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第3章 神に愛されし者

第11話 主婦の憂鬱⑤

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シズナは、瞬く間に、この数十年間が夢のような人生だと思った。

生前のシズナは汚物につっこまれた人生を送っていたが、運命は皮肉にも、シズナを蘇生させ、ここまで昇りつめさせた。

いつの間にかシズナの周囲には、天才や神に愛されし者と謳われるほど才能があり、カリスマがある人ばかりだった。華やかな人生を送っている彼らを見る度に、シズナは深く溜息をついた。

何だか場違いのような気がしたのだ。

運命に流されて、シズナは自分と同じように虐待された者達を救おうとしただけだ。
シズナが普通の恵まれし者だったらそうしなかっただろう。しかし、シズナは最も最悪の人生を送った記憶がある。

シズナはシズナのような者を救っただけだ。
自己満足でも構わない。シズナは唯そうしたかっただけだ。

ダリアには随分教えられた。ダリアはわたしを貴族のように美しく素晴らしいものにしたがっている。
愚かなものだ。わたしは殺された下賤な女にすぎない。邪神によって蘇生させらえたが、時折、わたしは骸が生きているように見えるだけだけではないかと思う時がある。

シズナはどんどん力を得ていった。これは何だろう。物理法則も、なにもかも超えていく力。

わたしは邪神と交信し繋がっている。 自分の意識も時折意味不明の言葉や記号に埋め尽くされることがある。
上位空間や、世界の創造や、他の未知の知識が膨大に脳に埋め尽くされる。


わたしは次第に、人間の心を持たなくなっている。邪神の一部として機能しているのだ。


だが、ダリアとゴルデア、子どもたちへの愛は忘れていない。


それだけは邪神さえも奪われない。わたしはその愛を固定化して、ガラス箱のように亜空間にそっと隠した。

嗚呼。エンデイミオン。貴方はわたしが愛した最高の男。貴方のお陰でわたしは最高の女としての快楽を持たされることを知った。

それだけは感謝する。


嗚呼・どんどん。世界がわかってくる。わたしの世界にとても邪悪な思いを抱いた子どもたちがいる。

彼らは反乱を起こす。 彼らは人を嬲り破壊するのが好きだ。なぜそんな人間が生まれるのか?


人間は不条理で支離滅裂だ。 神様がつくった玩具やぴっくりするような存在かもしれない。



わたしにはわからないことばかりだ。わたしは反乱を止めない。 これは或る意味子どもたちの試練かもしれない。時には何かと立ち向かうことも必要だ。

わたしは黙ってその時を待った。

ダリアとゴルデア。そして第1世代の子どもたち。彼らは神に愛されし者。
かれらならこの試練を乗り切れるかもしれない。

わたしは唯見守ろう。わたしは見届けるものだ。


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