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3巻
3-2
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ユリアと別れた後、俺はハンターギルドに立ち寄った。
家を手に入れるにはどうしたってお金はかかるので、依頼を見繕っておかないといけないからだ。
「あら、ヒュウガじゃない。一人で珍しいわね」
受付カウンターにいたギルドマスターのエルフの女性――クラリスが、俺に微笑みかける。
「やあ、クラリス。今、物件を探していたところでね」
「いよいよ、本格的に住む準備ってことかしら? 私もしばらくこの町にいるから、これからもよろしくね?」
「こちらこそ」
「といっても……一瞬の出来事でしょうけどね……」
そう言って、クラリスは寂しそうに笑う。
長命なエルフの彼女は、きっと何百年も人を見送ってきたのだろう。
クラリスにも世話になっているし、ここらで恩返しをしておきたいところだ。
「じゃあ、思い出を作っておかないとな。せっかくだから、どこかに出かけるか? 以前、デートがどうのこうの言っていたし」
「あら……覚えていたのね? ふふ、あんまり待たせるから、もう少しでキレるところだったわ」
クラリスは微笑みを浮かべるが、目が笑っていない。
それでどこに行くかだが……そういうことは自分で考えろとか言っていたな。
「……か、狩りでも出かけるか?」
以前、クラリスと一緒に戦った時、とても楽しかった記憶がある。
なんというか、相性が良いというか。
「ロマンのカケラもないわね……」
「す、すまん……嫌か?」
「そんなことはないわよ。大事なのは、何をするかではなく誰とするかだもの。まあ、それに、ヒュウガらしいし」
一瞬クラリスが呆れ顔になるが、その表情がすぐに和らいだので、俺は胸を撫で下ろす。
「ほっ……クラリスも気に入っていた〝アレ〟を作ろうと思ってさ。あと、実は……」
領主と話し合って、指名依頼を出してもらったことを伝える。
「へぇ……あのアイザックがねぇ~。まあ、堅物で野心家ではあるけど……根っこの部分は悪い奴ではないわね。きちんと契約したことには応えるでしょう」
「クラリスがそう言うなら安心だな」
「い、いや、そんなにまっすぐな目で見られても……で、依頼はいつになるの? 私も食べたいわ」
「え? ……領主さん、さっきギルドに行くって言ってたけど?」
「なんですって? 私は……さっきまで寝ていたわね。少し待っていてちょうだい」
クラリスは慌てて席を立つと、職員を捕まえて何やら話しかけている。
すると、すぐに職員が封筒を持ってきた。
「これね……ワイバーンの卵採取の指名依頼。お届け先は領主の館。その際にパンケーキなる物を最低でも十枚は持ってくること。報酬は……金貨四枚の予定……太っ腹ね」
「通常、ワイバーンの依頼は金貨一枚だから……パンケーキが金貨三枚!?」
思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
命懸けで倒す魔物よりパンケーキが高いとか、なんかおかしくないか!?
