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小学生編
5.私と推しの呼び名 後半【Side】颯真
しおりを挟むん?ちょっと言ってることが分かんないなぁ。もう一度言ってくれないかな?
「えっと?れいやくん?もういっかい言ってくれる?」
私の催促にキョトンとしながらも、再び同じことを言ってくれるれいやくん。
「だから、おれのことはれいってよんで?」
やっぱり聞き間違いじゃなかったー!!!
「えー…。なんで?」
「?なんでって、りあちゃんにそうよんでほしかったから、じゃ、だめ?」
首をこてんっと傾げながら、器用に私を上目遣いで見てくるれいやくん。うぅ、え、あ、あざとかわいい!!
私は「いいよ」と言おうとした。言おうとしたが、遮られた。
「だめぇぇー!!」
そう、先にそーくんが否定した。え、嘘やん、そーくんなんで?私がれいやくんと仲良くなろうが、私はそーくんから離れていかないって分かったんだよね?あれ?
「べつにいいだろ?なつめ」
「うっ。だって…」
呆れたようにため息をつきながら言うれいやくんに、言葉に詰まってビクッとしたそーくんは、チラチラと私を伺っている。何?どゆこと?
「だからー、なつめもおれのこと、れいってよんでいいからさ、べつにいいだろ?」
おぉっ!『君ラブ』通りだーっ!
そう。『君ラブ』では、れいやくんとそーくんは、お互いに、玲、颯って呼びあっていたのだ。
わーっ!!テンション上がるぅーっ!
『君ラブ』での一面を垣間見て、思わず、テンションが上がって、興奮していた私は聴き逃していた。
「それに、なつめはりあちゃんのこと、こまらせたくないないんだろ?」
「チッ。わかった。おまえのことは、れいってよぶ。あと、ぼくのことは、そう、でいい…」
「わかった!そう、だな!」
こっそりこんなやり取りをしていて、『君ラブ』のように、呼びあうようになっている彼らのことを、私は見逃してしまっていたのだ。
そして、私が知らない間に、あんなに険悪ムードだった(そーくんが一方的にだったけど)彼らが、何故か、意気投合して仲良くなっていたり。
「ってなわけだから、おれのことはれいってよんでね。そうからきょかはとれたし」
いやいや、何が、ってなわけだから、なの!?
いや、呼ぶけどね!?
「えっと、れーくん?」
首をこてんっと傾げながら、そう呼ぶと、とても嬉しそうに、頬を染めて、『君ラブ』で見たキラキラな笑顔で、れーくんは「りあ」って呼んでくれたのだった。
いや、結局二人の間に何があったの?
◇◆◇◆◇
side颯真
ぼくには、大切な幼なじみがいる。
名前は、七海璃空。
りあはとても優しい。でも、その優しさはみんなに対するものだ。だから、りあはみんなに好かれている。でも、その中で、りあにとってぼくは特別だと思っていた。ぼくは、りあといつも一緒だった。ぼくは、りあがいればそれで良かった。だから、りあも同じだと思っていた。でも、りあはぼく以外と仲良くなろうとしていた。そんなのだめだ。だから、りあと仲良くなろうとしたヤツには、もうりあと関わらないようにしてもらった。その過程でけんかして、りあにおこられたけど、これくらいですむなら別にいい。
これまで、ずっとそうしてきた。
りあは、ぼくに、りあ以外と仲良くしろって言うけど、みんなぼくを変な目で見てきて、いじわるしてくるからだめだ。ぼくの髪と目の色が変だって言うんだ。そんなヤツとは仲良くなれるわけがない。ぼくに普通に接してくれるのはりあだけだ。
それに、この前、へんなおじさんからさらわれそうになったじゃないか。その時、りあが守ってくれようとしたけど、どうしても力では大人にかてない。たまたまパトロールで通りかかったお巡りさんが助けてくれなかったら、ぼくもりあもどうなっていたか。あの時は、りあが守ってくれたけど、次はぼくがりあをまもる。
そんなぼくとりあのふたりの世界に、入ってくるヤツが現れた。
日向玲弥だ。
りあは、ぼくに玲弥と仲良くなって欲しいみたいだった。
でも、無理だと思った。
りあが笑顔でコイツに話しかけるのにがまんできない。それに、コイツは、たぶんぼくと同じだ。りあに、笑顔で話しかけられるときの顔が、ぼくと同じだ。たぶん、りあにはじめて話しかけられた時に、コイツは、りあに堕ちている。
放課後になって、りあが玲弥にいっしょに帰ろうとさそっていた。コイツがりあといっしょにいるのを見るのはいやだけど、二人にはできないから、ぼくもいっしょに帰ることにした。それに、もともと、ぼくがりあといっしょに帰っていたしね。
帰るとちゅう、こうえんによることになった。
また、りあは逆上がりのれんしゅうをするみたいだった。逆上がりをするアイツを見て、りあがアイツをほめていた。
なんで?
なんでほめるの?ぼくも、逆上がりできるのに!
思わず、感情をぼうそうさせて泣いてしまったぼくにりあは、ぼくのことを好きだって言ってくれた。
そっか。りあはぼくのことが大好きなのか。
喜びにひたりふにゃふにゃと顔をゆるませるぼくに、安心したようにニコニコとぼくを見ているりあ。
でも、玲弥が話しかけたせいで、りあはそっちにいしきがいっちゃった。
玲弥は、りあに愛称で呼んでほしいらしい。
それはダメ。ぼくの特権なのに。そう思ってすぐに反対してしまった。
でも、りあはぼくのことを大好きって言ってくれたからなあ…。ほかのやつとなかよくなると、りあはそっちにいっちゃうんじゃないかと思っていたけど、今日みたかんじだと、だいじょうぶそうだからなあ。それに、玲弥を引きこんでおけば、玲弥はぼくと協力できそうだし…。手は組めそうなんだよなあ。そしたら、なんとなくだけど、りあにぼくと玲弥以外の男は近づけさせないようにできそうだし。
りあはたまにボーッとしていて、意識がべつのところにあるときがあるんだけど、今、その、ボーッとしているからちょうどいいかな?
「それに、なつめはりあちゃんのこと、こまらせたくないないんだろ?」
ニヤニヤ笑いながらそうあおってくる玲弥に、思わず眉間にしわが寄る。
「チッ。しかたないか。わかった。おまえのことは、れいってよぶ。あと、ぼくのことは、そう、でいい…」
そして、つい舌打ちをした後の、ぼくの返答はおそらくれいのよそうどおりだろう。
「わかった!そう、だな!」
「なあ、おまえさ、りあのこと、すきだよな?」
「やっぱり、きづいていたか。にらんでくるから、そうだとおもっていた」
「ていあんだ。ぼくと手をくめ」
「おう」
ニヤリと笑ったれいと固く握手を交わす。
ぼくとれいのあいだに、こんなやり取りがあったとはりあは思わないだろう。
───────
作者です。
なにこのしょうがくせいこわい。
書いてて思ったけど、こんな小学生いないよなー。
とは、思うものの、そーくんと、れーくんは、ハイスペックだから、OKということで。
そーくんのりあへの執着が作者の予想以上すぎてやばい。
なにこのやんでれこわい。
行き当たりばったりな作品ですが、読んでくださる読者の皆様に感謝を。
応援ありがとうございます!
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