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2章:俺の双子たちの話

父さんと初めての釣り

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川の中流から岩々をほぼ飛び越えて走る僕。
「この辺りか?」って父さんがやっと止まった。 たぶん、ここの川の上流だ。
「はぁはぁ、父さん、早いって!」って追いつくのに大変で、景色とか楽しんでる暇なかった。
「悪い、悪い。 ついついな」っていう父さん、たばこくわえてるし。

ロッジのある場所から30KM以上は移動していると思う。
僕と父さんはちょうどいい岩にすわって、僕の初めての釣りだ。

釣り糸のついた竿をわたされた。
「烈、これ垂れ流して、魚がきたら少しゆらしてやれば食いつくから」って父さん。
「餌とかつけなくていいの?」
「つけなくても平気だ。」って父さん。
父さんはすでに糸をたらしてる。
「烈、昔ジジイにいわれた事がある。 ぬらりひょんとは水面に映しだされる月と同じで、つかめるようでつかめないってな。 意味わからんだろうけど」って父さん。
「うん、わからないけど、父さんは意味わかるの?」
「ああ、こんな感じだ」って言った父さんは、隣にいるはずなのに、いない。
「つれた」って、父さんを認識したときには、すでに釣りあげていて川魚が針にくっついていた。
「これがイワナだ」って父さんは器用に釣り針からさかなとって、バケツにいれてる。
「お前もやってみろ」って父さん。
「どうやって?」って僕。
「妖力を少し練ってだな、自然ととけこむと、川の魚の場所がわかるようになる」って説明された。 言われた通りにしてみる。 時間かかるけど、妖力を練って、自然を感じながら一緒になるイメージもった。 鳥がいる場所、生物の気配がする。
川は、あ、魚が泳いでる。 僕は釣り糸を魚のほうにいくようにして、魚の口元で釣り針を揺らした。 あ、食いつく。 食いついた。 その後一気に引き上げた。
「父さん! つれた」って僕の初めての釣りだ。
「な、簡単だろ」って父さん。 いや、結構集中力いたけど。
父さんがしていたみたいに釣り針から、魚をとってバケツにいれる。
って、バケツの中には既に10匹ははいってた。
「僕が一匹なのに。。」ってボソっという僕。
「烈、年期が違うからな。 さっきのを続けろ」っていわれて、続ける僕。
数匹つった所で気づいた。
「父さん、これって妖術の訓練じゃ?」
「ある意味な。 まぁ、俺もガキの時にジジイにつれられて覚えたしな。 でも、たまにはのんびり釣りもいいだろ」って父さん。
「うん、そうだね」って僕。

そういえば、父さんとこんな長い時間2人だけで一緒っていうのは初めてかも。
その後、数匹、父さんと一緒に魚さばいて、拾ってきた木の枝にさして、川辺でヤマメやいて食べた。

帰りはゆっくりめで森の中を走ってる。 バケツには20匹ぐらいのヤマメ。
大量、大量。
「烈、このきのこは毒きのこで、あっちにあるのは食べれるぞ」って父さん、食べれるキノコやら、山菜とか教えてくれる。 
「父さん、よく知ってるね」って僕。
「まぁーな、年期ってことだな」って父さん。
父さんは、なかなか本質をいわない言い方をする。
カラスやユキ、ヤユリ、ユイとか家にいるみんなに聞いても”それが家系だから”っていわえるだけ。

「ついたな」って父さん。
「本当だ」って僕。 ちょうどロッジの裏側に到着した。
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