「どうやら、余程気に入ったみたいね。まあ、無理もないわ。長年生きている私ですら、あんなのは初めてだもの」
「それが疑問なんだよな。レシピは簡単なんだから、他の誰かが思いついていそうなものだけど」
「卵を加工するという考えが浮かんだとしても……それを実行する人はいないでしょうね」
「どうしてだ?」
「卵の依頼は危険度が高いわ。ワイバーンの卵をとるとなったらC級上位の実力が必要になるもの。C級ハンターというのは、もうベテランクラスよ? その人達が命がけで取ってきたもの。報酬に金貨が必要になるようなものをお試しで使って、失敗したらどうなると思う?」
「……プレッシャーがえげつないな」
「でしょ? だから、普通はレシピが知られている料理しか作らないわね。最初から作り方を知っている貴方ならまだしもね」
「そっか……じゃあ、アイスとかもないだろうな」
「アイスって、氷を食べるの?」
アイスクリームを知らないのか、クラリスはきょとんとしている。
「えっと……氷ではなくて、牛乳と卵と砂糖を入れて……」
簡単にアイスクリームの説明をすると、彼女は綺麗な顔をずいっと近づけてくる。
「何それ!? 食べたいんだけど!?」
「わ、わかった! わかったから!」
「約束よっ! ふふ~楽しみが増えたわ」
「ハハ……善処する」
勢いで頷いてしまったが、作り方を正確に覚えていないとはもう言えない……
「あっ――じゃあ、一緒にワイバーンを狩りに行こうかしら? そうすれば手間もかからないわね」
「俺としてはありがたいが……いいのか?」
「その代わり、パンケーキを所望するわ。あと、アイスクリームというものを一番に食べさせること……いいわね?」
目が真剣だ……どこの世界でも、女性はみんな、甘いものには目がないようだ。
「わかった、約束するよ」
「決まりねっ! じゃあ、さっさと仕事しないと……! 明日の朝に来なさい!」
そう言うと、クラリスは風のように去っていった。
ほんと……楽しい人だよな、クラリスって。
宿に帰ると……庭にゴランが倒れていた。その傍らではエギルが腕組みしている。
「あ、兄貴……ゲフッ!?」
「ヒュウガ、帰ったか」
「やあ、エギル。ゴランの鍛錬は終わったのか?」
「ひとまずはな。だが、まだまだだ。此奴は、未だに潜在能力を開花しきっていない」
「へぇ、そいつは凄いな。ステータス上限が高いってことか? 既にBクラスはあるのに」
「もしかしたら、我やお主に並ぶかもしれぬ」
「エギルがそこまで言うか……」
「ただ、本人のやる気があればの話だが」
「なんか、俺も負けていられないな」
ゴランは俺に憧れていると言ってた。その俺が変わらないままじゃ、ゴランにも失礼だ。
「ふむ……では、久々にやるか?」
エギルが袖を捲り上げ、臨戦態勢に入る。
「いいな、それも」
俺も意識を切り替え、戦闘モードに入る。
「ほう? 気配が以前と違うな?」
「少し、自分に正直になってみた。俺も、どうやら戦うことが好きらしい。今までは誤魔化してきたけど、この世界で生きる覚悟を決めたから」
「ククク……嬉しいぞヒュウガ! では――尋常に勝負!」
「おう!」
「ん? ……待ってくれ! 兄貴達がこんなところで鍛錬したら……あれ?」
どうやらゴランが目を覚ましたようだが……それどころではない。
「「フヌゥゥゥ――!!」」
お互いに一歩も引かずに組み合い、押し相撲対決を始める。
初めて会った時に、エギルとやったやつだ。
「わ、我とて無策ではない!」
以前よりエギルの力が増しているように感じる……いや、体幹が安定したのか?
「あれから考えた! 我は己の身体を過信していた! 最強の肉体を持って生まれたことを! 感謝する! お主のおかげで我は高みへと行ける!」
「そういうこと……だが――俺に一日の長があったな」
「な、なに……!?」
足の裏から腰、腰から腕へと、力を連動させる。
祖父さんに嫌というほど鍛えられた動きだ。
思い切り押し出すと、エギルが尻もちをつく。
「ク……クハッ!?」
「ハァ……なんとか勝ったか」
「参った……いやはや、見事である。我も、もっと研鑽を積まなくては」
俺はエギルを引っ張り起こす。
「エギル、これからもよろしくな」
「ああ、友よ。こちらこそだ」
仲間がいて、友達がいて、家族がいる。それに好きな人まで……俺は幸せ者だな。
◆
翌朝、俺は約束した通り、クラリスと出かける準備をしていた。
食事を済ませて、朝の鍛錬を終え、お留守番のみんなに見送られる。
「ゴラン、すまないが後を頼む」
「へいっ! お嬢とセツさんは、このゴランが命に代えても守ってみせやす!」
今日は俺一人で行くつもりだ。
セツやノエルも連れて行こうかと思ったのだが……昨夜みんなに「さすがにそれはない」と、ダメ出しされてしまった。
