溺れるカラダに愛を刻んで【完結】

山葵トロ

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 それじゃあ結局、結果は変わらないってことだったの?

 「ばか…… 」


 本当の馬鹿は、一体どっちなのか。

 むくれて他所を向けば、ふっと笑った浩峨に 「みーか」とサラサラとした声で呼ばれる。

 それだけで胸がきゅうんとなってしまったのも悔しくて、黙っていると浩峨が体勢を変えて上から覆い被さってきた。


 「美花、可愛い 」

 頭の下で捩れた髪が痛くて、実際の痛み以上に顔をしかめると空いている方の手でさりげなく頭を持ち上げてくれる。

 そのまま後頭部をゆるりと引かれ見上げれば、近過ぎる整った顔に鼓動が速くなった。


 「橘さ…… 」

 「浩峨でしょ? 」

 泳がせた視線まで捕らえられて、深く澄んだ瞳に吸い込まれそうになる。


 もう、だめ。 世界が全部、この人になっちゃう。

 蜜に浸されるように追い詰められて、震える睫毛を伏せれば、たっぷりと息を絡めた声で内緒話をするみたいに囁かれた。


 「呼んでくれたら、きっと俺はもっと美花のモノになるよ 」

 背中にゾクリ……とした甘い痺れが走る。


 もしそれが罠だと分かっていても、この誘惑に勝てる訳がない。くらり……と目眩がした。


 ーーー浩峨、さん。


 か細い声で欲しくて堪らない人の名前を紡ぐと、柔らかな口唇が重ねられる。
 先程の残っていた余韻が蘇ってきて、あっという間に美花の全身を包んだ。


 上と下を丹念に舐められて、あわいを辿る舌を受け入れると、浩峨の身体が揺れて、一気にくちの中をいっぱいにされる。
 束ねられた手は頭上で波打つシーツに縫い止められ、はだけた胸元をしなやかな指が伝うが、全てを食べ尽くすような濃厚なキスに抗うことさえ忘れた。



 「……心の伴ったセックスがどんなにいいか、美花に教えてあげる 」

 息も絶え絶えになった美花の耳に遠く聞こえたのは、楽しそうな浩峨の声。


 「今まで怖がらせないように我慢してきた分も、ちゃんと受け止めてね 」


 怖がらせないように? 我慢?

 何か引っ掛かるようなことを言われた気がするけれど、もう考える力なんて残っていない。


 言われるがままに頷けば、「かーわいいなぁ、ホント 」と、鼻先を合わせ、擦り付けられた。

 その言葉の意味を理解するのには、余り時間は要らなかった。





 抱き合ったままあまくて長いキスを受けているうち、いつの間にか器用な手によって衣服は全て剥ぎ取られた。

 恥ずかしいと身体を捩れば、長い手足を絡め、確かめるように大きな手のひらが美花の身体を撫でた後を口唇が辿ってゆく。

 シャワーも浴びた訳ではないのに、全身の肌が濡れているのはそのせいだ。 美花の汗や涙だけじゃない、浩峨が降らせる口付けのせいだった。



 「……っくしょう。 あの野郎、あんなんで帰さずにやっぱり殴っときゃ良かった 」

 途中、優しい指の動きがピタリと止まり浩峨らしからぬ毒突きが聞こえたが、不安になった美花が曇る視界の中見詰めたら、「ごめん、気付けなくて 」と謝られた。


 「もう、誰にも美花のことを傷付けさせない。 俺だけを覚えさせるから。
愛し方も、形も全部、他は思い出せなくなるくらい。 俺だけに合うように、俺だけが欲しくなるように 」


 囁かれた途端、耳朶を齧られて、チリ……としたあまい痛みに喘ぐ。




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