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60 卒業パーティーの後
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怒涛の卒業パーティーの後。
先ず、カラクテリスティカ王家が崩壊した。
素っ裸&両手で口を押えた現正妃を伴った王が帰還しようとした宮殿は凄まじい暴風被害で大昔の遺跡の様な姿に変わり果てていた。
現正妃の一族の邸、不動産類は全て同様の被害を受けており、外国へ逃げても同じ事だった。
風の妖精の怒りは凄まじく鎮まる事なく――
現正妃は発狂し王と娘達を殺して息絶えた。
現正妃の一族もほぼ同じ道を辿った。
その後、カラクテリスティカは暫定的に帝国が管理している。
アッロガーンスでは卒業パーティーの翌日すぐに王妃が毒杯を呷った。
最後までつらつらと恨み言を言い続けた王妃は母として、王妃としての自分の罪に気付いていない。
王妃は間違ったのだ。
媚薬などの小細工で騙し討ちの様な事ばかりせずにピウスの理解を求めれば良かったのだ。
ピウスにテナークスが『光り輝く王太子』である事を早々に打ち明け、性欲が異常に強い事を説明し、その上で結婚前に閨を受け入れるかどうかはピウスに委ねれば良かったのだ。
母を亡くし母国で冷遇されていた王女が男女の事…男性の生理について無理解である事を理解し、義母として、女性の先輩として男性の事情を説明すればピウスは理解し、少なくとも王太子に生理的嫌悪感を持つ事は無かったはずだ。
婚約が内側から破綻する事は無かったはずなのだ。
とうとうブチ切れて男爵令嬢に走るまではテナークスは激しい性欲に苛まれながらも求めたのは女ではなかった。
ただ一人の女、ピウスだけだったのだから――
王妃の死の半年後、クピドゥスが無事男の子を出産した。
だが。
「青い髪に灰色の瞳…クピドゥス、これはどういう事だ…」
レモンイエローの髪にキャロットオレンジの瞳のテナークス王太子が妃となったクピドゥス元男爵令嬢に虚ろに問い掛ける。
いや、問い掛けではなく呟きだ。
問う必要は無い。
赤子の色が答だ。
子供は必ず父親の色を受け継ぐのだ――
つまり生まれて来た赤子はテナークスの子供ではない…
「ねぇちょっと!今なの?アタシ出産したばっかで凄い疲れてんのよ!?眠りたいの!後にしてよ!」
そう言いながらテナークスの顔を見たクピドゥスはハッとする。
何も映していない様な瞳…
怒っている様ではない――
なのにヒヤリと心臓が冷え。
クピドゥスは卒業パーティー直後のピウスとの女2人だけの会話を思い出す。
「あの、あのさッ」
卒業パーティー直後、通路でピウスに話し掛けたクピドゥス。
ピウスは人払いした上で控室を借り、クピドゥスと2人だけの話し合いに応じた。
「あ、あのさッ、アタシもちょこっとだけアンタに意地悪っぽい事しちゃったかもしんないけどさ、許してくれるよね?アタシ悪気は全然無かったんだし、アンタは何でも持っててハッピーだからさ、いいでしょ?お、怒ってる?」
「何も怒っていませんわ」
「!‥そ、そう‥良かった!‥じゃあ、妖精を使って復讐なんてしないよね!?」
「まさか。上手い事『切り札』を出してくれて感謝していますわ」
「え…!?『切り札』!?」
「ええ。あなたが妊娠している事、アッロガーンス王家語を話せる事」
「えッ!?それは‥」
それは『クピドゥスの切り札』だ。
ピウスから王太子妃の座を奪うための――
「…どういう事?」
先ず、カラクテリスティカ王家が崩壊した。
素っ裸&両手で口を押えた現正妃を伴った王が帰還しようとした宮殿は凄まじい暴風被害で大昔の遺跡の様な姿に変わり果てていた。
現正妃の一族の邸、不動産類は全て同様の被害を受けており、外国へ逃げても同じ事だった。
風の妖精の怒りは凄まじく鎮まる事なく――
現正妃は発狂し王と娘達を殺して息絶えた。
現正妃の一族もほぼ同じ道を辿った。
その後、カラクテリスティカは暫定的に帝国が管理している。
アッロガーンスでは卒業パーティーの翌日すぐに王妃が毒杯を呷った。
最後までつらつらと恨み言を言い続けた王妃は母として、王妃としての自分の罪に気付いていない。
王妃は間違ったのだ。
媚薬などの小細工で騙し討ちの様な事ばかりせずにピウスの理解を求めれば良かったのだ。
ピウスにテナークスが『光り輝く王太子』である事を早々に打ち明け、性欲が異常に強い事を説明し、その上で結婚前に閨を受け入れるかどうかはピウスに委ねれば良かったのだ。
母を亡くし母国で冷遇されていた王女が男女の事…男性の生理について無理解である事を理解し、義母として、女性の先輩として男性の事情を説明すればピウスは理解し、少なくとも王太子に生理的嫌悪感を持つ事は無かったはずだ。
婚約が内側から破綻する事は無かったはずなのだ。
とうとうブチ切れて男爵令嬢に走るまではテナークスは激しい性欲に苛まれながらも求めたのは女ではなかった。
ただ一人の女、ピウスだけだったのだから――
王妃の死の半年後、クピドゥスが無事男の子を出産した。
だが。
「青い髪に灰色の瞳…クピドゥス、これはどういう事だ…」
レモンイエローの髪にキャロットオレンジの瞳のテナークス王太子が妃となったクピドゥス元男爵令嬢に虚ろに問い掛ける。
いや、問い掛けではなく呟きだ。
問う必要は無い。
赤子の色が答だ。
子供は必ず父親の色を受け継ぐのだ――
つまり生まれて来た赤子はテナークスの子供ではない…
「ねぇちょっと!今なの?アタシ出産したばっかで凄い疲れてんのよ!?眠りたいの!後にしてよ!」
そう言いながらテナークスの顔を見たクピドゥスはハッとする。
何も映していない様な瞳…
怒っている様ではない――
なのにヒヤリと心臓が冷え。
クピドゥスは卒業パーティー直後のピウスとの女2人だけの会話を思い出す。
「あの、あのさッ」
卒業パーティー直後、通路でピウスに話し掛けたクピドゥス。
ピウスは人払いした上で控室を借り、クピドゥスと2人だけの話し合いに応じた。
「あ、あのさッ、アタシもちょこっとだけアンタに意地悪っぽい事しちゃったかもしんないけどさ、許してくれるよね?アタシ悪気は全然無かったんだし、アンタは何でも持っててハッピーだからさ、いいでしょ?お、怒ってる?」
「何も怒っていませんわ」
「!‥そ、そう‥良かった!‥じゃあ、妖精を使って復讐なんてしないよね!?」
「まさか。上手い事『切り札』を出してくれて感謝していますわ」
「え…!?『切り札』!?」
「ええ。あなたが妊娠している事、アッロガーンス王家語を話せる事」
「えッ!?それは‥」
それは『クピドゥスの切り札』だ。
ピウスから王太子妃の座を奪うための――
「…どういう事?」
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