セツがいれば、喜ぶかと思ったんだが、俺一人と出かけて、クラリスは楽しいのだろうか。
そんなわけで……俺はハンターギルドを訪れる。
「あれ?」
ハンターギルドの入り口には、すでにクラリスが待っていた。
「あれ? 待たせたか?」
「いいえ、そんなことないわ。少し楽しみで待てなかっただけよ」
……そ、そんなに楽しみなのか。ふむ、嬉しいものだな。
「俺一人だけどいいのか?」
「……というか、一人じゃなかったら怒るわよ。デートって言ったじゃない」
「い、いや、それはわかっているんだが……」
デートなんて慣れていないし……まして相手がエルフだと、さっぱり勝手がわからない。
「ふふ、まあいいわ。きちんと一人で来たから。どうせ誰かに言われたんでしょうけど」
「ご名答……みんなに一人で行けって言われたよ」
「あらあら、彼らに感謝しないとね。さあ、行きましょう」
「馬はどうする?」
「私とヒュウガなら走った方が速いし」
「わかった。では、早速出かけるとしようか」
「ふふ、狩りとはいえ……デートの開始ねっ!」
クラリスが思わずといった様子で笑みをこぼす。
以前、クラリスは俺並みのスピードで走ったことがあった。ステータスは、俺の方が高いのに。
ずっと気になっていたので、聞いてみる。
「前にクラリスが随分速く走っていたが、アレはなんだ?」
「ああ、アレね。簡単よ。脚に風を纏わせたのよ」
「脚に風……風魔法で自分を押し出す感じか?」
「うーん……合っているかしら。感覚的には、滑りながら走る感じね」
滑りながら走る……なるほど、スケートみたいな感じか。
「言っておくけど、エルフ固有の技だからね? 風に愛されてないと」
「へぇ、そういうのもあるのか」
「ほらっ! そんなことより行くわよっ!」
町を出た俺達は、会話を終えワイバーンのいる山へと走り出す。
「やっぱり良いわねっ! 全力で走ってもついてこられる人がいるって!」
「それには同感だな」
セツやゴランもそうだが、エギルでさえ俺の最速にはついてこられない。
しかし、クラリスは風を纏えば俺と並走が可能なようだ。
「気持ち良いわ……何百年ぶりかしら」
「思い出になりそうか?」
「もちろんよっ! こんなに速い人なんていないんだからっ!」
そう言って、子供のようにはしゃぐクラリスを見て……なんだか、温かい気持ちになる。
「同じ種族にはいないのか?」
「うーん……私って、少し特別な存在でね。エルフの中でも古い血を持っているというか……だから、他のエルフより能力が優れているのよ」
「へぇ、俺はクラリスしか知らないからなぁ」
「会ったらびっくりするわよ? 性格悪いし、理屈臭いし、他種族を見下すし。自分達が一番優れた種族だと思っているのよ、そんなわけがないのに」
そう言って、クラリスは自嘲する。
「じゃあ、俺は運が良かったな。こんなに楽しくて温かみのあるエルフに会えたんだから」
見ず知らずの俺に、色々教えてくれたし、親切にしてくれた。セツやノエルも可愛がってくれている。
クラリスは照れくさそうに笑って、そっぽを向いてしまった。
「えいっ!」
――かと思ったら、いきなり背中を叩かれた。
「イテッ!」
「ヒュウガ! 貴方は良い人間ねっ!」
「……褒め言葉として受け取っておくよ」
まあ、物凄くご機嫌だから良いか。
そして、あっという間に、以前ワイバーン狩りに来た岩山に到着する。
「さて、ではどうする?」
俺はクラリスに話しかけるが、彼女は先程までとは一転して、神妙な顔をしている。
「風の様子がおかしい……?」
「えっと……」
「あっ、ごめんなさいね。少し風がざわついていた気がして」
「へぇ、虫の知らせみたいなことか。わかった。心構えをしておこう」
周囲を警戒しながら山を登りはじめるが、今のところ特に問題はない。
やがて、ワイバーン達の姿がちらほらと見えてきた。
「あっ、いたわね」
「あれ? 前はもっと高い位置にいたんだが……それに数が少ない。狩りにでも行っているのか?」
「それもあるわね……いいわ、ある意味チャンスだし」
「それで、作戦はどうする?」
「卵やワイバーンを傷つけるわけにはいかないし……私が風で奴らを集めるから、ヒュウガがトドメをお願い」
確かに、あまり傷をつけない方が良いか……
「ヒュウガもB級だからね。これからは依頼主の意向や、自分で考えてやっていかないといけないわよ?」
「うっ……善処する」
「いいわ、私が教えてあげるわよ。貴方って常識人に見えて、意外ととんでもないことしそうだし。だから、私が見ていてあげないとね。さあ、いくわよ?」
「おう、俺は上で待機している」
俺は槍を持って岩場を飛び跳ねていき、手頃な岩陰に隠れる。
「風よっ、私の願いを聞いて――トルネード!」
クラリスが強そうな魔法を放ち、彼女を中心に風が渦巻く。
しかし、音は凄いが……敵に当たっていない? どういうことだ?
