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ヒロインから溺愛されてます

第12話 なんで私?

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 サッカー部の部活動紹介の番が回ってきた。

 サッカー部は一番攻略対象者が多い。三人いるが、メインとしては、入学式の時の七瀬大翔。彼はエースで、王道の王子様系である。
 他には、キャプテンの十海紫暮(とうみ しぐれ)。彼はオネエ言葉を操るかなり癖のある人物。ただ、オネエ言葉を使うと言っても、恋愛対象は女らしい。たまに見せる男らしさがギャップで魅力のあるキャラだ。
 あとは、二階堂蒼空(にかいどう そら)がいる。二階堂蒼空は、フェミニストでチャラい。とにかくチャラい。女にだらしない。確か、彼の攻略は、ヒロインがそんな彼を更生させ、彼を愛し彼に一途に愛される、とかそんな感じよくあるありふれたものだったはず。ともあれ、彼はありとあらゆる意味で関わりたくないナンバーワンだ。とはいえ、サッカー部の練習にはあまり参加していなかったような気はするが。

 「ワタシたちサッカー部はーー」

 と、十海紫暮が紹介を始めた。


 「あっ。ゲッ」

 隣の千夏が声を上げた。しかも、嫌そうな声だ。

 どうしたんだ?と思いながら、千夏を見上げると、「ほら」と七瀬大翔を指差す。「あの時の…あいつ…!」と、親の仇でも見るような目で、嫌そうな顔で七瀬大翔を見ている千夏。本当にどうしたの?いつも誰とでも仲良くなれるコミュ力を持つ千夏はどこに行ったの?

 キョトンとしながら千夏を見ると、ギュッと抱きつかれる。

 「はなちゃんは私が守る。あんな奴には渡さない!」


 本当に大丈夫?千夏と七瀬大翔の恋愛フラグちゃんと立つ?

 トントンと背中を軽く叩くと、ようやく離れてくれた。


 そうこうしているうちに、サッカー部はパフォーマンスに移ったようだ。

 「我がサッカー部が誇るエースの七瀬と、我らがキャプテンの十海のチームに分かれて三分ミニゲームしますね~」

 と、サブキャラで副キャプテンの藤堂瞬(とうどう しゅん)くんが言った。彼は、ぶっちゃけサッカー部で出てくるキャラクターの中では彼が一番まともだ。

 そして、始まるミニゲーム。

 うーん。イベントってどんなのだったっけ?
 確か、これがあったから、ヒロインはサッカー部のマネージャーに入ることが出来るんだよね。サッカー部はマネージャー募集してないはずだし。

 考え込んでいたから、気づかなかった。

 「はなちゃんっ!」
 「はな!危ない!」


 「…え?」


 あ、と思った時には、時既に遅し。

 それなりの速度のボールが頭にぶつかった。

 そうだ、ヒロインの頭にボールがぶつかって、ヒロインは意識を失って、それで、攻略対象者の十海紫暮に、お姫様抱っこで運ばれて、それで…ーー



 あれ?なんで私がイベントしてるの?


 これは!ヒロインに起こるイベントだよね!?

 それは、間違いない!だってスチルで見た!

 あれ?私は、ヒロインの幼馴染みで、モブ、なんだよね?


 そう思いながら、私は意識を失った。

 だから、私は知らない。


 私を深月も運ぼうとしたけど、反応が遅れて、結局十海紫暮がヒロインにするように、お姫様抱っこで運んだことを。そのことによって、千夏は十海紫暮を警戒するようになって、攻略不可になったことを。




 目が覚めると、そこは、保健室で、修羅場でした。

 幼馴染み達が、攻略対象者の十海紫暮といがみあっていて、その後ろで、心配して着いてきたであろう藤堂瞬くんがオロオロしていました。

 何でこうなったの!?

──────
作者です。
やっとここまできた。

次の次くらいでとりあえず短編は終わるかな、この話(遠い目)。

唐突に!
はなちゃんのお相手考えてみよう!のコーナー

いやー、長編考えるならその辺考えないとなーと思い、ちょっと、考えてみた。
今のところ、はなちゃんの何気に好感度が高いのは、ゲームキャラの中では、藤堂瞬くん。サブキャラ、まとも、という点がポイント。
深月は幼馴染み枠。ドンマイ。でも、男として意識させられたらそこからは早いのが深月、かな。
七瀬大翔?知らない子ですねー。攻略対象者はあくまでも攻略対象者、はなちゃんの中では、千夏のお相手、という意識が強いので。まあ、ガンバっ。はなちゃんは、アタックすれば弱い部分はありますが。だって、前世は乙女ゲーマーだもの。

こんな感じでした。このキャラだったら?って言うのがありましたら、考えてみますので、教えてください。
皆さんのこの作品での推しキャラは男キャラの中にいるのでしょうか…(遠い目)
この作品ははなちゃんの可愛さで成り立ってるのは作者自身自覚はありますので…
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