4 / 8
第三話 入学式前日
しおりを挟む
晴は二日ぶりに、実家の自分の部屋で寝ていた。朝いつもどおり、咲希と凪沙が寝ているのを起こさないように静かに起きて、一階の洗面台に向かう。
「やっぱこっちの方が慣れてるなぁ」
そんなことをつぶやきながら顔を洗って、歯磨きを済ませ、リビングに向かう。これまた見慣れた景色だ。陽菜が朝ごはんを作り、小春が料理が乗った皿を並べ、春花がごはんをごはんをよそう。光はというと、いつもどおりソファに座りながら、テレビでニュースを見ている。今日の運勢やら天気予報やらを重点的に見ているようだ。その他のコーナーやニュースは興味なさそうに見ている。
「光も手伝った方がいいんじゃないか?」
「はーい」
そう言って光はキッチンの方へ向かった。こうやって言うことを聞いてくれるから本当に良い子達だ。
「陽姉俺も何か手伝おうか?」
「ううん、もう準備はできたから、じゃあ、咲希と凪沙を呼んできて」
「わかった」
そう言って、咲希と凪沙を呼びに行った。
朝食を済ませたあと、また来ると言って小春と一緒にマンションに帰った。
「さて、入学の準備もできてるし、今日は何も予定はないな…」
すると、小春がじぃっと視線を向けてきた。そして、両手を合わせ、思いついたという様な表情をした。
「じゃあ、どこか出かけようよ!」
「まぁ、特にすることもないし、どこか行くか」
そう言って同意すると、小春はとても嬉しそうに微笑んだ。
「やったぁ!」
妹とデートすることになった。
特にすることもなかったし、流れで同意したのはいいが、兄妹とはいえ男女で出かけるといったらデートと定義することになる。妹なのでドキドキする、なんてことはない、とは思う。晴は、そんなことを考えながら小春の着替えを待っていた。兄妹なんだから別に気にしないのに、と小春は言っていたが、晴にとっては、兄妹でもさすがに同じ部屋で着替えるのは目のやり場に困る。そもそもの話、以前小春がそう言うので同じ部屋で着替えたところ、途中で恥ずかしくなったのか、晴に物を投げつけるという事件があった。
「別に、外に出なくてもいいじゃん」
「小春は絶対、途中から恥ずかしくなってくるからね?それに、その辺にあるものを適当に投げつけてくるから、怖いんだよ」
すると小春は頬を膨らませ、むぅと唸った。
「もうそんなことしないもんっ」
そんな小春を見てため息が溢れた。
「小春、世の中の妹に一緒に着替えをしたがる妹なんていないぞ?」
そう言うと小春は、いっそう頬をふくらませる。
「世の中の妹がおかしいんだよ、お兄ちゃんは優しいし、かっこいいし、世の中の兄はよっぽど駄目駄目な兄なんだね」
「いや、小春……」
俺も、その駄目駄目な兄の中に入るところだったんだよ?と言おうとして、これ以上何か言うとせっかく出かけようとしていたのに、小春が機嫌を悪くしそうだったので、止めておく。
(ほんと、小春は可愛いなぁ……)
そう思ってしまう自分は甘いなぁと、晴は思った。
「まぁ、いっか、さ、どこに出かける?」
「うーん、そうだなぁ」
そう言いながら二人は外に出た。そして目的地もなく、歩き始める。
「とりあえず、駅を目指そうか」
そもそも、駅に行かなければどこにも行けない。
結局、電車に乗って最寄りのショッピングモールに行くことになった。
「さ、どこから周る?」
「もう、端から端まで周っちゃお!」
小春はそう言って、機嫌良さそうに歩き出した。こういう場所に来て、困ることが一つあった。それは視線だ。なぜなら隣にいるのは、誰がどう見ても、百人が百人、異口同音にして言う、それも絶世が付く美少女だ。陽菜や他の妹も、それに負けないくらいの美少女っぷりだが、やはり一番は小春だ。恐らく母晴子の遺伝が最も強いためであろう。母は昔、モデルをやっていたこともあり、それ相応の美人といえる。そしてそれを未だにキープしていて、全くその年齢を感じさせない美貌は、一緒に歩いていてちょっと年の離れた姉弟と間違われたほどだ。小春は母とはちょっと違う、可愛さも備えた美人さだ。なので、自然と周りの視線を集めてしまう。こいういう場所に来たときはいつも、この羨望や嫉妬の視線に当てられて、バテてしまっていた。