いや……あれは、魔法で風の流れを変えているのか?
上空にいるワイバーンが、その風に吸い寄せられて、高度を落とす。
なるほど、攻撃だけでなく、こういうやり方もできると。
「ヒュウガ! 魔法を解くわよ!?」
「おう!!」
魔法が消えると同時に、俺は岩場から飛び出す。
「クギァァ!!」
「ゲァァ!」
俺はワイバーンの上に乗り、その首を落とす。
次の獲物に飛び移り、続けざまに仕留めていく。
「クラリス!」
「わかっているわっ! 風よっ!」
風が吹き、仕留めたワイバーンの死体がゆっくりと落ちていく。これならば、傷つけることもあるまい。
そして、俺は四匹のワイバーンを仕留めた。
「ふぅ……どうだ?」
「良い状態よ。首だけが見事にないしね」
「ほっ、よかった」
「さあ、他のが来ないうちに、卵を拾いに行きましょう」
最初に奴らがいた場所の近くを探すと、斜面に洞窟が見つかった。
中は巣になっており、俺はそこから卵を回収する。
「よし、これだけあれば……」
と一息ついたところで、クラリスが警告の声を上げる。
「ヒュウガ!」
「どうした!?」
慌てて、洞窟内から出ると……巨大な影が視界を埋め尽くした。
あまりに大きくて、まるで全貌が見えない。
「な、なんだ?」
「ヒュウガ! 上よ!」
上を見ると……突然、巨体な火の塊が降ってきた!
「まずいわね! 私では相性が悪いわっ!」
「失礼する!」
「きゃっ!?」
俺は華奢なクラリスを抱え、その場から離脱する。岩場を跳び、ひたすら山を登っていく。
そして……ようやく相手の全貌が見えた。
「龍……?」
ちょっとしたビルほどの大きさの胴体から太い手足が出ており、背中にはその巨体に見合った大きな翼がある。体表は真っ赤に染まった鱗に覆われ、顔は俺が知っているドラゴンそのものだ。いわゆる、西洋的なタイプの龍だ。
それを見て、クラリスが驚愕の声を上げる。
「なんで、こんなところにいるのよ!?」
「珍しいのか?」
「当たり前よっ! この大きさは成龍! Aランク案件よ! 下手をすると……Sだわ」
その直後、地響きのような声が響き渡った。
『我がナワバリを侵した者よ……死ね』
「喋った!?」
「高位の存在であるドラゴンは話すことができるわっ! ただ……今は、話を聞いてくれそうにないわね。完全に頭に血が上って、敵だと思われているわ」
俺達の頭上から、火の塊が次々と降り注ぐ。
「ヒュウガ! 貴方でも当たれば危険よ!」
「わかっている!」
死ぬイメージは湧かないが、試したくもない。
さらに岩場を登っていき、広い場所を探す。
『待て!! 許さんぞぉぉ――!!』
ドラゴンは怒りの声を発して、俺の後を追ってくる。
……何をそんなに怒っているのかと疑問を感じつつも、なんとか広い空間に到着した。
そして、ひとまずクラリスを下ろす。
「さて、すぐに追ってくるな。それで、なんで怒っているんだ?」
「ドラゴンは縄張り意識が強いのよ。きっと、最近この辺に来たのね。ここはワイバーンがいるから、餌には困らないし」
「ワイバーンを食べるのか。でも、ワイバーン達は逃げないんだな?」
