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春
②
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……何なんだろう。この人は。
これが私の第一印象だった。その人は、猫耳がついた黄色のパーカーを羽織っていた。内側は制服。大きく、ぱっちりとした目で、きれいで透き通った緑色の瞳をしていた。元々なのか、作っているのか分からないが、口角が少し上に上がって、笑っているように見える。外ハネ気味の髪型で、薄黄色に毛先がオレンジ色。パーカーからもはみ出している髪の毛のハネは、楽しそうに上を向いている。
全体的に猫っぽくて、どこか幼く見えるけど、とても可愛らしい人だなとも思った。相手が名前を名乗ってくれたからには、知っていても、自分の名前を言わなければいけないと思い、話してみることにした。
「は、初めまして……ですよね?景瑠高校に転校してきた、3年B組の白宵 時雨です。こちらこそよろしくお願い致します。ところで……どうして楓羽さんは私の名前を知っているのですか?」
「えっとねー……友達から聞いた!ボクも3Bなんだよね~あ、後さボクこと呼び捨てでもいいよ!何なら、あだ名付けちゃってもOK!そっちの方が気楽でいいし、話しやすいからさ♪」
「じゃあ、まずは楓羽って呼ばせてもらいますね……って、え!?私と同じクラスだったんですか!?」
私が驚いた顔をすると、楓羽はにぱっと明るく笑っい、「そうなんだよ~」とのんびり言った。
「あぁ、ちなみにコイツも3Bなんだよね。僕の弟」
と、楓羽が指を指した方向に目をやると、パーカーの袖をきゅっと握り、後ろで身を縮こませている弟がいた。でも、私の目を真っ直ぐに見据えている、狼のような金色の瞳は、弱い獲物を狙っているような鋭い輝きを放っていた。目つきも何だか怖く、背筋がゾッとする程だった。警戒しているのか、嫌がっているのか分からず、とりあえず私は目を逸らした。それを見ていた楓羽は、犬をしつけるように「早く自己紹介しなさい」と頭をポンポンと叩いた。
「……誰」
ぼそりと呟いた。その声は、低く唸るような声で、私のことを注意深く警戒しているように見えた。刺々しい声質が、私をチクチクと攻撃してくる。私の不安な表情が気になったのか、楓羽は優しく微笑みかけて「大丈夫だよ」と言った。すると今度は、弟の頭をゆっくり優しく撫で、「大丈夫。この人はボクのお友達なんだよ」と声をかけた。それでも弟はじっと私を見続けていた。何かを確かめ、判断するように。私は気まずくなり、外の景色を眺めた。雨は止むどころか、だんだん強くなっていた。私達の沈黙が続く間、廊下には雨が地面に叩きつけられる音が鳴り響いていた。
これが私の第一印象だった。その人は、猫耳がついた黄色のパーカーを羽織っていた。内側は制服。大きく、ぱっちりとした目で、きれいで透き通った緑色の瞳をしていた。元々なのか、作っているのか分からないが、口角が少し上に上がって、笑っているように見える。外ハネ気味の髪型で、薄黄色に毛先がオレンジ色。パーカーからもはみ出している髪の毛のハネは、楽しそうに上を向いている。
全体的に猫っぽくて、どこか幼く見えるけど、とても可愛らしい人だなとも思った。相手が名前を名乗ってくれたからには、知っていても、自分の名前を言わなければいけないと思い、話してみることにした。
「は、初めまして……ですよね?景瑠高校に転校してきた、3年B組の白宵 時雨です。こちらこそよろしくお願い致します。ところで……どうして楓羽さんは私の名前を知っているのですか?」
「えっとねー……友達から聞いた!ボクも3Bなんだよね~あ、後さボクこと呼び捨てでもいいよ!何なら、あだ名付けちゃってもOK!そっちの方が気楽でいいし、話しやすいからさ♪」
「じゃあ、まずは楓羽って呼ばせてもらいますね……って、え!?私と同じクラスだったんですか!?」
私が驚いた顔をすると、楓羽はにぱっと明るく笑っい、「そうなんだよ~」とのんびり言った。
「あぁ、ちなみにコイツも3Bなんだよね。僕の弟」
と、楓羽が指を指した方向に目をやると、パーカーの袖をきゅっと握り、後ろで身を縮こませている弟がいた。でも、私の目を真っ直ぐに見据えている、狼のような金色の瞳は、弱い獲物を狙っているような鋭い輝きを放っていた。目つきも何だか怖く、背筋がゾッとする程だった。警戒しているのか、嫌がっているのか分からず、とりあえず私は目を逸らした。それを見ていた楓羽は、犬をしつけるように「早く自己紹介しなさい」と頭をポンポンと叩いた。
「……誰」
ぼそりと呟いた。その声は、低く唸るような声で、私のことを注意深く警戒しているように見えた。刺々しい声質が、私をチクチクと攻撃してくる。私の不安な表情が気になったのか、楓羽は優しく微笑みかけて「大丈夫だよ」と言った。すると今度は、弟の頭をゆっくり優しく撫で、「大丈夫。この人はボクのお友達なんだよ」と声をかけた。それでも弟はじっと私を見続けていた。何かを確かめ、判断するように。私は気まずくなり、外の景色を眺めた。雨は止むどころか、だんだん強くなっていた。私達の沈黙が続く間、廊下には雨が地面に叩きつけられる音が鳴り響いていた。
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