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優くんなんてっ!!……大好き、なんだから。
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青山さんのサーブから、試合が始まった。
お互いの気迫がぶつかり合うような試合の最中、私の胸は小刻みに震え、瞼の裏が熱くなっていた。
青谷さんは、中学の全国大会でも凄いと思ったけど、高校に入ってそのレベルを格段に上げた気がする。ネットギリギリを狙った優くんのヘアピンを難なく返し、その直後にバックラインぎりぎりに高く打ち抜いたクリアもすぐに追いつき、ジャンピングスマッシュでスパーンと勢い良く風を切り、力強く打ち返す。優くんもその重く鋭いスマッシュを大きく足を踏み込んで拾い、死角を狙って打ち返すものの、青山さんは優くんを上回る跳躍力とスピードで翻弄し、見る見る間に点差をつけていった。
こんな、ことって……
準決勝戦ではあれほど接戦だった試合を見せていた優くんが、決勝戦では同じ高校の同士に徹底的に攻撃され、反撃出来ずにいる。
歯痒い思いを抱えながらファーストゲームが終了し、優くんは5点しか獲ることが出来なかった。
セカンドゲームでも、優くんは必死に青山さんの攻撃に食らいつくものの、自分の流れに持っていけず、優くんの焦燥が肌を通して伝わってきた。ようやくポイントをとっても、なかなか連続して獲ることができない。
見ていてハラハラしどおしで、胃がきつく締め上げられてるみたいにキュウッと痛くなる。でも、試合に出てる優くんなんて、私が感じてるよりももっと辛いに違いないと思うと、目を逸らしたくなるような場面でも、じっと優くんを見つめ、祈り続けた。
落ち着いたプレーで確実に点差を広げていく青山さんに対し、優くんの焦りは募っていく一方だった。きっと、普段なら取れるシャトルが拾えていない。キレのあるヘアピンが出来てなくてふわっと上がり、そこをついてスマッシュを決められる……
青山さんがマッチポイントを先取した。点差は15点。
お願い……どうか、このまま終わらせないで!
じりじりと締め付けられる胸の痛みを抱えつつ、試合を見つめる。周りの景色から切り取られたように、優くんの立つコートしか、目に入らない。
青山さんの高く大きいクリアに優くんが追いつき、力強いジャンピングスマッシュを決める。素早く打ち返され、再度鋭いスマッシュを打ち込む。今度は青山さんがふっと力を抜き、クロスした角度からのヘアピンを決めた。まるで這い上がるかのようにシャトルがネットを越え、ネットに触れながらぎりぎりで優くんのコートにポトリと落ちた。
優くんが、がっくりと膝を落とす。
試合終了の笛が鳴った。
試合は基本3ゲームマッチだけれど2ゲーム先取した方が勝ちとなるので、青山さんの優勝が確定した。
優くん……
試合を終えて青山さんと握手を交わし、審判と線審に頭を下げた優くんを見ていたら、耐えきれず立ち上がった。
「私……優くんに、会ってきます」
お互いの気迫がぶつかり合うような試合の最中、私の胸は小刻みに震え、瞼の裏が熱くなっていた。
青谷さんは、中学の全国大会でも凄いと思ったけど、高校に入ってそのレベルを格段に上げた気がする。ネットギリギリを狙った優くんのヘアピンを難なく返し、その直後にバックラインぎりぎりに高く打ち抜いたクリアもすぐに追いつき、ジャンピングスマッシュでスパーンと勢い良く風を切り、力強く打ち返す。優くんもその重く鋭いスマッシュを大きく足を踏み込んで拾い、死角を狙って打ち返すものの、青山さんは優くんを上回る跳躍力とスピードで翻弄し、見る見る間に点差をつけていった。
こんな、ことって……
準決勝戦ではあれほど接戦だった試合を見せていた優くんが、決勝戦では同じ高校の同士に徹底的に攻撃され、反撃出来ずにいる。
歯痒い思いを抱えながらファーストゲームが終了し、優くんは5点しか獲ることが出来なかった。
セカンドゲームでも、優くんは必死に青山さんの攻撃に食らいつくものの、自分の流れに持っていけず、優くんの焦燥が肌を通して伝わってきた。ようやくポイントをとっても、なかなか連続して獲ることができない。
見ていてハラハラしどおしで、胃がきつく締め上げられてるみたいにキュウッと痛くなる。でも、試合に出てる優くんなんて、私が感じてるよりももっと辛いに違いないと思うと、目を逸らしたくなるような場面でも、じっと優くんを見つめ、祈り続けた。
落ち着いたプレーで確実に点差を広げていく青山さんに対し、優くんの焦りは募っていく一方だった。きっと、普段なら取れるシャトルが拾えていない。キレのあるヘアピンが出来てなくてふわっと上がり、そこをついてスマッシュを決められる……
青山さんがマッチポイントを先取した。点差は15点。
お願い……どうか、このまま終わらせないで!
じりじりと締め付けられる胸の痛みを抱えつつ、試合を見つめる。周りの景色から切り取られたように、優くんの立つコートしか、目に入らない。
青山さんの高く大きいクリアに優くんが追いつき、力強いジャンピングスマッシュを決める。素早く打ち返され、再度鋭いスマッシュを打ち込む。今度は青山さんがふっと力を抜き、クロスした角度からのヘアピンを決めた。まるで這い上がるかのようにシャトルがネットを越え、ネットに触れながらぎりぎりで優くんのコートにポトリと落ちた。
優くんが、がっくりと膝を落とす。
試合終了の笛が鳴った。
試合は基本3ゲームマッチだけれど2ゲーム先取した方が勝ちとなるので、青山さんの優勝が確定した。
優くん……
試合を終えて青山さんと握手を交わし、審判と線審に頭を下げた優くんを見ていたら、耐えきれず立ち上がった。
「私……優くんに、会ってきます」
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