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悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!
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今日、私は王太子殿下と待ち合わせをしておりました。ダリア嬢が流刑されるこの日を、ご婚約を正式に受け入れるかどうかのお返事をする日と決めていたのです。
私としては、いくら悪事を働いていたとはいえ、父君である国王陛下が王室騎士団の軍に捕らわれるところを王太子殿下に見せたくないという意識もありました。
何も知らない王太子殿下は、私の姿を認めると爽やかな笑顔で手を振りかけましたが……すぐに、その隣にいる女性を見咎めて表情が一変いたしました。
「フローラ……なぜ、ダリアと一緒にいるんだ……」
ダリア様が王太子殿下の前に立ちはだかりました。
「なぜだか、教えてほしくて? それは、フローラ嬢が私とお父様を監獄から救い出して下さったからですわ」
王太子殿下の顔が青褪め、私を非難するように睨みつけました。
「フローラ、なぜ裏切った!!」
「私だって……裏切りたくはありませんでした。ですが……先に欺いたのは、王太子殿下じゃありませんか」
ダリア様が続きを受け継ぎます。
「王太子殿下は私の仕業と見せかけて、フローラ嬢に嫌がらせをされていたようですわね。しかも、殿方に襲わせるような演技までするだなんて、卑劣ですわ!」
「何を言ってるんだ、ダリア! それは全て、お前が仕組んだことだろう!! フローラ、こんな女に騙されるな! こいつは悪女、魔女なのだ!!」
逆上する王太子殿下に、冷静に告げました。
「王太子殿下……もう、裏は取れているのですよ」
「な、に!?」
「王太子殿下の取り巻きが嫌がらせのネタを仕込んでいたことも、金銭を掴ませてダリア様からの命令を装って私を襲わせたことも、全て白日の元に明らかになっております。
もう言い訳はできません」
チッと王太子殿下が舌打ちをしました。
「もっと従順な女だと思っていたのに、予想が外れたな。もういい、お前との婚約など、こちらから破棄してやる。私には、いくらでも言い寄る女はいるのだ。
だが、王太子殿下であり未来の国王陛下であるこの私を侮辱した罪、赦されぬぞ。ふたりとも監獄へ送り返してやる!」
その言葉を聞き、ダリア様がフッと笑みを溢されました。
「何がおかしいっ!」
「だって、未来の国王陛下だなんて……今、王宮は軍に取り囲まれておりますのよ。国王陛下の不正が日の目に晒され、王室騎士団が国王陛下を捕らえていることでしょう。
貴方はもう……未来の国王陛下ではなく、犯罪者の息子……いえ、共謀者ですわね。
私たちが送られるはずだった流刑地へ流されるのか、それとも民衆の逆鱗に触れて処刑されるのか……しっかりとこの目で見届けて差し上げますわ」
「待ってくれ、ダリア!! 私たちは、幼い頃からの婚約者だろ? なぁ、助けてくれよ……頼む。私は、父君に頼まれて仕方なくしたことだったんだ。君を、愛しているんだ!」
ダリア様が、軽蔑の目で王太子殿下を見つめました。
「よくそんな戯言、おっしゃいますわね。貴方の婚約者として恥じないようにと生きてきた私自身が、恥ずかしいですわ。二度と私の前に現れないで下さいませ!」
容赦のない言葉を投げかけられた王太子殿下は、今度は私に縋りついてきました。
「フローラ! 私が本当に心から愛しているのは、君だけなんだ!! どうか、アルファード騎士隊長に頼んで、私と父君を無罪放免してくれないか。そうすれば、君と婚姻し、アルファード騎士隊長を宰相に取り立てよう」
「そのようなこと、私は小指の先ほども望んでおりません。王太子殿下が愛しているのは、ご自身だけなのだとよく分かりましたわ。ご機嫌よう」
「ま、待ってくれ!!」
追い縋ろうとする王太子殿下の前に、王室騎士団の護衛がズラッと並びました。
「王太子殿下……いえ、シャノール様。御身を拘束し、シトー宮殿へと送迎いたします」
「ふざけるな! 誰がお前らの命令になど、従うか!! 離せ!! ただでは済まぬぞ!!」
王太子殿下は抵抗いたしましたが、護衛に敵うはずなどありません。移送車に乗せられ、シトー宮殿へと連れ去られました。
その後、お父様からのご報告により、ひとりの命を落とすこともなく、速やかに国王陛下は拘束され、息子と同じくシトー宮殿へ移送されたとのことでした。
ダリア様が私に微笑みかけ、抱き締めました。
「フローラ嬢……私とお父様の命を救ってくださり、本当にありがとうございました。貴女の勇気ある行動がなければ、今頃私たちは流刑地で貧窮していたことでしょう。心から感謝いたしますわ」
「ダリア様、勿体ないお言葉ですわ。
私、王太子殿下からご婚約のお申し込みをされた時に、心が揺らいでしまいましたの。それに、嫌がらせもダリア様の指示だと思っておりました……どうぞ、お許しください」
深く項垂れると、ダリア様が私の頬を撫でました。
「王太子殿下の表の顔しか知らなかったんですもの、当然ですわ。
