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03 別れを宣言されました
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「君は何て冷たい女なんだ!
そんな女は要らない!
いくら美しくたって冷たい女になど何の魅力も価値も無い!
君とは終わりだ!
私は他を探す!
優しい女を探す!
金輪際、君の顔など見たくない!」
そう吐き捨てて部屋を後にするテナークス。
その後ろ姿にピウスは
(あなたには愛があるとでも?アッロガーンスへ来てから2年半…私に対する愛を感じた事は1度も無いわ――あなたはいつも求めるだけなのね…)
と心の中で呟く。
口に出さないのは諦めているからだ。
何を言っても無駄だろうと。
アッロガーンス王は大勢の側妃を持つが子を生したのはテナークスの母だけ。
王の唯一の子供である彼は文字通り『国の宝』として大切に大切に育てられた。
我慢を知らずに育った王太子。
普段は穏やかで優し気な理想の王太子様だが思い通りにならない事に耐えられない。
自分を制御出来ず――いや、制御しようともせずキレて感情のままに振る舞う。
過去には怒りのままに首を刎ねられた者も複数人いるという――
(とうとう別れを宣言されてしまったわ…これって婚約破棄よね?)
グチャグチャになったテーブルの上をぼんやり目に映しながらピウスはハァと溜息をつく。
直ぐに王宮へ呼び出されて正式に婚約破棄となるだろう。
理由は何にされるだろうか?
案外そのまま『優しくないから』かもしれない。
うん、多分そうだ…
そうなったら何処へ行こう…
今住んでいる修道院は絶対出なきゃならないだろうし…
いっそ帝国へ行こうかしら。
働き口が一番見つかりそうなのは一番栄えている帝国だもの…
ぼんやりそんな事を考えるピウスにはそう、帰るべき故郷が無い。
カラクテリスティカの王女であってもカラクテリスティカへは帰れない。
カラクテリスティカでの王女としての人生は終わっている。
3年半前、正妃である母が亡くなり側妃が正妃の座に就いてからだ。
頼りの父は元側妃の言いなりで。
ピウスは母を亡くした悲しみの中、『信じていた父』をも失くした。
14才で一変した生活。
王宮から離れた寂れた離宮へ移され。
僅かの使用人だけが付けられたがそれも一月後には老婆一人だけとなった。
それまでピウスに付けられていた予算は全て側妃の子供達に吸い取られ。
『血の繋がり』の空ろさと『母を亡くした王女の立場』の儚さを消化できないまま1年ほど過ごし。
15才になった初春に約束通りアッロガーンス王国へ来たのだ。
(テナークス殿下との関係が終わったのだからアッロガーンスは出て行くべきよね…カラクテリスティカへも帰れない…帝国なら…あぁ、考えが堂々巡りね)
店員が様子を見に来たタイミングでピウスはカフェを後にする。
(先ずは正式に婚約破棄されるのを待ちましょう――全てはそれからよ)
アッロガーンスでの滞在地である修道院へ帰る足取りが心なしか軽いピウスである。
そんな女は要らない!
いくら美しくたって冷たい女になど何の魅力も価値も無い!
君とは終わりだ!
私は他を探す!
優しい女を探す!
金輪際、君の顔など見たくない!」
そう吐き捨てて部屋を後にするテナークス。
その後ろ姿にピウスは
(あなたには愛があるとでも?アッロガーンスへ来てから2年半…私に対する愛を感じた事は1度も無いわ――あなたはいつも求めるだけなのね…)
と心の中で呟く。
口に出さないのは諦めているからだ。
何を言っても無駄だろうと。
アッロガーンス王は大勢の側妃を持つが子を生したのはテナークスの母だけ。
王の唯一の子供である彼は文字通り『国の宝』として大切に大切に育てられた。
我慢を知らずに育った王太子。
普段は穏やかで優し気な理想の王太子様だが思い通りにならない事に耐えられない。
自分を制御出来ず――いや、制御しようともせずキレて感情のままに振る舞う。
過去には怒りのままに首を刎ねられた者も複数人いるという――
(とうとう別れを宣言されてしまったわ…これって婚約破棄よね?)
グチャグチャになったテーブルの上をぼんやり目に映しながらピウスはハァと溜息をつく。
直ぐに王宮へ呼び出されて正式に婚約破棄となるだろう。
理由は何にされるだろうか?
案外そのまま『優しくないから』かもしれない。
うん、多分そうだ…
そうなったら何処へ行こう…
今住んでいる修道院は絶対出なきゃならないだろうし…
いっそ帝国へ行こうかしら。
働き口が一番見つかりそうなのは一番栄えている帝国だもの…
ぼんやりそんな事を考えるピウスにはそう、帰るべき故郷が無い。
カラクテリスティカの王女であってもカラクテリスティカへは帰れない。
カラクテリスティカでの王女としての人生は終わっている。
3年半前、正妃である母が亡くなり側妃が正妃の座に就いてからだ。
頼りの父は元側妃の言いなりで。
ピウスは母を亡くした悲しみの中、『信じていた父』をも失くした。
14才で一変した生活。
王宮から離れた寂れた離宮へ移され。
僅かの使用人だけが付けられたがそれも一月後には老婆一人だけとなった。
それまでピウスに付けられていた予算は全て側妃の子供達に吸い取られ。
『血の繋がり』の空ろさと『母を亡くした王女の立場』の儚さを消化できないまま1年ほど過ごし。
15才になった初春に約束通りアッロガーンス王国へ来たのだ。
(テナークス殿下との関係が終わったのだからアッロガーンスは出て行くべきよね…カラクテリスティカへも帰れない…帝国なら…あぁ、考えが堂々巡りね)
店員が様子を見に来たタイミングでピウスはカフェを後にする。
(先ずは正式に婚約破棄されるのを待ちましょう――全てはそれからよ)
アッロガーンスでの滞在地である修道院へ帰る足取りが心なしか軽いピウスである。
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