サンタクロースはやってくる??

いろすどりあ

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【不器用な…】

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 『コウスケからメアド教えてもらったよ。今日はありがとね。楽しかった』
私は他愛もない内容をカズトに送った。それから頻繁にメールを送り合うようになった。仕事であったこと、テレビのこと、私の好きなアーティストのこと…。毎日が本当に楽しかった。返事が来るのを待つようになった。存在が大きくなっていくのがわかった。

…好きかもしれない。

 私たちは特に会うこともなく、ただただメールを続けた。ある日、カズトからのメールがいつもと違った。
「俺はこれからも前に向かってがんばっていきます!」
突然の内容だった。
『どうしたの??』
私はそう返事をした。
「25歳、仕事もプライベートもがんばらないとと思ってね」
『25歳の決意??いつが誕生日??』
「今日!」
まさか、当日に誕生日をアピールしてくるとは思ってもいなかった。
『おめでとう、今度お祝いしなきゃね』
私はそう送った。精一杯のひとことだった。私の気持ちがカズトに伝わってしまうんじゃないかと怖くなった。
 私は昔からそうだった。好きになった男の子に告白なんてしたことはなかった。もしも告白して振られたら、今の仲が悪くなってしまうかもしれない。それなら今のままでいる方がいい。そう思うタイプだったから。カズトに私の気持ちがわかってしまったら今の楽しい日々がなくなってしまうかもしれない。
 すると、カズトから
「来週また、はじめに再会した時のメンバーで飲みに行こうって言ってるけど行こうよ!カナにも声かけて。」
と、メールが来た。私は、カズトに会えると思って参加すると返事をした。誕生日を知ったんだし、何かプレゼントでも渡そうと決めた。

 決まらない…。何が好きなのか、どんなものなら喜んでくれるのかがわからない。カズトは現場仕事だ。もう外は寒くなってきて、私も最近コートを出した。マフラーや手袋はちょっと重たすぎる気がした。ん~、結局レンジでチンして温めるカイロとそのケースとおやつを買ってあげることにした。
 飲み会当日、私は仕事だった。ちょっと遅くなった。慌てて帰って準備をしていると
「もう着いてる?」
カズトが連絡をくれた。
『まだだよ。さっき仕事から帰ってきたから準備して出るところ』
「迎えに行くよ。今日は飲んだら?帰りも送ってあげるから」
カズトが迎えに来てくれる。緊張しかなかったけど、嬉しかった。
 カズトは仕事の箱バンで迎えに来てくれた。
「寒くなってきたよなー」
『そうだね。カズトは外の仕事だから大変でしょ?私は病院で空調がきいてるから…』
本当に他愛もない話。もしも帰りカナと帰ることになったら渡せないと思って…
『コレ、この前誕生日って言ってたから。でもどんなものがいいか全くわからなくて、好みじゃないかもしれないけど…』
そう言ってプレゼントを渡した。
「えっ」
カズトが固まった。しまったー、誕生日って聞いたからってプレゼント?気持ち悪い…なんて思われた??
「ありがとう。すっごい嬉しいよ。まさか誕生日プレゼントを貰えるなんて思ってなかった。」
とても喜んでくれているように見えた。カズトは誰にでも優しい。バーベキューの時のみんなへの対応は優しさの塊だった。そうか、ご両親が仕事を引退したらカズトが社長。すでに現場仕事以外の会社としての次期社長の仕事もしてるって言ってたもんね。周りの人へは本当に傷つけない対応をする。この私への対応も素晴らしかった。
『早く行こう。もうみんな集まってるよね』
カズトはプレゼントを車に置いて外に出た。
「あれ?お前ら一緒に来たの??もしかして付き合ってるとか??」
ハヤトが言った。私は慌てて、
『んな訳ないじゃん。ただ仕事終わったタイミングが同じだっただけ。それで連れてきてもらったの』
カズトは黙っていた。
 前回の集まりより少し私もみんなの中に入って話ができた。昔の友だちもいいもんだ。帰りは案の定、酔っ払ったカナを連れて帰ることになった。カズトの車にカナを乗せた。その瞬間、カズトはプレゼントを隠した。…どうせカナはどうやって帰ったさえ記憶にないと思うけど。なんか気まずかった。
 カナを送り届けて、また2人になった。
「ごめん、思わず隠しちゃった」
カズトはプレゼントを隠したのを私が見ていたのを知っていた。
『ううん、いいの。それ何?なんて言われてもまたいじられるだけだもんね。ごめんね、私がプレゼントなんて持ってきちゃったから、変に気を使わせちゃって』
「何言ってんの?嬉しかったんだからいいんだよ」
ちょっと強い口調でカズトが言った。
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