【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

奏音 美都

文字の大きさ
230 / 498

224.義母の提案

しおりを挟む
 重い足取りで、美羽は先ほどの部屋へと戻った。

 障子越しにも義昭と圭子が言い争っている声が聞こえ、入りたくないという葛藤を抱えつつも障子を開けた。

 振り返った皆の視線を一斉に受けてたじろぎそうになりながら、勇気を出して美羽が声をかける。

「あ、あの……実は……」

 そこに、美羽の後ろから大きなボストンバッグを2つ持った琴子が現れた。

「事前に荷物の整理はしてたつもりだったけど、いざ出て行こうと思うと色々気になっちゃうものねぇ。
 さ、行きましょうか!」

 支度を終えた琴子は、完全に今から家を出るつもりでいるようだ。

 まさか今すぐにとは思っていなかった圭子が、目を丸くした。

「ちょ、ちょっとお母さん! 私たちまだ引っ越ししてないわよ!?」
「分かってるわよ。だから、新しい家が見つかるまでは私の部屋がなくても我慢するつもりよ。私は、ほのちゃんの隣にお布団敷いて寝かせてもらえれば大丈夫だから心配しないで」

 しおらしく言っているが、そこに拒否権はなさそうだ。焦ったのは晃の方だった。

「あ、あのお義母さん……明日から俺は仕事ですけど、圭子とほのかは俺の実家に泊まりに行くことになってるんですよ」

 それを聞き、圭子がパチンと指を鳴らした。

「じゃ、うちのお母さんが泊まるからって理由で、行くのキャンセルすればいいじゃなぁい!」

 晃がプハッと口からビールを吹き出した。顔についた飛沫を腕で拭いながら、困惑した表情を浮かべる。

「バカ言うなよ。おふくろもおやじもほのかに会うの楽しみにしてんだぞ。『ほのかは圭子さんの実家ばっかり行って、うちにはちっとも顔出さないんだから』ってしょっちゅう愚痴られてるのに、取りやめれるわけないだろ!」
「えーっ、だってぇ、パパん家行くとリラックス出来なくて肩凝っちゃうんだもーん」
「たった二日だろ! 半年に1回のことなんだから、我慢してくれよ」
「あ、分かった! それって、お母さんも行けば問題解決じゃなぁい? 
 そしたら私も少しは気が楽だしぃ、お母さんもパパんとこの家族もほのかと一緒にいられて、みんなにとって最高じゃなぁい! やっだ、私あったまいい!!」

 圭子がしたり顔を浮かべた。

 晃の目が飛び出さんばかりにギョッとする。

「お義母さんが俺の実家に行けば、お義父さんとなんかあったんじゃないかって疑われるに決まってるだろ。まだ離婚も決まってないのに、そんなこと出来るわけないじゃないか。それに、うちの親だけじゃなく、他の親戚だっているんだぞ。
 仕事があるから俺は顔出すだけのつもりだけど、その時に何言われるか分かったもんじゃない」

 圭子はそれを聞き、肉付きのいい頬を更に膨らませてブスッとした表情を浮かべた。いくら図々しい圭子とはいえ、夫の実家となると、自分の実家のようには自由に出来ないらしい。

 この家を出ることは決めているものの、琴子もそれを聞き、考えた。

 孫のほのかと一緒にいたい気持ちはあるものの、晃の実家について行くほどの厚かましさはないし、離婚前に変な噂をたてられても困る。だからといって、晃の家で彼とふたりきりになるのも嫌だった。

 ほのかが生まれたことにより、晃のことを少しずつ認めてはいるものの、彼のことを好いているわけでもないし、心を許せないと思っているからだ。もし圭子が妊娠していなければ、絶対に晃との結婚は認めなかったし、義理とはいえ、この男が息子だと思うと嫌悪感すら覚える。

 今まで立ち尽くしていた美羽は琴子の様子を横目で窺いつつ、今を逃すと出られなくなると思い、早口で告げた。

「あ、あの……さっき兄から電話があって。出発が早まったということで、今夜、母のところへ行くことになったんです」
「えっ、そうなのか?」

 義昭が驚いて美羽を振り返る。そこには、拒絶の表情が浮かんでいた。

 義昭は表面上は華江に対して当たり障りなく接しているものの、苦手意識がある。福岡に行くことも年々面倒に思うようになっていたし、あの場にいることも苦痛で堪らなかった。

 美羽は嘘をついているという罪悪感に呑み込まれそうになりつつも、喉をゴクリと鳴らして頷いた。

「うん……お母さんが、早くに来て欲しいみたいで」

 こんな理由が通用するはずがない。緊急の用事でもなければ、義昭は納得しないはずだ。

 これ以上、具体的な理由を聞かれたらどう答えようかと美羽が考えあぐねていると、琴子がボストンバッグを畳の上にストンと置き、義昭の元へと歩み寄って膝がつきそうなぐらい近くで座ると、猫なで声を出した。

「ねぇ、義くん……」
「どうしたの、母さん?」

 義昭が、美羽から琴子へと視線を移す。



「圭子が晃さんの実家に行ってる間、義くんのところに泊めてもらえないかしら」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...