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プロローグ
しおりを挟む私は地下の牢にいた。
シュナウト王子を殺した罪で囚われていた。
護衛兵に腕を掴まれるが、何日も食べ物を口にしていない身体はぐったりと崩れ落ちた。
そんな事も構わず護衛兵たちは私をひこずるようにして広場にある処刑台に連れて行かれた。
処刑台の前にひれ伏すように頭を抑えつけられる。
広場には次期国王を殺した悪女を一目見ようと大勢の人々が押し寄せている。
(違う!私は自分はただ罠にはめられただけだ。事実を訴えればきっと…)
私は一縷の望みを込めて声を上げた。
「違います。私は騙されたんです…シュナウトを殺すつもりなんかなかったんです。私は無実です。父が持たせたワインに毒が入ってるなんて知らなかったんです。どうか話を聞いて下さい」
縋るように辺りを見渡す。そして刑を執行する役人が目に入る。
私はさらに声を出そうとしてその口をふさがれた。
「いい加減にしないか。証拠は揃っている。今さら悪あがきはよすんだな」
護衛兵の一人がつぶやいた。
そしてすぐに冷たい声が落ちた。
「リンローズ。お前はシュナウト殿下を毒殺した。これは明白な事実。もうその罪を逃れることは出来ない。殿下はただの人ではない。この国の未来を担う王をなるべきお方だった。それをお前は!さあ、すぐに刑の執行を行え!」
護衛兵が一礼をして私に近づく。
「やめて。誤解なの。私は…」
そんな私の身体を大柄な男が支え顎をぐっと掴まれ上向かされる。
有無を言わさぬように。何も言えないように。
すぐに護衛兵の一人が持っていた毒盃を私の口に当てた。
男はそれを私の口の中にぐっと流し込んで行く。私は目を見開いて男を見た。
男の目は氷のように冷たくさめていて口元はあざけるように弧を描いた。
掴まれた顎はびくともせずに私はその液体を流し込まれる。
容赦のない熱い液体が喉を通り過ぎると喉の奥が焼け付くようで、私は必死で喉を掻きむしりもがいた。
内臓は毒が回っているのかジリジリ焼かれているような感覚に襲われて私はその場に転がり七転八倒して苦しんだ。
そして呼吸が出来なくなり苦しみもがいて私の意識は途絶えた。
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