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2章:臨海国家

精霊の塔のあるギルドへ 後編

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受付長と先ほどの受付嬢のほかに、老齢だが威厳のある白髪交じりのダークグレーの男性も一緒に案内された部屋に入ってくる。

「本当に申し訳ありませんでした。」って受付長。
受付嬢も真っ青な顔で「申し訳ありませんでした。」と深くお辞儀をして謝るのだった。

偽造じゃないとわかったようだ。 当たりまえだぞ。 なんせ、シュンさんの権限でちゃんと王都のギルドマスターに作らせたんだぞ。 

「儂は、ここのギルドのマスターをしておる、トム・フリークスというものです。 
 この度は、私共の不備で大変ご迷惑おかけいたしました。」というのは老齢の男、そして俺シリルのギルドカードを返却してくれたぞ。

「失礼だぞ。 見た目で判断してほしくないのだぞ」
「ごもっともです。 それで、私どもに出来る限りのご対応をさせていただきたいのじゃが。」
「ええ、ではあの塔の事について知っている事を全て教えてください」とニッコリいうリンさんである。

「それでよいのであれば、問題ありません。」といって、「後は儂のほうで対応する。 お前らは下がれ。 あと、君冊子をもってこい」といって、受付長と受付嬢をさがらせるのである。 
受付長があわてて幾つかの冊子をもってくるのであった。

トムが冊子を受け取り、リンさんと俺の対面にすわる。

「これが、精霊の塔に関してギルドが発行している冊子です。」といって、リンさんと俺に渡してくれたぞ。
俺はさっそくパラパラと冊子を読み始めたぞ。 そんな俺の事はお構いなしに説明を始めるトム。 リンさんに向けて説明するって事なのかだぞ。 別にかまわないぞ。 

「北にあるのが火の塔、東にあるのが土の塔、南に位置しているのが水の塔で、西が風の塔ですじゃ」
「実際この塔が突如あらわれてから600年といわれておるのじゃが、だれも頂点へはいったものはおらぬのじゃ。 迷宮都市のダンジョンと同様で初級以外は何階層あるのかわからないのと同じです。 
 ただ、この塔で受けるダメージは全て精神変換され、致死になると自動的に外へ出る仕組となっておる。 
 ある意味、試しの塔ともいわれておる。 
 各階層のマップなのじゃが、今わかっている範囲で、だれかが10階層ごとのエリアボスを倒すと、翌日にはその塔内のマップがかわるのじゃ。 そして、塔の中には、夜22時までしかおれぬ。 
22時になると、みな外に排出されるのじゃ。 翌朝5時に塔の入り口が自動的に開くのじゃ。 
しかも、必ず一番下の階からスタートする。 
 そんな理由で、各塔ともまだ達成者はおらぬ。 
 今、記録であるのが、火の塔を30階層までのぼった軍隊のみで、あとは土、水、風とも20階層どまりじゃ。 
 ちなみに、1日で4~5人のパーティーでランクBであれば、だいたいどの塔も10階層までたどりつき、エリアボスを倒す事が可能じゃ。
 
 エリアボスを倒すと精霊石が1つがでて、魔力を注ぐと武器になる。 
 もちろん精霊石は売る事もできるが、精霊石は10階層のものが多く流通しておるのじゃ。 
 各フロアの魔物を倒すと魔石が出る。 ダンジョンに比べて小さいのでな取引価格は半値以下じゃ。 
 10階層の精霊石は、ギルドで銀貨50枚となっておる。 
 魔物のレベルじゃが、わかっている範囲でいうと最初の10階層までがD~Cじゃな、20階層がC、30階層がBランクじゃ。 ダンジョンに比べて魔物の数は少ないといわれておる。 ただ、迷路になっておるのでな、フロアを上がるのが大変で時間がかかるのじゃ。 もちろん罠とかもある」と説明する。

それから一息いれたトム。 

「あと塔の周りに結界があるのは分かっておるが、研究者が調べておるがまったく解析が進まず、わからない状態じゃ。 600年たっても、まだこの情報しかないのじゃ。」っていうトムの顔はもどかしさがあるんだぞ。

俺は冊子も読み終えて、トムの話をきいてなるほどなそういう事なのかだぞ。 
「十分です。 では、失礼します」ってリンさん
「うん、いくのだぞ」といって退室していく俺だぞ。

最低限必要な情報はもらえたし、かつ冊子もあるからこれをシュンさんに渡せば十分だぞ。
◇◇◇
トムは退室した2人をみて「偽造じゃないのはわかっているが、18歳にはみえない子だ」とくすりと笑うのだった。
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