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苦手な近所のお兄ちゃんに、目ぇつけられました(泣)
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授業時間が長かったり、新しい教科にはまだ慣れないけど、仲のいい友達も出来たし、クラスの雰囲気にもようやく馴染んできた。
ーーそんな平穏は、中学の入学式からたった3週間で終わりを告げた。
それが掻き乱されるきっかけとなったのは、生真面目な担任の浅井先生の帰りの会での言葉だった。
「入部は決して強制ではないが、特に家庭に事情がない限り全員部活に所属することを勧めている。あと1週間で仮入部期間が終了するから、まだ決めてない人は興味のある部活を回って、今月末までに入部届を提出するように。では、今日はこれで終わり!」
それを聞いて、ズーンと落ち込む。
強制じゃないとか言いつつ、強制じゃん。『部活入りません』なんて言ったら呼び出し受けて、家庭の事情とか聞かれるパターンでしょ。あーあ、どっか入らないわけにはいかないよねー。
チャイムが鳴り、みんなが一斉にガタガタと机を鳴らして立ち上がるけど、私はひとり机の上にダラーンと寝そべった。前に座ってる萌ちゃんが、ふたつに分けた三つ編みを揺らして、振り向く。
「そんな格好してると、せっかくの美人顔が台無しだよ」
「別にいいもーん」
勝手に『残念美人』とか『黙ってたら可愛いのに』とか言われてるのは知ってるけど、だから何? 私は私だもん、変えられないよ。
萌ちゃんが黒縁の眼鏡越しに覗き込んでくる。
「その調子じゃ、まだ部活決めてないんでしょ」
「うぅっ、まだー。面倒いよー」
顎を机につけたまま目線だけ上げると、萌ちゃんがクスッと笑う。
「じゃ、私と同じにしたら?」
「美術部なんてずぇーったいムリ! 私が絵心ないの、萌ちゃん知ってるでしょ」
「うん。確かに、美依ちゃんの絵は呪われてるよね……」
「ひどっ!」
小さい頃から絵画教室に通ってるという萌ちゃんは、もう美術部に入部届を出して、正式な部員として活動してるらしい。
あーあ、才能がある子はいいよなぁー。
とりあえず、どんな部があるのか見て回ることにした。ちゃんと部活説明会聞いときゃ良かったー。
グラウンドには野球部やサッカー部、テニス部、バレー部なんかが見えた。
んー、外だと夏は暑いし、冬は寒そう……途中で雨とか降ってきたらやだし。そう考えると、室内競技の方がいいかなぁ。
じっと部活動見てるのに気付かれたら入部希望だって思われて声かけられるから、そそくさとその場を立ち去った。
裏門のすぐ側に建ってる建物は1階が事務室、2階が体育館になっているので、外階段を上っていく。上がってく側から、ボールがバウンドする音や、掛け声なんかが聞こえてくる。バスケ部かなぁ。
中まで入ると目立つし、声かけられそうだから、扉からそっと覗いてみよう……
階段を上りきると体育館の鉄製の扉に手を掛け、そっと盗み見る。
舞台の上には卓球台が2台置かれ、卓球部員が窮屈そうに練習してるのが見えた。うわー、これはないわ。その下では、バスケ部が大きな声を掛けながらシュート練習をしてるとこだった。練習、きつそう。もう半面は、もっと覗き込まないと視界に入らない。
首を伸ばしていると、いきなり後ろから両肩を掴まれた。
「ミーコ、確保♪」
ーーそんな平穏は、中学の入学式からたった3週間で終わりを告げた。
それが掻き乱されるきっかけとなったのは、生真面目な担任の浅井先生の帰りの会での言葉だった。
「入部は決して強制ではないが、特に家庭に事情がない限り全員部活に所属することを勧めている。あと1週間で仮入部期間が終了するから、まだ決めてない人は興味のある部活を回って、今月末までに入部届を提出するように。では、今日はこれで終わり!」
それを聞いて、ズーンと落ち込む。
強制じゃないとか言いつつ、強制じゃん。『部活入りません』なんて言ったら呼び出し受けて、家庭の事情とか聞かれるパターンでしょ。あーあ、どっか入らないわけにはいかないよねー。
チャイムが鳴り、みんなが一斉にガタガタと机を鳴らして立ち上がるけど、私はひとり机の上にダラーンと寝そべった。前に座ってる萌ちゃんが、ふたつに分けた三つ編みを揺らして、振り向く。
「そんな格好してると、せっかくの美人顔が台無しだよ」
「別にいいもーん」
勝手に『残念美人』とか『黙ってたら可愛いのに』とか言われてるのは知ってるけど、だから何? 私は私だもん、変えられないよ。
萌ちゃんが黒縁の眼鏡越しに覗き込んでくる。
「その調子じゃ、まだ部活決めてないんでしょ」
「うぅっ、まだー。面倒いよー」
顎を机につけたまま目線だけ上げると、萌ちゃんがクスッと笑う。
「じゃ、私と同じにしたら?」
「美術部なんてずぇーったいムリ! 私が絵心ないの、萌ちゃん知ってるでしょ」
「うん。確かに、美依ちゃんの絵は呪われてるよね……」
「ひどっ!」
小さい頃から絵画教室に通ってるという萌ちゃんは、もう美術部に入部届を出して、正式な部員として活動してるらしい。
あーあ、才能がある子はいいよなぁー。
とりあえず、どんな部があるのか見て回ることにした。ちゃんと部活説明会聞いときゃ良かったー。
グラウンドには野球部やサッカー部、テニス部、バレー部なんかが見えた。
んー、外だと夏は暑いし、冬は寒そう……途中で雨とか降ってきたらやだし。そう考えると、室内競技の方がいいかなぁ。
じっと部活動見てるのに気付かれたら入部希望だって思われて声かけられるから、そそくさとその場を立ち去った。
裏門のすぐ側に建ってる建物は1階が事務室、2階が体育館になっているので、外階段を上っていく。上がってく側から、ボールがバウンドする音や、掛け声なんかが聞こえてくる。バスケ部かなぁ。
中まで入ると目立つし、声かけられそうだから、扉からそっと覗いてみよう……
階段を上りきると体育館の鉄製の扉に手を掛け、そっと盗み見る。
舞台の上には卓球台が2台置かれ、卓球部員が窮屈そうに練習してるのが見えた。うわー、これはないわ。その下では、バスケ部が大きな声を掛けながらシュート練習をしてるとこだった。練習、きつそう。もう半面は、もっと覗き込まないと視界に入らない。
首を伸ばしていると、いきなり後ろから両肩を掴まれた。
「ミーコ、確保♪」
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