65 / 74
6.
7-6
しおりを挟むそれじゃあ結局、結果は変わらないってことだったの?
「ばか…… 」
本当の馬鹿は、一体どっちなのか。
むくれて他所を向けば、ふっと笑った浩峨に 「みーか」とサラサラとした声で呼ばれる。
それだけで胸がきゅうんとなってしまったのも悔しくて、黙っていると浩峨が体勢を変えて上から覆い被さってきた。
「美花、可愛い 」
頭の下で捩れた髪が痛くて、実際の痛み以上に顔をしかめると空いている方の手でさりげなく頭を持ち上げてくれる。
そのまま後頭部をゆるりと引かれ見上げれば、近過ぎる整った顔に鼓動が速くなった。
「橘さ…… 」
「浩峨でしょ? 」
泳がせた視線まで捕らえられて、深く澄んだ瞳に吸い込まれそうになる。
もう、だめ。 世界が全部、この人になっちゃう。
蜜に浸されるように追い詰められて、震える睫毛を伏せれば、たっぷりと息を絡めた声で内緒話をするみたいに囁かれた。
「呼んでくれたら、きっと俺はもっと美花のモノになるよ 」
背中にゾクリ……とした甘い痺れが走る。
もしそれが罠だと分かっていても、この誘惑に勝てる訳がない。くらり……と目眩がした。
ーーー浩峨、さん。
か細い声で欲しくて堪らない人の名前を紡ぐと、柔らかな口唇が重ねられる。
先程の残っていた余韻が蘇ってきて、あっという間に美花の全身を包んだ。
上と下を丹念に舐められて、あわいを辿る舌を受け入れると、浩峨の身体が揺れて、一気にくちの中をいっぱいにされる。
束ねられた手は頭上で波打つシーツに縫い止められ、はだけた胸元をしなやかな指が伝うが、全てを食べ尽くすような濃厚なキスに抗うことさえ忘れた。
「……心の伴ったセックスがどんなにいいか、美花に教えてあげる 」
息も絶え絶えになった美花の耳に遠く聞こえたのは、楽しそうな浩峨の声。
「今まで怖がらせないように我慢してきた分も、ちゃんと受け止めてね 」
怖がらせないように? 我慢?
何か引っ掛かるようなことを言われた気がするけれど、もう考える力なんて残っていない。
言われるがままに頷けば、「かーわいいなぁ、ホント 」と、鼻先を合わせ、擦り付けられた。
その言葉の意味を理解するのには、余り時間は要らなかった。
抱き合ったままあまくて長いキスを受けているうち、いつの間にか器用な手によって衣服は全て剥ぎ取られた。
恥ずかしいと身体を捩れば、長い手足を絡め、確かめるように大きな手のひらが美花の身体を撫でた後を口唇が辿ってゆく。
シャワーも浴びた訳ではないのに、全身の肌が濡れているのはそのせいだ。 美花の汗や涙だけじゃない、浩峨が降らせる口付けのせいだった。
「……っくしょう。 あの野郎、あんなんで帰さずにやっぱり殴っときゃ良かった 」
途中、優しい指の動きがピタリと止まり浩峨らしからぬ毒突きが聞こえたが、不安になった美花が曇る視界の中見詰めたら、「ごめん、気付けなくて 」と謝られた。
「もう、誰にも美花のことを傷付けさせない。 俺だけを覚えさせるから。
愛し方も、形も全部、他は思い出せなくなるくらい。 俺だけに合うように、俺だけが欲しくなるように 」
囁かれた途端、耳朶を齧られて、チリ……としたあまい痛みに喘ぐ。
13
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
涼太の後悔の一夜〜本能と本心プロローグ〜
うちこ
恋愛
こちらは「本能と本心」のプロローグになります。
成宮涼太28歳、大手商社勤務
仕事第一で生きている。
子会社の商社勤務、村田梨花29歳と飲み会で出会い、夜を誘われる。
梨花は衣服の上からでもわかるほど胸元が豊かだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる