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30 光の中に舞い降りる
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(何でこの王女はアタシを恐がらない?)
クピドゥスはイライラする。
平民だろうが貴族だろうが自分に対峙した男は欲情し女は怯える――
『何をして来るか分からないケモノ』として、貴族女性だって恐怖に震えるのだ。
(この王女は決して無表情じゃない…なのにその顔に恐怖が浮かんだことが無い)
クピドゥスが初めて対峙する『得体の知れない女』
焦ったクピドゥスはベラベラとお喋りが止まらない。
「そうだよ!ホラ、『王太子特権』?とかいうヤツ?すぐにその場で執行出来るって言ってたからさ。逃げようたって無理だよ!200人のバリバリの精鋭騎士達に囲ませてネズミ一匹逃げられないさ!テナ様はあんたの手作り弁当食えなかったのが相当ムカついたらしくてさ…『食いもんの恨みは恐ろしい』ってのは王太子も変わんないんだねぇ‥」
すっかり地の話し方に戻って話し続けるクピドゥスだが…
ザッ!
「ピウス姫こちらへ!あなたを安全な場所へお連れした後私が救出に向かいま‥」
カッ
緊急事態に姿を現したアクーメンとクピドゥスの視界が真っ白になる――
ふわり‥ひら‥
ひらひらり‥
真っ白になった視界が徐々に回復していく…
校庭にいる者達が目にしているのは光…
空中をふわりひらりと花びらの様に舞う色とりどりの美しい光…
そしてその光の中に現れたのは――
「…女神…」
「女神だ…春の女神が舞い降りた…」
「ありがたい…尊い…あぁ、女神様…」
「‥ピウス姫!‥」
ウィースの目の前にウィースを守る様に現れたピウス。
ウィースの首を刎ねようとしていた騎士団長もその部下達もふわりとした感覚がしたと思ったら20メートルほど移動していて。
ピウスとウィースの周り半径20メートルには誰もいない状態になっている。
ピウスはウィースに背を向ける形で。
きっちりと纏めていた薄葡萄色の長い髪は解けてふわふわと空気中を遊ぶので。
ウィースからは華奢な…だが揺るぎない強さを秘めた背中が見える。
ふわりと振り返りウィースの無事を確認したピウス。
オーキッドピンクの瞳が安堵に輝くのを見てウィースの鼓動が跳ねる。
「‥あなたって人は…!」
震える声でそう言うウィースにふわりと微笑み頷いて。
ピウスはぼんやり自分を見ている王太子に…
パンパンパン…
拍手を贈る。
「…え?」
呆けた声を出す王太子にピウスは艶やかな声で
「見事な演技でしたわ、テナークス殿下」
「…へ?…え、演技?」
「ええ。――皆様、大変お騒がせいたしました!実はこれ、テナークス殿下から皆様への卒業プレゼントですの!明後日に卒業を控えられた王太子殿下があまり知られていない王太子の仕事の一部を皆様にお見せしようと企画されたのですわ――そうですわね?テナークス殿下」
「‥え‥ああ、そうだ‥ピウス姫の言う通りだ‥」
幻想的な美しさを放つピウスにぼーーーっとして。
王太子はふにゃけた顔で適当に肯定する。
クピドゥスはイライラする。
平民だろうが貴族だろうが自分に対峙した男は欲情し女は怯える――
『何をして来るか分からないケモノ』として、貴族女性だって恐怖に震えるのだ。
(この王女は決して無表情じゃない…なのにその顔に恐怖が浮かんだことが無い)
クピドゥスが初めて対峙する『得体の知れない女』
焦ったクピドゥスはベラベラとお喋りが止まらない。
「そうだよ!ホラ、『王太子特権』?とかいうヤツ?すぐにその場で執行出来るって言ってたからさ。逃げようたって無理だよ!200人のバリバリの精鋭騎士達に囲ませてネズミ一匹逃げられないさ!テナ様はあんたの手作り弁当食えなかったのが相当ムカついたらしくてさ…『食いもんの恨みは恐ろしい』ってのは王太子も変わんないんだねぇ‥」
すっかり地の話し方に戻って話し続けるクピドゥスだが…
ザッ!
「ピウス姫こちらへ!あなたを安全な場所へお連れした後私が救出に向かいま‥」
カッ
緊急事態に姿を現したアクーメンとクピドゥスの視界が真っ白になる――
ふわり‥ひら‥
ひらひらり‥
真っ白になった視界が徐々に回復していく…
校庭にいる者達が目にしているのは光…
空中をふわりひらりと花びらの様に舞う色とりどりの美しい光…
そしてその光の中に現れたのは――
「…女神…」
「女神だ…春の女神が舞い降りた…」
「ありがたい…尊い…あぁ、女神様…」
「‥ピウス姫!‥」
ウィースの目の前にウィースを守る様に現れたピウス。
ウィースの首を刎ねようとしていた騎士団長もその部下達もふわりとした感覚がしたと思ったら20メートルほど移動していて。
ピウスとウィースの周り半径20メートルには誰もいない状態になっている。
ピウスはウィースに背を向ける形で。
きっちりと纏めていた薄葡萄色の長い髪は解けてふわふわと空気中を遊ぶので。
ウィースからは華奢な…だが揺るぎない強さを秘めた背中が見える。
ふわりと振り返りウィースの無事を確認したピウス。
オーキッドピンクの瞳が安堵に輝くのを見てウィースの鼓動が跳ねる。
「‥あなたって人は…!」
震える声でそう言うウィースにふわりと微笑み頷いて。
ピウスはぼんやり自分を見ている王太子に…
パンパンパン…
拍手を贈る。
「…え?」
呆けた声を出す王太子にピウスは艶やかな声で
「見事な演技でしたわ、テナークス殿下」
「…へ?…え、演技?」
「ええ。――皆様、大変お騒がせいたしました!実はこれ、テナークス殿下から皆様への卒業プレゼントですの!明後日に卒業を控えられた王太子殿下があまり知られていない王太子の仕事の一部を皆様にお見せしようと企画されたのですわ――そうですわね?テナークス殿下」
「‥え‥ああ、そうだ‥ピウス姫の言う通りだ‥」
幻想的な美しさを放つピウスにぼーーーっとして。
王太子はふにゃけた顔で適当に肯定する。
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