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悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!
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「ダリア、お前は私を貶めようとしただけでなく、お前の父であるクノーリ宰相と共謀して父君である国王陛下をも陥れようとした! その罪は決して赦されるものではない。ダリアとの婚約破棄を言い渡し、クノーリ宰相はその地位と領地を剥奪するものとする!!」
法廷にて高らかに宣言されたのは、王太子殿下でした。彼の隣に立つ私は、それを震えながら聞いておりました。
ダリア様とクノーリ宰相殿が糾弾されるだなんて……
ダリア様が立ち上がって、叫びました。
「そ、そんな……お待ちくださいませ!! 私は、決して王太子殿下を貶めるようなことは致しておりません!! それに、お父様のことも何か誤解があったのだと思いますわ。どうか、どうかもう一度審議なさってくださいませ!!」
「審議など必要ない! それに、私はここにいるフローラと婚約することに決めたのだ!」
私は1ヶ月ほど前から王太子殿下からのアプローチを受け、ご婚約の申し込みをいただいておりました。
『王太子殿下には、ダリア様というご婚約者がいらっしゃるじゃありませんか』
『ダリアとは婚約破棄するつもりだ。私は、フローラ……お前を愛しているのだ』
金髪碧眼に整った容姿、快活で社交的でどなたからも慕われ、試験の成績も良く、スポーツ万能な王太子殿下は皆の憧れのもとで、それは私も例外ではありませんでした。
そんな王太子殿下からの求愛をお断りなど、できません。
『で、は……もし、ダリア様と婚約破棄されたのでしたら、その後、婚約をお結びいたしますわ』
『分かった』
それからほどなくして……いやがらせが始まりました。靴の中に小さなガラスの破片が入れてあったり、教科書がなくなったり……
『私の王太子殿下を奪ったこと、後悔させてさしあげます』そう書かれた手紙が机の中に入っていたこともありました。
そして、ある日。クラスメートからダリア様が美術準備室で待っているという伝言を聞き、そこへ向かいました。
今までのいやがらせや手紙は……ダリア様からのものだったのでしょうか。
私はダリア様とはクラスも学年も異なりますし、学園ではあまり関わることがなく、サロンや社交場にいても、いつも王太子殿下のお隣にいらしたので近寄ることもできませんでした。
けれど……気品に満ちていらして、優雅で、凛としていらして、賢いダリア様に憧れを抱いておりました。それに、以前私が紅茶をドレスに溢してしまった時に、ハンカチを差し伸べてくださり、とてもお優しい方なのだと感じておりましたのに。
嫌がらせをしてしまうほどにダリア様が王太子殿下を愛しているのでしたら……私は、身を引くべきなのでしょうか。
物思いに耽りながら美術準備室に入ると、そこにいたのはダリア様ではありませんでした。大柄な殿方が4人、私を見下ろし、ニヤニヤと笑いを浮かべています。
『ぁ、あの……どうやら、間違えてしまったようですわ。失礼、いたしました……』
引き返そうとすると、一人の殿方が素早く後ろに回り込みました。
『間違ってないぜ、フローラ嬢。俺たちは、ダリア嬢から、お前をお仕置きするように言いつけられてるんだ』
ダリア、様が……!!
まさかここまでのことをダリア様がするということに衝撃を受け、全身がわななきました。武術の心得もない私が、男性4人相手にこの場から逃げられるはずなどありません。
あぁ、もう終わりです……
王太子殿下、申し訳ございません。私は……貴方の婚約者にはなれないようです。
私の願いが通じたのでしょうか。遠くから、『フローラ!』と叫ぶ、王太子殿下のお声が聞こえた気がいたしました。おそらく、そうなればいいと願った私の空耳でしょう……
そう思った時、扉がガラッと開きました。
『お前たち! ここでいったい何をしているのだ!!』
王太子殿下です。
助けに、来てくださった……
安心した途端、一気に躰の力が抜け、へなへなと崩れ落ちました。王太子殿下が私に駆け寄り、強く抱き留めます。
『私の大切なフローラにこんな恐ろしい目にあわせるなんて、赦さないぞ! いったい、誰の仕業だ!!』
王太子殿下の剣幕に、今まで威勢が良かった4人が急に身を縮めます。
『ぁの、俺たちは……ダリア嬢に、言いつけられて……』
『ダリア、だと!?』
『金を渡されて、フローラ嬢に痛い目にあわせろって』
『私がダリアに、『フローラを好きになったから、婚約破棄したい』と言ったばかりに……フローラ、すまない』
『ぃ、いえ……そ、んな……』
申し訳なさそうに眉をぐっと寄せて謝る王太子殿下に、胸がキュンと締め付けられました。
『フローラ、正直に話してくれ。他にもダリアに、嫌がらせを受けてたんじゃないのか?』
『ぇ、えっと……ダリア様かどうかは分かりませんが……靴にガラスの破片が入れられていたり、教科書がなくなったり、脅迫のような手紙が入っていたことが……』
『それは、絶対にダリアの仕業だ!!』
『で、ですが……ダリア様がそのようなことをするなんて』
『フローラ、お前は知らないのだ。ダリアの本当の姿を。あれは、そういう女なのだ。私は、そういう彼女の性格に嫌気がさしたこともあって、婚約破棄を決めたのだ。もちろん、きっかけはフローラ、お前に惹かれたからだが。