(そんな視線を注がれても、隣にいる美少女は、彼女ではなく、妹なんだよなぁ……)
すると、そんな視線を気にする晴に気づいたのか、小春が心配そうな顔で覗き込んできた。
「お兄ちゃん、大丈夫…?」
このままだと小春が遠慮して、帰ろうか?と言いそうだったので、頑張って平静を装う。
(小春とせっかく来たんだ、小春も楽しそうだったし、そこを俺だけの都合で邪魔する訳にはいかない)
そう心の中で決意を固め、また歩き出す。
「お兄ちゃん、無理しなくていいんだよ…?」
「小春、大丈夫だから、ね?次は、どこ…」
そう言いかけた瞬間、小春が晴の腕にぎゅっとしがみついた。
「お兄ちゃん無理してる…」
すると思わず、意表を突かれた顔をしてしまった。
「ほら…」
「はぁ、ほんと小春は感が良すぎる…」
そう、ため息混じりで言うと、小春はどこか誇らしげな顔をした。
「だって、妹ですから」
小春はそう言って、ふふっと微笑んだ。
その台詞言ってみたかったんだろうなぁと思いながら、小春の微笑ましい姿に自然と笑が溢れる。
「あ、そうだお兄ちゃん、ちょっとカフェで休憩しない?」
そう言って、すぐそこにあるカフェを指差す。
「そうだな、休憩しようか」
カフェに入ると、女性の店員が丁寧に接客をしてくれる。
「お二人様でよろしかったでしょうか」
「はい」
最初、女性の店員は小春の容姿に、まるで豆鉄砲をくらったかのような顔をしていた。そして、これはいつもそうなのだが、その次に晴を見て微笑ましそうな顔をする。
(だから、彼女じゃないんですって…)
そう内心で思いながら、周りの生暖かい視線や、嫉妬の様な視線をなるべく気にしないようにし、席に座った。
「俺は、とりあえずコーヒーでいいかな」
アイスもいいと思ったがちょっと季節的に早いかなと感じた。
そして、小春は?と視線を向けると、意を決した表情をしていた。
「ど、どうした…?小春…?」
「お兄ちゃん、私もコーヒーにする」
なぜ、意を決したような顔をしていたのか、合点がいく。
そして、店員が来て注文を取り始めた。
「ホットコーヒーを2つで」
店員はもう一度注文を繰り返すと、ごゆっくりどうぞと言って去っていった。
「だ、大丈夫なのか?小春、ソフトドリンクの方が…」
そう言うと、小春はむっとした表情を作り、目じりに涙を滲ませ、晴に抗議してきた。
「大丈夫だもんっ、もう高校生なんだから、コーヒー、くらい…飲めるもん……」
段々弱々しくなっていく小春の口調に微笑ましさを覚える。
そう、小春は甘党なのだ。昔から甘いものが好きで、辛いもの、苦いもの、酸っぱいものが苦手だった。それは晴も同じだった、さすがにブラックで飲むつもりはない、砂糖を入れないとコーヒーは飲めないが、小春はそれすらも飲めない。恐らく砂糖増し増しでないと口につけることもできなかった。この話は中学一年生のときのものなので、今は分からないが。
「それにね、飲めないと、ずっと味覚が一緒だったお兄ちゃんに置いて行かれているようでいやなの…」
「なるほどね」
そういう理由があったのかと晴は理解した。小春は意外と寂しがりやでもあったので、コーヒーを飲みだした晴に置いて行かれている気がして、少し寂しかったのだろう。
「生まれたときから、ずっと一緒で、味覚も好みも毎回一緒で、それで喧嘩したりもしたね」
「そんなこともあったな」
「でも、いつの間にかお兄ちゃんのことが好きで好きでたまらなくなってた」
そう言うと、小春は段々顔を赤らめていった。自分で言った言動で羞恥に染まる小春を見て、さっきの言葉を思い出した晴も少し恥ずかしくなった。