「ワイバーンは岩場にしか住めないわ。それにドラゴンがいることで、人間に狩られる心配もなくなるわ。ドラゴンに食べられるより、人間に狩られる数のが多いから」
「……代わりに守ってもらうと。ある意味では共存関係か」
自然界ではよくあることだから、それは理解ができる。
家を手に入れるにはどうしたってお金はかかるので、依頼を見繕っておかないといけないからだ。
「あら、ヒュウガじゃない。一人で珍しいわね」
受付カウンターにいたギルドマスターのエルフの女性――クラリスが、俺に微笑みかける。
「やあ、クラリス。今、物件を探していたところでね」
「いよいよ、本格的に住む準備ってことかしら? 私もしばらくこの町にいるから、これからもよろしくね?」
「こちらこそ」
「といっても……一瞬の出来事でしょうけどね……」
そう言って、クラリスは寂しそうに笑う。
長命なエルフの彼女は、きっと何百年も人を見送ってきたのだろう。
クラリスにも世話になっているし、ここらで恩返しをしておきたいところだ。
「じゃあ、思い出を作っておかないとな。せっかくだから、どこかに出かけるか? 以前、デートがどうのこうの言っていたし」
「あら……覚えていたのね? ふふ、あんまり待たせるから、もう少しでキレるところだったわ」
クラリスは微笑みを浮かべるが、目が笑っていない。
それでどこに行くかだが……そういうことは自分で考えろとか言っていたな。
「……か、狩りでも出かけるか?」
以前、クラリスと一緒に戦った時、とても楽しかった記憶がある。
なんというか、相性が良いというか。
「ロマンのカケラもないわね……」
「す、すまん……嫌か?」
「そんなことはないわよ。大事なのは、何をするかではなく誰とするかだもの。まあ、それに、ヒュウガらしいし」
一瞬クラリスが呆れ顔になるが、その表情がすぐに和らいだので、俺は胸を撫で下ろす。
「ほっ……クラリスも気に入っていた〝アレ〟を作ろうと思ってさ。あと、実は……」
領主と話し合って、指名依頼を出してもらったことを伝える。
「へぇ……あのアイザックがねぇ~。まあ、堅物で野心家ではあるけど……根っこの部分は悪い奴ではないわね。きちんと契約したことには応えるでしょう」
「クラリスがそう言うなら安心だな」
「い、いや、そんなにまっすぐな目で見られても……で、依頼はいつになるの? 私も食べたいわ」
「え? ……領主さん、さっきギルドに行くって言ってたけど?」
「なんですって? 私は……さっきまで寝ていたわね。少し待っていてちょうだい」
クラリスは慌てて席を立つと、職員を捕まえて何やら話しかけている。
すると、すぐに職員が封筒を持ってきた。
「これね……ワイバーンの卵採取の指名依頼。お届け先は領主の館。その際にパンケーキなる物を最低でも十枚は持ってくること。報酬は……金貨四枚の予定……太っ腹ね」
「通常、ワイバーンの依頼は金貨一枚だから……パンケーキが金貨三枚!?」
思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
命懸けで倒す魔物よりパンケーキが高いとか、なんかおかしくないか!?
