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1 出会いは特別で鮮烈

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 人に近い獣人の住む街の花街の端にある花屋。ひっそりと、だけど少なからずの人が買いに寄る。そこで老夫婦の持つ店のもと、生花を売る青年がいた。
 華やかで夢のような世界の片隅、過去に抱えた痛みを隠し今日も花売りを続けている。

 賑やかな街に鎧の音が届く。
 あぁ、今日も騎士団の巡回だ。
「こんにちは。今日はどうですか?」
 いつもの狐獣人のお兄さん。この花街の担当らしく治安維持のため、数日に一度ここ一帯を見回っている。
「はい。アクロイドさんご夫婦も変わらずお元気ですしこのお店もぼちぼちですよ」
「そうですか。それは良かった。では、また。何かあったら騎士団へ教えてください」
「そう言って貰えて助かります。今日もありがとうこざいます」
 狐のお兄さんの隣には鷲のお兄さんがいたはずだけれど今日は違う人かな。彼らの違いに僕は目が移ろいだ。

 そのしっぽと耳は犬かなとか、鷲のお兄さんも大きいけどこの人も見上げるくらい大きいなとか考える。
 その流れでふっと目線を彼に合わせるとこちらをじっと眺めていたらしい彼と目が合った。そうすると犬のお兄さんの耳がピンと張り、目が大きく開かれる。大きく息を吸って言葉が吐き出された。


「あの、お兄さん。貴方に恋人はいらっしゃいますか!? 」


「え?」


「誰かお好きな方とかは?それかもうご結婚を?それか許嫁がいたり?」
「え、えっと、僕にそういう人はいませんが……」
 ずいずいと体が寄せられ顔が近寄る。綺麗な顔だけど圧を感じ、怖くて後退る。そして、彼がまた寄ってくる。瞳からの圧でビリビリと体が強ばる。

「そうなんですね!では、私などはどうでしょう!私はケレイブと申しまして、見習いですが騎士ですし、バカですが素直でグズではありません!」
「ええっ!あ、あ、」
 こ、告白ってこんなに早いものだっけ?僕の何がそんなに良いの?なんで騎士の人が?早急かつ何も分からない事象に困り果て戸惑っていると狐のお兄さんが襟首を捕まえ彼の体を引き離した。

「馬鹿!なに、人困らせてんだ。ハワードさんすみません。こいつ悪いやつじゃないんですけど如何せんうるさいんです。すみませんねぇ」
「い、いえ」
「ハワードさん、付き合うのが無理なら今すぐ俺と結婚して貰えませんか!」
「え、け、結婚?」
「おい、ケレイブ!初対面の人様になに言ってんだ、てめぇ!」
 ケレイブさんは狐のお兄さんにガコンとうるさい音がするほど頭を強く腕を打ち付けられていれる。痛そう……

「すみませんした!うちのとこの騎士がご迷惑おかけいたしまして!このバカは俺がシバいておきますので!」
「え、はい。ご、ご無理はなさらないように……?」
「お兄さんまた会いましょうねー!」
 またケレイブさんは頭を殴られる。2人は嵐のように去っていく。

「……今、何が起きたの?」

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