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62. 参之仙人《玄武》

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「我が名は玄武、この先へ進みたくば、我を倒してみせよ」

…威圧感の凄まじい、亀と蛇がそう彼に告げる。
相変わらず、入った途端で忙しないが…

〚良いか、小僧。真に我が力を操りたいのであれば、あの程度、一撃で沈めろ〛

孫悟空が放ったその声は、期待と挑戦の声が混じっていた。
彼は、その声に応じるように流れを作り出し、何時でも準備万端と言えるように体勢を整えた。

「行くぞ!」

「…ドゴォッ…(殴る)」

お互い、最高の一撃だっただろう。
だが、玄武の攻撃は相手の左手でいなされ、代わりに彼の甲羅を右手が粉砕していた。

「…玄武、確かに…硬かった。手が凄く痛い…( ´・ω・`)」

〚ふはは!そうだ、その力を自在に操るのだ!
さすれば、いずれ我が眷属に及ぶ力を得るだろう!〛

眷属、というのは、恐らく彼が信頼していた猿のことだろう。
孫悟空にも、一度は寿命が来ていた。
しかし、孫悟空は幽冥界にて抗議の代わりに暴れ回り、閻魔帳を持ってこさせ、そこにある自身の名と親しかった者の名を墨で塗りつぶすことで、不死となった。
おそらく、その時の猿なのだろう…

「…それにしても、やっぱ仙気ってのは防御にも使われていたか…あいつに触れた時、一瞬こっちの仙気が霧散しかけていたし…」

そう。あの一瞬、彼の仙気は重撃の仙気の量を下回っていた。
しかし、直ぐに気が付き、蓋をした上で仙気をさらに流し込むことでなんとか重撃となったのだった。

〚仙気の流れを、体外にて流れを作り出すのだ。
そうすれば、武器にも仙気を流すことができるようになる。
玄武が使っていた技は、外法衣仙術というもので、名の通り、体の外に法衣と呼ばれる仙気で出来た装備のようなものを作りだし、より強固な守りを作り出していたのだ。
小僧も、いつかはできるだろう〛

孫悟空は淡々と説明してくれた。だが、その言葉の裏には、少しばかりの期待と、必ず会得せよという強い意志を感じた。

「分かってる…さて、取り敢えず…報酬は基本的には変わらないし、吸収だけ済ませたら先に行こう。
青龍の仙気がどれくらい強いのかは分からないが、お前が着いているのであれば倒せるだろ?」

〚うむ〛
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