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第4章~更なる力を求めて~
第38話(フレイン視点)
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フレインは早速、空いているドラムに汚れた衣装を入れた。手袋や下着、靴下も全てドラムに詰め込んでやった。そして蓋を閉め、ポチッとスイッチを押す。ドラムはゴゥン……ゴゥン……という音を立てて稼動し始めた。
魔法のドラムだから、すぐに綺麗になるよね……と近くの椅子に腰かけて待っていると、不意に横から声をかけられた。
「おや、フレイン様じゃないですか。こんなところで珍しいですね」
誰かと思ったら赤毛の少年だった。アクセルの同期だった子だ。最近はあまりつるんでいるところを見かけないけど、名前は確か……。
「……チェイニーです。まあ、覚えていなくても結構ですよ」
と、苦笑いをするチェイニー。彼は胸ポケットから一通の封筒を取り出し、それをこちらに差し出してきた。
「本当はアクセル本人に渡そうと思ったんですけど、家に行ってもいなかったので。あなたに渡した方が早いかなと思いまして」
「これは……?」
訝しげに封筒を受け取り、表に書かれている字に目を通す。そこには「アクセル殿」という宛名と共に、「人質交換の件について」という表題がついていた。
――ああ、やっぱり来てしまったか……。
ある程度覚悟していたとはいえ、気は進まなかった。せっかくヴァルハラに来たのに、一年間も離れ離れで過ごさなければならない。その上、送られた先の「当たり・はずれ」が大きい。比較的平穏に過ごせる時もあれば、地獄のような環境に耐えなければならないこともある。こちらに選択権はないので、完全な運任せだ。
魔法のドラムだから、すぐに綺麗になるよね……と近くの椅子に腰かけて待っていると、不意に横から声をかけられた。
「おや、フレイン様じゃないですか。こんなところで珍しいですね」
誰かと思ったら赤毛の少年だった。アクセルの同期だった子だ。最近はあまりつるんでいるところを見かけないけど、名前は確か……。
「……チェイニーです。まあ、覚えていなくても結構ですよ」
と、苦笑いをするチェイニー。彼は胸ポケットから一通の封筒を取り出し、それをこちらに差し出してきた。
「本当はアクセル本人に渡そうと思ったんですけど、家に行ってもいなかったので。あなたに渡した方が早いかなと思いまして」
「これは……?」
訝しげに封筒を受け取り、表に書かれている字に目を通す。そこには「アクセル殿」という宛名と共に、「人質交換の件について」という表題がついていた。
――ああ、やっぱり来てしまったか……。
ある程度覚悟していたとはいえ、気は進まなかった。せっかくヴァルハラに来たのに、一年間も離れ離れで過ごさなければならない。その上、送られた先の「当たり・はずれ」が大きい。比較的平穏に過ごせる時もあれば、地獄のような環境に耐えなければならないこともある。こちらに選択権はないので、完全な運任せだ。
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