「どうやら、余程気に入ったみたいね。まあ、無理もないわ。長年生きている私ですら、あんなのは初めてだもの」
「それが疑問なんだよな。レシピは簡単なんだから、他の誰かが思いついていそうなものだけど」
「卵を加工するという考えが浮かんだとしても……それを実行する人はいないでしょうね」
「どうしてだ?」
「卵の依頼は危険度が高いわ。ワイバーンの卵をとるとなったらC級上位の実力が必要になるもの。C級ハンターというのは、もうベテランクラスよ? その人達が命がけで取ってきたもの。報酬に金貨が必要になるようなものをお試しで使って、失敗したらどうなると思う?」
「……プレッシャーがえげつないな」
「でしょ? だから、普通はレシピが知られている料理しか作らないわね。最初から作り方を知っている貴方ならまだしもね」
「そっか……じゃあ、アイスとかもないだろうな」
「アイスって、氷を食べるの?」
アイスクリームを知らないのか、クラリスはきょとんとしている。
「えっと……氷ではなくて、牛乳と卵と砂糖を入れて……」
簡単にアイスクリームの説明をすると、彼女は綺麗な顔をずいっと近づけてくる。
「何それ!? 食べたいんだけど!?」
「わ、わかった! わかったから!」
「約束よっ! ふふ~楽しみが増えたわ」
「ハハ……善処する」
勢いで頷いてしまったが、作り方を正確に覚えていないとはもう言えない……
「あっ――じゃあ、一緒にワイバーンを狩りに行こうかしら? そうすれば手間もかからないわね」
「俺としてはありがたいが……いいのか?」
「その代わり、パンケーキを所望するわ。あと、アイスクリームというものを一番に食べさせること……いいわね?」
目が真剣だ……どこの世界でも、女性はみんな、甘いものには目がないようだ。
「わかった、約束するよ」
「決まりねっ! じゃあ、さっさと仕事しないと……! 明日の朝に来なさい!」
そう言うと、クラリスは風のように去っていった。
ほんと……楽しい人だよな、クラリスって。
宿に帰ると……庭にゴランが倒れていた。その傍らではエギルが腕組みしている。
「あ、兄貴……ゲフッ!?」
「ヒュウガ、帰ったか」
「やあ、エギル。ゴランの鍛錬は終わったのか?」
「ひとまずはな。だが、まだまだだ。此奴は、未だに潜在能力を開花しきっていない」
「へぇ、そいつは凄いな。ステータス上限が高いってことか? 既にBクラスはあるのに」
「もしかしたら、我やお主に並ぶかもしれぬ」
「エギルがそこまで言うか……」
「ただ、本人のやる気があればの話だが」
「なんか、俺も負けていられないな」
ゴランは俺に憧れていると言ってた。その俺が変わらないままじゃ、ゴランにも失礼だ。
「ふむ……では、久々にやるか?」
エギルが袖を捲り上げ、臨戦態勢に入る。
「いいな、それも」
俺も意識を切り替え、戦闘モードに入る。
「ほう? 気配が以前と違うな?」
「少し、自分に正直になってみた。俺も、どうやら戦うことが好きらしい。今までは誤魔化してきたけど、この世界で生きる覚悟を決めたから」
「ククク……嬉しいぞヒュウガ! では――尋常に勝負!」
「おう!」
「ん? ……待ってくれ! 兄貴達がこんなところで鍛錬したら……あれ?」
どうやらゴランが目を覚ましたようだが……それどころではない。
「「フヌゥゥゥ――!!」」
お互いに一歩も引かずに組み合い、押し相撲対決を始める。
初めて会った時に、エギルとやったやつだ。
「わ、我とて無策ではない!」
以前よりエギルの力が増しているように感じる……いや、体幹が安定したのか?
「あれから考えた! 我は己の身体を過信していた! 最強の肉体を持って生まれたことを! 感謝する! お主のおかげで我は高みへと行ける!」
「そういうこと……だが――俺に一日の長があったな」
「な、なに……!?」
足の裏から腰、腰から腕へと、力を連動させる。
祖父さんに嫌というほど鍛えられた動きだ。
思い切り押し出すと、エギルが尻もちをつく。
「ク……クハッ!?」
「ハァ……なんとか勝ったか」
「参った……いやはや、見事である。我も、もっと研鑽を積まなくては」
俺はエギルを引っ張り起こす。
「エギル、これからもよろしくな」
「ああ、友よ。こちらこそだ」
仲間がいて、友達がいて、家族がいる。それに好きな人まで……俺は幸せ者だな。
◆
翌朝、俺は約束した通り、クラリスと出かける準備をしていた。
食事を済ませて、朝の鍛錬を終え、お留守番のみんなに見送られる。
「ゴラン、すまないが後を頼む」
「へいっ! お嬢とセツさんは、このゴランが命に代えても守ってみせやす!」
今日は俺一人で行くつもりだ。
セツやノエルも連れて行こうかと思ったのだが……昨夜みんなに「さすがにそれはない」と、ダメ出しされてしまった。