「まぁ、そういうことなら、止めるわけにもいかないか…」
晴はそう言ってため息を吐き、砂糖を少し多めに持ってきた方がいいと思った。
「お待たせいたしました」
そうこうしているうちに店員がコーヒーを持ってくる。そして、コーヒーをそれぞれテーブルに置きながら、店員はにこやかな表情をして、
「すごく仲のいいカップルですね、羨ましです」
こう言った。
それに対して、別に何も言わなくていいかとも思ったが、小春の為にも一応訂正しておく。
「い、いえ、兄妹ですので…はは」
晴はそう言って苦笑を浮かべる。すると店員は、錆びついた機械のような首使いで小春に視線を向ける。
そうなんですか?と視線を向けられた小春は少し不機嫌に晴を睨みつけながら、「はい…」と頷いた。
「も、申し訳ありませんっ…!」
店員はそう言って、何度も平謝りし、店裏に消えていった。
「勘違いさせたままでも良かったのに」
まだ不機嫌そうにそっぽを向いてる小春は、唇を尖らせていた。
「い、いやさすがに駄目だろ?小春のためにも」
その言葉が嬉しかったのか、少し機嫌を直した小春は、お詫びに、帰ったら何か言うこと聞いてねと言って、コーヒーに砂糖とミルクを入れ、口につける。
「っ……!?お兄ちゃん…!」
「ん?」
「飲める…!」
そう言って、子供みたいにはしゃぐ小春を見て、晴は微笑んだ。
そして、コーヒーも飲んで一休みした後、次にどこに行くかを決めていた。
「小春は何か買うものとかないのか?ほら、春物とか、ちょっと早いけど夏物とか」
「んー、そうだね、春物の服をちょっと買いたいかも」
「じゃあ、そうするか」
そう言ってカフェを出て、服飾系が集まっているフロアへ向かった。
すると、後ろから晴や小春にとっては聞き慣れた声が飛んできた。
「あれ?晴くん?」
そして、後ろを振り向くとそこには幼馴染である、橘小菜が立っていた。
晴と小春の高校入学まであと1日!
「やっぱこっちの方が慣れてるなぁ」
そんなことをつぶやきながら顔を洗って、歯磨きを済ませ、リビングに向かう。これまた見慣れた景色だ。陽菜が朝ごはんを作り、小春が料理が乗った皿を並べ、春花がごはんをごはんをよそう。光はというと、いつもどおりソファに座りながら、テレビでニュースを見ている。今日の運勢やら天気予報やらを重点的に見ているようだ。その他のコーナーやニュースは興味なさそうに見ている。
「光も手伝った方がいいんじゃないか?」
「はーい」
そう言って光はキッチンの方へ向かった。こうやって言うことを聞いてくれるから本当に良い子達だ。
「陽姉俺も何か手伝おうか?」
「ううん、もう準備はできたから、じゃあ、咲希と凪沙を呼んできて」
「わかった」
そう言って、咲希と凪沙を呼びに行った。
朝食を済ませたあと、また来ると言って小春と一緒にマンションに帰った。
「さて、入学の準備もできてるし、今日は何も予定はないな…」
すると、小春がじぃっと視線を向けてきた。そして、両手を合わせ、思いついたという様な表情をした。
「じゃあ、どこか出かけようよ!」
「まぁ、特にすることもないし、どこか行くか」
そう言って同意すると、小春はとても嬉しそうに微笑んだ。
「やったぁ!」
妹とデートすることになった。
特にすることもなかったし、流れで同意したのはいいが、兄妹とはいえ男女で出かけるといったらデートと定義することになる。妹なのでドキドキする、なんてことはない、とは思う。晴は、そんなことを考えながら小春の着替えを待っていた。兄妹なんだから別に気にしないのに、と小春は言っていたが、晴にとっては、兄妹でもさすがに同じ部屋で着替えるのは目のやり場に困る。そもそもの話、以前小春がそう言うので同じ部屋で着替えたところ、途中で恥ずかしくなったのか、晴に物を投げつけるという事件があった。
