あと6日で王太子を振り向かせたい王女は護衛にドキドキしている場合ではない!

ハートリオ

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44 王太子は決意する

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初めてのお茶会に君は母親とともに現れた。

少女のような風貌でありながら気高く凛として厳かな空気さえ醸し出すカラクテリスティカ正妃。

その横に母親に負けないほど輝くオーラを放つ3才の君。

それまで『可愛い』は自分の為の言葉だった。

だけど天使――

大きなオーキッドピンクの瞳をキラキラさせて花の様に笑ってくれた3才のピウス姫。

君と会った瞬間から『可愛い』は君だけの言葉になった。

薄い葡萄色のつややかな髪がそよ風に揺れるさまは幻想的。

それまでは自分と同じレモンイエローの髪にキャロットオレンジの瞳ばかり見て来たからピウス姫の優しい色は夢の様――

だけど。

『き、君の色ってさ、何かぼやけてる!…よね…』

庭園を案内してあげなさいと言われ2人きりになったタイミングで開口一番そう言ってしまった。

テーブルを離れる瞬間、ささやき女将…いや母上に耳打ちされたからだ。

『あの子が気に入ったんなら、つけ上がらせちゃダメよ?女は冷たい男が好きなの。髪や目の色をぼやけた色だと言っておやりなさい』

――言わなければ良かったと思った。

ピウス姫が悲しそうな顔をした後俯いてしまったからだ。

だけどピウス姫はすぐに顔を上げて。

『…テナークス殿下の色は元気で素敵な色ね』

本ッ当に言わなければ良かった!!

更にその後遠慮がちに言われてしまった。

『色の話はここだけにしておきましょう?
…私の色はそのまま私のお父様…カラクテリスティカ国王陛下と同じ色だから』

そうだ。
しまった。
つまり私は隣国の国王陛下の色を貶めた事になるのだ…
どの国でも男の子でも女の子でも子供は全て父親の色を持って生まれてくる。
何度か聞いていて知っていたのに…
と言うかコレを言わせた母上愚か過ぎないか?

すっかり青ざめた私にピウス姫が気を遣って色々話し掛けてくれたっけ…

そんな思い出に胸が痛くなる。

『君の髪、とってもきれいだね!瞳もすごく可愛いよ!』
ただそう言えば良かったんだ――

幼過ぎて私は不器用――いや、待てよ?

そう言えば私は今まで1度もピウス姫の美しさを褒め称えた事が無かったな…

最初で失敗したと思ったのにその後もずっと母上のアドバイス通り『冷たい男』を演じて来たんだっけ――

フッと息を吐き。

何て馬鹿だったんだろうとテナークスは思う。

今、真っ直ぐ自分に向かって歩いて来るあの美しい人に今こそ本心を告げよう。

君が目の前で立ち止まったらスッと跪き、その手に口付けを落とそう――

そして今更だけどエスコートさせて欲しいと頼むのだ。

クピドゥスは怒り狂うかもしれないがもうどうでもいい。

『ピウス姫が泣いて喜ぶような閨テク色々』など私達には必要無い。

だって愛し合っているのだから――

ピウス姫がどんどん近付いて来る。

――あああスタイルが良すぎるッ

シンプルなマーメイドドレスはそのけしからんナイスバディを際立たせている!

体を覆う布が歩く度に柔らかに滑らかにボディラインをなぞって動くのはコルセットを使っていないのだな…

コルセット無しでそのボディラインは奇跡で間違い無い!

歩を進める度に揺れるバスト…肌の露出は少ないものの布の上からでもその自然な揺れに頭がクラクラする。

脱いだらどこかへ消えてしまうクピドゥスの巨乳とは違いピウス姫の豊かなバストは脱いでも消えない気がする…

ッ、来た!
いや、焦るな!あと2歩待て!

そうしたら私は跪いて――

ザッ!

!?


ピウス姫が私の視界から消えた!?
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