セツがいれば、喜ぶかと思ったんだが、俺一人と出かけて、クラリスは楽しいのだろうか。
そんなわけで……俺はハンターギルドを訪れる。
「あれ?」
ハンターギルドの入り口には、すでにクラリスが待っていた。
「あれ? 待たせたか?」
「いいえ、そんなことないわ。少し楽しみで待てなかっただけよ」
……そ、そんなに楽しみなのか。ふむ、嬉しいものだな。
「俺一人だけどいいのか?」
「……というか、一人じゃなかったら怒るわよ。デートって言ったじゃない」
「い、いや、それはわかっているんだが……」
デートなんて慣れていないし……まして相手がエルフだと、さっぱり勝手がわからない。
「ふふ、まあいいわ。きちんと一人で来たから。どうせ誰かに言われたんでしょうけど」
「ご名答……みんなに一人で行けって言われたよ」
「あらあら、彼らに感謝しないとね。さあ、行きましょう」
「馬はどうする?」
「私とヒュウガなら走った方が速いし」
「わかった。では、早速出かけるとしようか」
「ふふ、狩りとはいえ……デートの開始ねっ!」
クラリスが思わずといった様子で笑みをこぼす。
以前、クラリスは俺並みのスピードで走ったことがあった。ステータスは、俺の方が高いのに。
ずっと気になっていたので、聞いてみる。
「前にクラリスが随分速く走っていたが、アレはなんだ?」
「ああ、アレね。簡単よ。脚に風を纏わせたのよ」
「脚に風……風魔法で自分を押し出す感じか?」
「うーん……合っているかしら。感覚的には、滑りながら走る感じね」
滑りながら走る……なるほど、スケートみたいな感じか。
「言っておくけど、エルフ固有の技だからね? 風に愛されてないと」
「へぇ、そういうのもあるのか」
「ほらっ! そんなことより行くわよっ!」
町を出た俺達は、会話を終えワイバーンのいる山へと走り出す。
「やっぱり良いわねっ! 全力で走ってもついてこられる人がいるって!」
「それには同感だな」
セツやゴランもそうだが、エギルでさえ俺の最速にはついてこられない。
しかし、クラリスは風を纏えば俺と並走が可能なようだ。
「気持ち良いわ……何百年ぶりかしら」
「思い出になりそうか?」
「もちろんよっ! こんなに速い人なんていないんだからっ!」
そう言って、子供のようにはしゃぐクラリスを見て……なんだか、温かい気持ちになる。
「同じ種族にはいないのか?」
「うーん……私って、少し特別な存在でね。エルフの中でも古い血を持っているというか……だから、他のエルフより能力が優れているのよ」
「へぇ、俺はクラリスしか知らないからなぁ」
「会ったらびっくりするわよ? 性格悪いし、理屈臭いし、他種族を見下すし。自分達が一番優れた種族だと思っているのよ、そんなわけがないのに」
そう言って、クラリスは自嘲する。
「じゃあ、俺は運が良かったな。こんなに楽しくて温かみのあるエルフに会えたんだから」
見ず知らずの俺に、色々教えてくれたし、親切にしてくれた。セツやノエルも可愛がってくれている。
クラリスは照れくさそうに笑って、そっぽを向いてしまった。
「えいっ!」
――かと思ったら、いきなり背中を叩かれた。
「イテッ!」
「ヒュウガ! 貴方は良い人間ねっ!」
「……褒め言葉として受け取っておくよ」
まあ、物凄くご機嫌だから良いか。
そして、あっという間に、以前ワイバーン狩りに来た岩山に到着する。
「さて、ではどうする?」
俺はクラリスに話しかけるが、彼女は先程までとは一転して、神妙な顔をしている。
「風の様子がおかしい……?」
「えっと……」
「あっ、ごめんなさいね。少し風がざわついていた気がして」
「へぇ、虫の知らせみたいなことか。わかった。心構えをしておこう」
周囲を警戒しながら山を登りはじめるが、今のところ特に問題はない。
やがて、ワイバーン達の姿がちらほらと見えてきた。
「あっ、いたわね」
「あれ? 前はもっと高い位置にいたんだが……それに数が少ない。狩りにでも行っているのか?」
「それもあるわね……いいわ、ある意味チャンスだし」
「それで、作戦はどうする?」
「卵やワイバーンを傷つけるわけにはいかないし……私が風で奴らを集めるから、ヒュウガがトドメをお願い」
確かに、あまり傷をつけない方が良いか……
「ヒュウガもB級だからね。これからは依頼主の意向や、自分で考えてやっていかないといけないわよ?」
「うっ……善処する」
「いいわ、私が教えてあげるわよ。貴方って常識人に見えて、意外ととんでもないことしそうだし。だから、私が見ていてあげないとね。さあ、いくわよ?」
「おう、俺は上で待機している」
俺は槍を持って岩場を飛び跳ねていき、手頃な岩陰に隠れる。
「風よっ、私の願いを聞いて――トルネード!」
クラリスが強そうな魔法を放ち、彼女を中心に風が渦巻く。
しかし、音は凄いが……敵に当たっていない? どういうことだ?
