137 / 1,014
凌辱
1
しおりを挟む
先程まで優しさをたたえていた瞳は影を潜め、代わりに野獣のような熱を帯びたヘーゼルグリーンの瞳に捕われ、美姫の身が竦んだ。
「や、めて…そんな……悪い、冗談……」
そうだ、これはタチの悪い悪戯なんだ……きっと他のみんなは何処かに隠れていて、私がビックリしているのを見て、笑ってる。そして、「ごめんねぇ...」なんて言いながら、もうすぐ現れてくるに違いない。
もうすぐ……もう、すぐ……もう……
「本気、だよ?」
礼音が首を傾げてニヤリと笑う。嗜虐性を秘めたその笑みに美姫の鼓動がバクバクと警報を打ち鳴らす……
逃げ、なきゃ……
そう思うのに、
ガクン……「んぅはっ!!」
自分の体重を支えることも出来ず、膝から崩れ落ちてしまう。
崩れ落ちた拍子にテーブルの角に打ち付けてしまった尾てい骨がヒリヒリと痛むが、そんなことに構っている暇は今はない。床に手を付き、お尻をつけたままズルズルとラグの繊維を引き摺るようにして後退る。
全身が熱くて、腕に力が入らず肘から震えてガクガクする。脂汗が毛穴から吹き出し、毛髪に絡み、脇下と背中もじっとりと濡れてきた。
「ふふっ、なぁにしてるの?美姫ちゃぁん♪」
捕らえようと思えば直ぐにでも追い付けるはずなのに、礼音は後退る美姫を不敵な笑みを浮かべながら見つめるだけだった。
それから悠々とした歩調で一歩、また一歩と少しずつ距離を詰め、美姫の恐怖心をヒタヒタと煽ってくる。
細長い糸の柔らかな繊維の手触りが冷たい木の床の感触へと変わる。震える肘に力を入れて床を押すようにしながら、必死に腰を浮かせ、足を踏み込みながら蹴る。
ガシャンッ
「った!!」
肘がガラス戸に当たった。ガラス戸に指を引っ掛けて開けようとするけれど、指先に力が込められず、ガタガタと虚しい音だけが部屋に響いた。
お、願いっ……開いて……お願いっ、だからっっ!!!
「その、怯える表情も可愛くてたまんないなぁ」
礼音は美姫の目線まで下りてくると、完璧な笑みで微笑んだ。
「美姫ちゃんってさぁ……根性あるよね。あの媚薬、効き始めたらかなり足腰くるはずなんだけど」
び、媚薬!?じゃあ、躰中熱くて、力が抜けるようなこの感覚は……媚薬を飲まされたからなの!?
美姫の舌にホットレモネードのとろみが蘇る。すぐに家を出るからと安心し、礼音とふたりきりになってしまった自分の行動を悔いても、もう遅い。
礼音が美姫の頬に手を添える。
「や、めてっ……」
渾身の力で振り払おうとするけれど、ペシッと乾いた音とともに美姫の腕がだらりと床に落ちるだけだった。
「ふふっ、いいねぇ……簡単に手に入らない女の子って、そそるなぁ……」
「や、めて…そんな……悪い、冗談……」
そうだ、これはタチの悪い悪戯なんだ……きっと他のみんなは何処かに隠れていて、私がビックリしているのを見て、笑ってる。そして、「ごめんねぇ...」なんて言いながら、もうすぐ現れてくるに違いない。
もうすぐ……もう、すぐ……もう……
「本気、だよ?」
礼音が首を傾げてニヤリと笑う。嗜虐性を秘めたその笑みに美姫の鼓動がバクバクと警報を打ち鳴らす……
逃げ、なきゃ……
そう思うのに、
ガクン……「んぅはっ!!」
自分の体重を支えることも出来ず、膝から崩れ落ちてしまう。
崩れ落ちた拍子にテーブルの角に打ち付けてしまった尾てい骨がヒリヒリと痛むが、そんなことに構っている暇は今はない。床に手を付き、お尻をつけたままズルズルとラグの繊維を引き摺るようにして後退る。
全身が熱くて、腕に力が入らず肘から震えてガクガクする。脂汗が毛穴から吹き出し、毛髪に絡み、脇下と背中もじっとりと濡れてきた。
「ふふっ、なぁにしてるの?美姫ちゃぁん♪」
捕らえようと思えば直ぐにでも追い付けるはずなのに、礼音は後退る美姫を不敵な笑みを浮かべながら見つめるだけだった。
それから悠々とした歩調で一歩、また一歩と少しずつ距離を詰め、美姫の恐怖心をヒタヒタと煽ってくる。
細長い糸の柔らかな繊維の手触りが冷たい木の床の感触へと変わる。震える肘に力を入れて床を押すようにしながら、必死に腰を浮かせ、足を踏み込みながら蹴る。
ガシャンッ
「った!!」
肘がガラス戸に当たった。ガラス戸に指を引っ掛けて開けようとするけれど、指先に力が込められず、ガタガタと虚しい音だけが部屋に響いた。
お、願いっ……開いて……お願いっ、だからっっ!!!
「その、怯える表情も可愛くてたまんないなぁ」
礼音は美姫の目線まで下りてくると、完璧な笑みで微笑んだ。
「美姫ちゃんってさぁ……根性あるよね。あの媚薬、効き始めたらかなり足腰くるはずなんだけど」
び、媚薬!?じゃあ、躰中熱くて、力が抜けるようなこの感覚は……媚薬を飲まされたからなの!?
美姫の舌にホットレモネードのとろみが蘇る。すぐに家を出るからと安心し、礼音とふたりきりになってしまった自分の行動を悔いても、もう遅い。
礼音が美姫の頬に手を添える。
「や、めてっ……」
渾身の力で振り払おうとするけれど、ペシッと乾いた音とともに美姫の腕がだらりと床に落ちるだけだった。
「ふふっ、いいねぇ……簡単に手に入らない女の子って、そそるなぁ……」
0
あなたにおすすめの小説
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる