【完結】これはきっと運命の赤い糸

夏目若葉

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愛しい人③

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「綺麗な人でしょう?」
「え、あぁ……そうかな」

 正直言えば普通の女性で、なんとも思わない。綺麗とかかわいいっていうのは、美桜みたいな女性を形容する言葉なのだから。

「厚生労働大臣の末のお嬢さんだ」

 タブレットを眺めていると、父がポツリと口を挟んだ。

「へぇ」
「桔平、お前と今度会ってみたいそうだ」

 そこまで言われてようやく、両親が言わんとすることに気がついた。
 すべてはこれだったのだ。
 俺をわざわざ呼び出して食事をしたのも、この女性と会う段取りを決めようという目論もくろみだった。
 その考えに気づいたら、途端に体中の力が抜けていくのを感じた。
 俺は盛大にため息を吐いて、手にしていたタブレットをテーブルの上に置いた。

「そんな顔するなよ」

 眉間にシワをよせる俺の顔を見て、父がなだめるように言う。

「要するに、見合いしろってことだろ?」
「そういう格式ばったものじゃなく、食事の席で一度会ってみるのはどうかと……」

 自然な形に近いようにセッティングするからと言われても、結局は見合いだ。
 俺とこの女性が結婚すればいいと、内心ではふたりともそう考えているはず。

「こちらのお嬢さんが、桔平に会ってみたいんですって」

 母はかなり乗り気なのだろうか。ニコニコとしながら再びタブレットを俺に見せようとしてくる。

「桔平はイケメンだからモテるものね。お母さんうれしい」
「なに言ってるんだよ……」
「いいじゃないの。あちらが切望してらっしゃるんだから。会うだけよ! 会うだけ。ね?」
「それだけで済むわけないだろ」

 母はまるで自分がモテたような錯覚を起こしてるのか随分と上機嫌だ。
 向こうが切望してるなら尚更キッパリと断らなければ、変に期待をさせてしまったら、それこそ相手が相手だけにややこしいことになる。

「悪いけどその人とは会えない。俺には好きな人がいるから」

 俺の発言に驚いたのか、母が豆鉄砲を食らったような顔をした。父は考え込むように渋い表情をしている。

「そんなのお母さん聞いてないわよ?」
「最近付き合い始めたんだ。いちいち報告することでもないだろ」
「どこのお嬢さん?」
「会社は違うけど同じビルで働いてる女性」

 母がニコニコしながら話に食いついてきた。この様子だと根掘り葉掘り聞かれそうだ。

「どこの会社だ?」

 俺と母の会話を聞きながらも、渋い表情を変えなかった父が口を挟む。

「㈱オッティモ」
「オッティモ……たしか13Fか14Fか、その辺りの階の大企業とは言えない会社だな」
「父さん、そういう言い方はオッティモさんに失礼だ。それに関係ない。彼女がどこに勤めてても」

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