いや……あれは、魔法で風の流れを変えているのか?
上空にいるワイバーンが、その風に吸い寄せられて、高度を落とす。
なるほど、攻撃だけでなく、こういうやり方もできると。
「ヒュウガ! 魔法を解くわよ!?」
「おう!!」
魔法が消えると同時に、俺は岩場から飛び出す。
「クギァァ!!」
「ゲァァ!」
俺はワイバーンの上に乗り、その首を落とす。
次の獲物に飛び移り、続けざまに仕留めていく。
「クラリス!」
「わかっているわっ! 風よっ!」
風が吹き、仕留めたワイバーンの死体がゆっくりと落ちていく。これならば、傷つけることもあるまい。
そして、俺は四匹のワイバーンを仕留めた。
「ふぅ……どうだ?」
「良い状態よ。首だけが見事にないしね」
「ほっ、よかった」
「さあ、他のが来ないうちに、卵を拾いに行きましょう」
最初に奴らがいた場所の近くを探すと、斜面に洞窟が見つかった。
中は巣になっており、俺はそこから卵を回収する。
「よし、これだけあれば……」
と一息ついたところで、クラリスが警告の声を上げる。
「ヒュウガ!」
「どうした!?」
慌てて、洞窟内から出ると……巨大な影が視界を埋め尽くした。
あまりに大きくて、まるで全貌が見えない。
「な、なんだ?」
「ヒュウガ! 上よ!」
上を見ると……突然、巨体な火の塊が降ってきた!
「まずいわね! 私では相性が悪いわっ!」
「失礼する!」
「きゃっ!?」
俺は華奢なクラリスを抱え、その場から離脱する。岩場を跳び、ひたすら山を登っていく。
そして……ようやく相手の全貌が見えた。
「龍……?」
ちょっとしたビルほどの大きさの胴体から太い手足が出ており、背中にはその巨体に見合った大きな翼がある。体表は真っ赤に染まった鱗に覆われ、顔は俺が知っているドラゴンそのものだ。いわゆる、西洋的なタイプの龍だ。
それを見て、クラリスが驚愕の声を上げる。
「なんで、こんなところにいるのよ!?」
「珍しいのか?」
「当たり前よっ! この大きさは成龍! Aランク案件よ! 下手をすると……Sだわ」
その直後、地響きのような声が響き渡った。
『我がナワバリを侵した者よ……死ね』
「喋った!?」
「高位の存在であるドラゴンは話すことができるわっ! ただ……今は、話を聞いてくれそうにないわね。完全に頭に血が上って、敵だと思われているわ」
俺達の頭上から、火の塊が次々と降り注ぐ。
「ヒュウガ! 貴方でも当たれば危険よ!」
「わかっている!」
死ぬイメージは湧かないが、試したくもない。
さらに岩場を登っていき、広い場所を探す。
『待て!! 許さんぞぉぉ――!!』
ドラゴンは怒りの声を発して、俺の後を追ってくる。
……何をそんなに怒っているのかと疑問を感じつつも、なんとか広い空間に到着した。
そして、ひとまずクラリスを下ろす。
「さて、すぐに追ってくるな。それで、なんで怒っているんだ?」
「ドラゴンは縄張り意識が強いのよ。きっと、最近この辺に来たのね。ここはワイバーンがいるから、餌には困らないし」
「ワイバーンを食べるのか。でも、ワイバーン達は逃げないんだな?」
「ワイバーンは岩場にしか住めないわ。それにドラゴンがいることで、人間に狩られる心配もなくなるわ。ドラゴンに食べられるより、人間に狩られる数のが多いから」
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