【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

奏音 美都

文字の大きさ
352 / 498

346.義昭への憎悪

しおりを挟む
 美羽も自分なりに教団内部を探ろうと類に迫ったが、そのやり方はあまりに拙く、直情的だった。

『オカダ? 誰、それ?』

 演技することなく自然に出て来た類の言葉に、信じられないといった表情を見せた美羽を思い出すと、愛おしくて笑いが込み上げてくる。

 ミューってほんと、穢れてないよね。
 オカダリョウジなんて男、この世にいないのに。探し出せるはず、ないのにさ。

 そう。『オカダリョウジ』という名前の人間など、この世に存在しない。
 教団に潜入するために作り上げた、リョウの偽名なのだから。

 義昭が『オカダリョウジ』と聞いて、リョウのことだと結び付けられなかったのも、無理はない。



 彼の本当の名前は……吉澤《ヨシザワ》 聖陵《セイリョウ》。
 そこから類が、『リョウ』という名を彼に与えた。



 それ以来、彼は会う人に自分の名は『リョウ』だと名乗っていた。義昭すら、リョウの本当の名前を知っているかどうか疑わしい。

 そんな美羽とは逆に、躰も、心も穢れてしまった自分を呪いたくなる。類は睫毛を震わせ、唇を噛み締め、苦悶に満ちた表情を浮かべた。

 ミューは……あのビデオを見て、どう思ったかな。

 怖かった? 気持ち悪かった?
 僕のことが……嫌いに、なった?

 美羽にあの動画を見せたのは、類の意思ではない。義昭の思惑により、そうなったのだ。

 義昭は、類と美羽が廊下で喋っていたのを自室からこっそり聞いていたに違いない。そこで、美羽が自分の部屋に入るかもしれないと考え、罠を仕掛けたのだろう。

 あのファイルにはロックがかかっていた。義昭が故意にロックを解除しておかない限り、美羽に見られるはずがない。

 あの日、類は突然気分が悪くなり、乱される感情の波に襲われる中、閉店作業の途中にトイレに駆け込んだ。美羽に何かあったのでは……と心配して、確認したスマホに映った画面。

 義昭の部屋で驚愕しながらパソコン画面を食い入るように見つめる美羽に全てを悟った時、類の全身が義昭への怒りに震えた。

 あ、いつ……勝手なことしやがってぇぇ!!

 あのファイルを、義昭のパソコンから削除しておくべきだったと類は後悔した。

 だが、削除してしまえば、義昭は不信感を抱いてしまうだろう。
 いっそ、義昭をこちら側に引き込んでしまおうか……そんなことも考えたが、嘘が下手な義昭がうまく立ち回れるとは思えない。

 それに、リョウとは違い、自分の配下につけるほどの付加価値のない男だ。自分が類のために役立っているなど、爪の先ほども思わせたくなかった。

 義昭は、ただの駒なのだから。

 類があの動画をコピーしておいたのは、義昭が類に牙を剥いた時に脅すための材料としてとっておくためだった。



 義昭は、どんな目的であの動画を美羽に見せようとしたのか。



 今まで義昭の心は、類にだけ向けられていた。双子である美羽に出会った頃こそ彼女に気持ちが傾いていたものの、すぐにそれはなくなり、冷たくなっていた。

 それが、最近の義昭の態度はどうだ。美羽に優しくし、好かれようとしているのが見え見えだ。それを類は、苦々しく思っていた。

 もし……義昭が、あの動画を美羽に見せることで類を嫌うように仕向けたとしたのなら、絶対に許せないし、地獄の業火で焼き尽くしても足りないぐらいだ。

 それとも、そうすることで類にお仕置きされることを望んでいるのだろうか……

 そんな考えが浮かび、類はブルリと身震いした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...