=シルベスタは偉大な師匠(神様)とその脇侍の教えを胸に自領を治める為の経済学を学ぶ為に隣国に留学。逸れを終えて国(自領)に戻ろうとした所、異世界の『勇者召喚』に巻き込まれ、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。 『異世界勇者巻き込まれ召喚』から数年、帰る事違わず、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居るようだが、倒されているのかいないのか、解らずとも世界はあいも変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様とその脇侍に薬師の業と、魔術とその他諸々とを仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話のパート2、ここに開幕! 【ご注意】 ・このお話はロベルトの一人称で進行していきますので、セリフよりト書きと言う名のロベルトの呟きと、突っ込みだけで進行します。文字がびっしりなので、スカスカな文字列を期待している方は、回れ右を推奨します。 なるべく読みやすいようには致しますが。 ・この物語には短編の1が存在します。出来れば其方を読んで頂き、作風が大丈夫でしたら此方へ来ていただければ幸いです。 勿論、此方だけでも読むに当たっての不都合は御座いません。 ・所々挿し絵画像が入ります。 大丈夫でしたらそのままお進みください。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...