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第2章 宗教施設

第10話 主婦の憂鬱③

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シズナはしばらくゴルデアに慰めてもらって、贄にも奉仕させてもらった。
こんな爛れたことを繰り返すのにも慣れてしまった。そして定期的に邪神に贄を補給する人?神生も慣れてしまった。
習慣と言うのは恐ろしい。慣れるのも問題だ。
シズナは思い切って、神らしくなんでも試してみようと思った。
はじめは、自分の血を、瀕死の動物に与えた。するとほとんどは死んだが、数十回に1匹は生き返った。すぐにまた死んだが・・。
シズナは『教師』と相談して、ダリアに頼んで、信用が置ける研究者と顧問医者を創り、己の血と肉はどうなっているか。瀕死の動物に実験してほしいと神の血と肉の分析を依頼した。シズナ自身、この体は手に負えないのだ。

どうせ。一度は死んだ身だ。なんでも試してみようとシズナは半ば自棄で決めた。

ゴルデアももしかしたら別の神の力や血を引いているのかもしれない。
シズナは予知能力があることを敏感に感じていた。

聖書では、とても長生きした人間が居ると聞いたけど・・。何百年?何千年? 記憶は?精神は?肉体は?
そのまま固定化されているのか?シズナには見当がつかなかった。

気づけば、既存の古い宗教に似た話をなぞらえているような人?生ではないか。
まるで何かに操られているような気がしてシズナはぞっと戦慄した。

シズナは唯の女だ。唯、神の力が宿って持て余している女だ。

できれば、平穏な人生を取り戻したいがもう無理だ。

シズナは特異な女になってしまった。優越感はない。偶然愚かな女が破滅して、その後に子どものおまけみたいな嘘みたいな大外れと大当たりをしたような余生をもらってしまった。

あまりにも馬鹿馬鹿しい滑稽な嘘みたいな人生だったとシズナは今度死ぬとき大笑いするだろう。

その時までシズナは色々と世界を見てみようかと思った。

ダリアはやはり優秀な貴族の末裔だ。みるみる闇の社会で頭角を現した。ダリアの言う通り、復讐意識の強い女はともすれば、男より残虐になれるらしい。リコリス部隊は、屈強な男でさえも恐れる暗殺部隊となった。

シズナはうんざりした。それほど痛めつけられた悲惨な女達が居るということだ。
ゴルデアにも、リコリス部隊はどうなっているのか尋ねたが、あまり詳しいことは言わなかった。
何故なのか?疑問に思うと、パッとリコリス部隊が、敵の兵士の性器を切り取って口に含ませたり、見せしめにしたり、性的な拷問を敵に残虐にしている場面が見えた。

男よりも悪鬼のような顔で残虐に犯している場面がいくつも見えてシズナは嗚呼・・とゴルデアの心境が分かった。

わたしは邪神らしく残虐な部隊を創ったのかもしれない。間接的とはいえ・・。

シズナはあえて知らぬふりをした。ゴルデアは、だんだん正統な良き道を選んでいった。

良き気性となにがあろうと前向きに貪欲に太陽を目指す傭兵たちを創り上げた。
なかには、まあ女に下劣な真似をする人もいるが、概ねみんな気性が太陽のように明るい。

ゴルデアは、前の教祖よりは遥かに良き道を選んでいる人たちが多くなったと言っていた。
それは真実だと、シズナには解った。

このところ真実と嘘の見分けもつくようになった。
一体。どんな能力をいくつもてばいいのかわたしは・・。

主婦は憂鬱の種がふえるばかりであった。



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