「別に、外に出なくてもいいじゃん」
「小春は絶対、途中から恥ずかしくなってくるからね?それに、その辺にあるものを適当に投げつけてくるから、怖いんだよ」
すると小春は頬を膨らませ、むぅと唸った。
「もうそんなことしないもんっ」
そんな小春を見てため息が溢れた。
「小春、世の中の妹に一緒に着替えをしたがる妹なんていないぞ?」
そう言うと小春は、いっそう頬をふくらませる。
「世の中の妹がおかしいんだよ、お兄ちゃんは優しいし、かっこいいし、世の中の兄はよっぽど駄目駄目な兄なんだね」
「いや、小春……」
俺も、その駄目駄目な兄の中に入るところだったんだよ?と言おうとして、これ以上何か言うとせっかく出かけようとしていたのに、小春が機嫌を悪くしそうだったので、止めておく。
(ほんと、小春は可愛いなぁ……)
そう思ってしまう自分は甘いなぁと、晴は思った。
「まぁ、いっか、さ、どこに出かける?」
「うーん、そうだなぁ」
そう言いながら二人は外に出た。そして目的地もなく、歩き始める。
「とりあえず、駅を目指そうか」
そもそも、駅に行かなければどこにも行けない。
結局、電車に乗って最寄りのショッピングモールに行くことになった。
「さ、どこから周る?」
「もう、端から端まで周っちゃお!」
小春はそう言って、機嫌良さそうに歩き出した。こういう場所に来て、困ることが一つあった。それは視線だ。なぜなら隣にいるのは、誰がどう見ても、百人が百人、異口同音にして言う、それも絶世が付く美少女だ。陽菜や他の妹も、それに負けないくらいの美少女っぷりだが、やはり一番は小春だ。恐らく母晴子の遺伝が最も強いためであろう。母は昔、モデルをやっていたこともあり、それ相応の美人といえる。そしてそれを未だにキープしていて、全くその年齢を感じさせない美貌は、一緒に歩いていてちょっと年の離れた姉弟と間違われたほどだ。小春は母とはちょっと違う、可愛さも備えた美人さだ。なので、自然と周りの視線を集めてしまう。こいういう場所に来たときはいつも、この羨望や嫉妬の視線に当てられて、バテてしまっていた。
(そんな視線を注がれても、隣にいる美少女は、彼女ではなく、妹なんだよなぁ……)
すると、そんな視線を気にする晴に気づいたのか、小春が心配そうな顔で覗き込んできた。
「お兄ちゃん、大丈夫…?」
このままだと小春が遠慮して、帰ろうか?と言いそうだったので、頑張って平静を装う。
(小春とせっかく来たんだ、小春も楽しそうだったし、そこを俺だけの都合で邪魔する訳にはいかない)
そう心の中で決意を固め、また歩き出す。
「お兄ちゃん、無理しなくていいんだよ…?」
「小春、大丈夫だから、ね?次は、どこ…」
そう言いかけた瞬間、小春が晴の腕にぎゅっとしがみついた。
「お兄ちゃん無理してる…」
すると思わず、意表を突かれた顔をしてしまった。
「ほら…」
「はぁ、ほんと小春は感が良すぎる…」
そう、ため息混じりで言うと、小春はどこか誇らしげな顔をした。
「だって、妹ですから」
小春はそう言って、ふふっと微笑んだ。
その台詞言ってみたかったんだろうなぁと思いながら、小春の微笑ましい姿に自然と笑が溢れる。
「あ、そうだお兄ちゃん、ちょっとカフェで休憩しない?」
そう言って、すぐそこにあるカフェを指差す。
「そうだな、休憩しようか」
カフェに入ると、女性の店員が丁寧に接客をしてくれる。
「お二人様でよろしかったでしょうか」
「はい」
最初、女性の店員は小春の容姿に、まるで豆鉄砲をくらったかのような顔をしていた。そして、これはいつもそうなのだが、その次に晴を見て微笑ましそうな顔をする。
(だから、彼女じゃないんですって…)
そう内心で思いながら、周りの生暖かい視線や、嫉妬の様な視線をなるべく気にしないようにし、席に座った。
「俺は、とりあえずコーヒーでいいかな」
アイスもいいと思ったがちょっと季節的に早いかなと感じた。