頼む、フローラ。お前が心配なのだ。これからは二度とダリアに近づかないでくれ。ダリアのことは、私がなんとかするから』
『分かり、ましたわ……』
法廷にて高らかに宣言されたのは、王太子殿下でした。彼の隣に立つ私は、それを震えながら聞いておりました。
ダリア様とクノーリ宰相殿が糾弾されるだなんて……
ダリア様が立ち上がって、叫びました。
「そ、そんな……お待ちくださいませ!! 私は、決して王太子殿下を貶めるようなことは致しておりません!! それに、お父様のことも何か誤解があったのだと思いますわ。どうか、どうかもう一度審議なさってくださいませ!!」
「審議など必要ない! それに、私はここにいるフローラと婚約することに決めたのだ!」
私は1ヶ月ほど前から王太子殿下からのアプローチを受け、ご婚約の申し込みをいただいておりました。
『王太子殿下には、ダリア様というご婚約者がいらっしゃるじゃありませんか』
『ダリアとは婚約破棄するつもりだ。私は、フローラ……お前を愛しているのだ』
金髪碧眼に整った容姿、快活で社交的でどなたからも慕われ、試験の成績も良く、スポーツ万能な王太子殿下は皆の憧れのもとで、それは私も例外ではありませんでした。
そんな王太子殿下からの求愛をお断りなど、できません。
『で、は……もし、ダリア様と婚約破棄されたのでしたら、その後、婚約をお結びいたしますわ』
『分かった』
それからほどなくして……いやがらせが始まりました。靴の中に小さなガラスの破片が入れてあったり、教科書がなくなったり……
『私の王太子殿下を奪ったこと、後悔させてさしあげます』そう書かれた手紙が机の中に入っていたこともありました。
そして、ある日。クラスメートからダリア様が美術準備室で待っているという伝言を聞き、そこへ向かいました。
今までのいやがらせや手紙は……ダリア様からのものだったのでしょうか。
私はダリア様とはクラスも学年も異なりますし、学園ではあまり関わることがなく、サロンや社交場にいても、いつも王太子殿下のお隣にいらしたので近寄ることもできませんでした。
けれど……気品に満ちていらして、優雅で、凛としていらして、賢いダリア様に憧れを抱いておりました。それに、以前私が紅茶をドレスに溢してしまった時に、ハンカチを差し伸べてくださり、とてもお優しい方なのだと感じておりましたのに。
嫌がらせをしてしまうほどにダリア様が王太子殿下を愛しているのでしたら……私は、身を引くべきなのでしょうか。
物思いに耽りながら美術準備室に入ると、そこにいたのはダリア様ではありませんでした。大柄な殿方が4人、私を見下ろし、ニヤニヤと笑いを浮かべています。
『ぁ、あの……どうやら、間違えてしまったようですわ。失礼、いたしました……』
引き返そうとすると、一人の殿方が素早く後ろに回り込みました。
『間違ってないぜ、フローラ嬢。俺たちは、ダリア嬢から、お前をお仕置きするように言いつけられてるんだ』
ダリア、様が……!!
まさかここまでのことをダリア様がするということに衝撃を受け、全身がわななきました。武術の心得もない私が、男性4人相手にこの場から逃げられるはずなどありません。
あぁ、もう終わりです……
王太子殿下、申し訳ございません。私は……貴方の婚約者にはなれないようです。
私の願いが通じたのでしょうか。遠くから、『フローラ!』と叫ぶ、王太子殿下のお声が聞こえた気がいたしました。おそらく、そうなればいいと願った私の空耳でしょう……
そう思った時、扉がガラッと開きました。
『お前たち! ここでいったい何をしているのだ!!』
王太子殿下です。
助けに、来てくださった……
安心した途端、一気に躰の力が抜け、へなへなと崩れ落ちました。王太子殿下が私に駆け寄り、強く抱き留めます。
『私の大切なフローラにこんな恐ろしい目にあわせるなんて、赦さないぞ! いったい、誰の仕業だ!!』
王太子殿下の剣幕に、今まで威勢が良かった4人が急に身を縮めます。
『ぁの、俺たちは……ダリア嬢に、言いつけられて……』
『ダリア、だと!?』
『金を渡されて、フローラ嬢に痛い目にあわせろって』
『私がダリアに、『フローラを好きになったから、婚約破棄したい』と言ったばかりに……フローラ、すまない』
『ぃ、いえ……そ、んな……』
申し訳なさそうに眉をぐっと寄せて謝る王太子殿下に、胸がキュンと締め付けられました。
『フローラ、正直に話してくれ。他にもダリアに、嫌がらせを受けてたんじゃないのか?』
『ぇ、えっと……ダリア様かどうかは分かりませんが……靴にガラスの破片が入れられていたり、教科書がなくなったり、脅迫のような手紙が入っていたことが……』
『それは、絶対にダリアの仕業だ!!』
『で、ですが……ダリア様がそのようなことをするなんて』
『フローラ、お前は知らないのだ。ダリアの本当の姿を。あれは、そういう女なのだ。私は、そういう彼女の性格に嫌気がさしたこともあって、婚約破棄を決めたのだ。もちろん、きっかけはフローラ、お前に惹かれたからだが。
頼む、フローラ。お前が心配なのだ。これからは二度とダリアに近づかないでくれ。ダリアのことは、私がなんとかするから』
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