私たち、これから良き友人になれそうじゃなくて?」
ダリア様のお言葉に胸が弾みます。
「はいっ」
国王陛下がいなくなり、国のトップにはクノーリ宰相殿が返り咲き、殆どが王族や貴族のみで固められていた議員は多くの民衆議員を入れることにより、本当の意味での民主国家が今、始まろうとしております。
私としては、いくら悪事を働いていたとはいえ、父君である国王陛下が王室騎士団の軍に捕らわれるところを王太子殿下に見せたくないという意識もありました。
何も知らない王太子殿下は、私の姿を認めると爽やかな笑顔で手を振りかけましたが……すぐに、その隣にいる女性を見咎めて表情が一変いたしました。
「フローラ……なぜ、ダリアと一緒にいるんだ……」
ダリア様が王太子殿下の前に立ちはだかりました。
「なぜだか、教えてほしくて? それは、フローラ嬢が私とお父様を監獄から救い出して下さったからですわ」
王太子殿下の顔が青褪め、私を非難するように睨みつけました。
「フローラ、なぜ裏切った!!」
「私だって……裏切りたくはありませんでした。ですが……先に欺いたのは、王太子殿下じゃありませんか」
ダリア様が続きを受け継ぎます。
「王太子殿下は私の仕業と見せかけて、フローラ嬢に嫌がらせをされていたようですわね。しかも、殿方に襲わせるような演技までするだなんて、卑劣ですわ!」
「何を言ってるんだ、ダリア! それは全て、お前が仕組んだことだろう!! フローラ、こんな女に騙されるな! こいつは悪女、魔女なのだ!!」
逆上する王太子殿下に、冷静に告げました。
「王太子殿下……もう、裏は取れているのですよ」
「な、に!?」
「王太子殿下の取り巻きが嫌がらせのネタを仕込んでいたことも、金銭を掴ませてダリア様からの命令を装って私を襲わせたことも、全て白日の元に明らかになっております。
もう言い訳はできません」
チッと王太子殿下が舌打ちをしました。
「もっと従順な女だと思っていたのに、予想が外れたな。もういい、お前との婚約など、こちらから破棄してやる。私には、いくらでも言い寄る女はいるのだ。
だが、王太子殿下であり未来の国王陛下であるこの私を侮辱した罪、赦されぬぞ。ふたりとも監獄へ送り返してやる!」
その言葉を聞き、ダリア様がフッと笑みを溢されました。
「何がおかしいっ!」
「だって、未来の国王陛下だなんて……今、王宮は軍に取り囲まれておりますのよ。国王陛下の不正が日の目に晒され、王室騎士団が国王陛下を捕らえていることでしょう。
貴方はもう……未来の国王陛下ではなく、犯罪者の息子……いえ、共謀者ですわね。
私たちが送られるはずだった流刑地へ流されるのか、それとも民衆の逆鱗に触れて処刑されるのか……しっかりとこの目で見届けて差し上げますわ」
「待ってくれ、ダリア!! 私たちは、幼い頃からの婚約者だろ? なぁ、助けてくれよ……頼む。私は、父君に頼まれて仕方なくしたことだったんだ。君を、愛しているんだ!」
ダリア様が、軽蔑の目で王太子殿下を見つめました。
「よくそんな戯言、おっしゃいますわね。貴方の婚約者として恥じないようにと生きてきた私自身が、恥ずかしいですわ。二度と私の前に現れないで下さいませ!」
容赦のない言葉を投げかけられた王太子殿下は、今度は私に縋りついてきました。
「フローラ! 私が本当に心から愛しているのは、君だけなんだ!! どうか、アルファード騎士隊長に頼んで、私と父君を無罪放免してくれないか。そうすれば、君と婚姻し、アルファード騎士隊長を宰相に取り立てよう」
「そのようなこと、私は小指の先ほども望んでおりません。王太子殿下が愛しているのは、ご自身だけなのだとよく分かりましたわ。ご機嫌よう」
「ま、待ってくれ!!」
追い縋ろうとする王太子殿下の前に、王室騎士団の護衛がズラッと並びました。
「王太子殿下……いえ、シャノール様。御身を拘束し、シトー宮殿へと送迎いたします」
「ふざけるな! 誰がお前らの命令になど、従うか!! 離せ!! ただでは済まぬぞ!!」
王太子殿下は抵抗いたしましたが、護衛に敵うはずなどありません。移送車に乗せられ、シトー宮殿へと連れ去られました。
その後、お父様からのご報告により、ひとりの命を落とすこともなく、速やかに国王陛下は拘束され、息子と同じくシトー宮殿へ移送されたとのことでした。
ダリア様が私に微笑みかけ、抱き締めました。
「フローラ嬢……私とお父様の命を救ってくださり、本当にありがとうございました。貴女の勇気ある行動がなければ、今頃私たちは流刑地で貧窮していたことでしょう。心から感謝いたしますわ」
「ダリア様、勿体ないお言葉ですわ。
私、王太子殿下からご婚約のお申し込みをされた時に、心が揺らいでしまいましたの。それに、嫌がらせもダリア様の指示だと思っておりました……どうぞ、お許しください」
深く項垂れると、ダリア様が私の頬を撫でました。
「王太子殿下の表の顔しか知らなかったんですもの、当然ですわ。
私たち、これから良き友人になれそうじゃなくて?」
ダリア様のお言葉に胸が弾みます。
「はいっ」
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