そして、小春は?と視線を向けると、意を決した表情をしていた。
「ど、どうした…?小春…?」
「お兄ちゃん、私もコーヒーにする」
なぜ、意を決したような顔をしていたのか、合点がいく。
そして、店員が来て注文を取り始めた。
「ホットコーヒーを2つで」
店員はもう一度注文を繰り返すと、ごゆっくりどうぞと言って去っていった。
「だ、大丈夫なのか?小春、ソフトドリンクの方が…」
そう言うと、小春はむっとした表情を作り、目じりに涙を滲ませ、晴に抗議してきた。
「大丈夫だもんっ、もう高校生なんだから、コーヒー、くらい…飲めるもん……」
段々弱々しくなっていく小春の口調に微笑ましさを覚える。
そう、小春は甘党なのだ。昔から甘いものが好きで、辛いもの、苦いもの、酸っぱいものが苦手だった。それは晴も同じだった、さすがにブラックで飲むつもりはない、砂糖を入れないとコーヒーは飲めないが、小春はそれすらも飲めない。恐らく砂糖増し増しでないと口につけることもできなかった。この話は中学一年生のときのものなので、今は分からないが。
「それにね、飲めないと、ずっと味覚が一緒だったお兄ちゃんに置いて行かれているようでいやなの…」
「なるほどね」
そういう理由があったのかと晴は理解した。小春は意外と寂しがりやでもあったので、コーヒーを飲みだした晴に置いて行かれている気がして、少し寂しかったのだろう。
「生まれたときから、ずっと一緒で、味覚も好みも毎回一緒で、それで喧嘩したりもしたね」
「そんなこともあったな」
「でも、いつの間にかお兄ちゃんのことが好きで好きでたまらなくなってた」
そう言うと、小春は段々顔を赤らめていった。自分で言った言動で羞恥に染まる小春を見て、さっきの言葉を思い出した晴も少し恥ずかしくなった。
「まぁ、そういうことなら、止めるわけにもいかないか…」
晴はそう言ってため息を吐き、砂糖を少し多めに持ってきた方がいいと思った。
「お待たせいたしました」
そうこうしているうちに店員がコーヒーを持ってくる。そして、コーヒーをそれぞれテーブルに置きながら、店員はにこやかな表情をして、
「すごく仲のいいカップルですね、羨ましです」
こう言った。
それに対して、別に何も言わなくていいかとも思ったが、小春の為にも一応訂正しておく。
「い、いえ、兄妹ですので…はは」
晴はそう言って苦笑を浮かべる。すると店員は、錆びついた機械のような首使いで小春に視線を向ける。
そうなんですか?と視線を向けられた小春は少し不機嫌に晴を睨みつけながら、「はい…」と頷いた。
「も、申し訳ありませんっ…!」
店員はそう言って、何度も平謝りし、店裏に消えていった。
「勘違いさせたままでも良かったのに」
まだ不機嫌そうにそっぽを向いてる小春は、唇を尖らせていた。
「い、いやさすがに駄目だろ?小春のためにも」
その言葉が嬉しかったのか、少し機嫌を直した小春は、お詫びに、帰ったら何か言うこと聞いてねと言って、コーヒーに砂糖とミルクを入れ、口につける。
「っ……!?お兄ちゃん…!」
「ん?」
「飲める…!」
そう言って、子供みたいにはしゃぐ小春を見て、晴は微笑んだ。
そして、コーヒーも飲んで一休みした後、次にどこに行くかを決めていた。
「小春は何か買うものとかないのか?ほら、春物とか、ちょっと早いけど夏物とか」
「んー、そうだね、春物の服をちょっと買いたいかも」
「じゃあ、そうするか」
そう言ってカフェを出て、服飾系が集まっているフロアへ向かった。
すると、後ろから晴や小春にとっては聞き慣れた声が飛んできた。
「あれ?晴くん?」
そして、後ろを振り向くとそこには幼馴染である、橘小菜が立っていた。
晴と小春の高校入学まであと1日!
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる