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第二章 鵜の真似をする三羽烏
第二話 競泳水着ベリベリファイ
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放課後、別棟三階の部室へ入り、美咲先生に立ち居振る舞いを教わる。
茶室への入り方から一連の所作を行い、お茶をたてて、それを飲み干す。
毎日ではないが、茶菓子が用意される日もある。
茶室に見立てた部室の畳の上では、美咲先生は別人のような雰囲気になる。
まず、ここでは絶対にコーラを飲まない。もちろん、放屁もしない。
無駄口も叩かず、お茶の席で嘘をつくことがない。
「お加減いかがですか?」
一口目で喉を潤わせたとき、美咲先生が僕にたずねる。
「大変おいしゅうござ候」
「あははっ! なんで毎回言い方変えちゃうの? 候はちょっとねぇ……」
「でも、意外でした。結構なお手前でって言葉は使わないって」
「京都のいけず文化から出た言葉だからね。皮肉みたいになるの」
「お茶の席でうっかり言っちゃうと恥かきますね」
「咲耶君、今日は眉毛がへの字になってる。困ってる?」
この短い期間で先生とは、ずいぶん意思の疎通ができるようになった。
特に僕の表情の変化を見逃さない。困ったとき、不機嫌なときの表情を読み取る。
「あの、美咲先生は聞いてないですか? 水早ちゃんの競泳水着の一件」
「えっと……競泳水着? なんで水着? コスプレするの?」
どうやら、気を許した美咲先生にも話していないようだ。
勝手に話を漏らすのは気が引けるが、あらましを先生に説明した。
「もうすぐ、本人が水着持ってここに来ます」
「わたしは着任して間もないから、屋内プールに行ったことがないんだけど……」
「この学校は女子水泳部しかないんです」
「放課後は女子しか屋内プールに入れないとか、決まりはあるの?」
「校則ではないです。暗黙の了解ですね。一応、男子禁制」
六月から七月の水泳授業も男女は別々、部活は女子のみ。
まだ判断するには早いが、利用率から考慮すれば必然的に男子の容疑は薄れる。
「水早さん、来たみたいよ」
教室のドアから水早ちゃんが、小さな紙袋を携えて入ってきた。
黒板の前に設置された四つの机の上にそれをポンと置く。
「咲君、これなんだけど……」
「うん。ちょっと見せてもらうね」
「水早さん、わたしにも相談してくれればよかったのに」
「うーん……少し人間不信になってるんだと思う。
同性の仕業だろうなって思ってて……女性に相談できなかったのかも」
「そこで男性でも女性でもない咲耶君を選んだのね」
「はい」
「いや、そこおかしいからね!」
白い紙袋の中に、水泳部が毎日着用しているデザインの水着が一着。
手に取って紙袋から出してみると、無残なほどボロボロにされていた。
胸部は横一文字に切り裂かれ、腹部は破れて穴が空いている。
裏返してみると、尻の部分もプツプツと大小の穴がいくつか見える。
「先生はどう思います? 水早ちゃんの言うとおり、女子の嫌がらせですか?」
「水早さん、これはいつ起きたことなの?」
「三月四日の部活前にロッカーを開けて……」
「水早ちゃん、部活って毎日じゃないよね?」
「うん。昔はほぼ毎日だったらしいけどね。今は土日が休み」
部活動も数年前はもっとハードだったと、美咲先生から聞いたことがある。
強豪校の運動部などは、土日も朝から晩まで練習づくしだったとか。
教師はさらにハードな裏事情が暴露されている。
残業代が出ない、部活の手当もほとんどなし。出張費も自腹だったという。
四年前のオリンピックイヤーに、教育現場の抜本的な改革がなされた。
現在、学校の教師は残業手当の他に部活顧問手当を支給されている。
これらは労働基準法にのっとり、最低賃金以上の時間給である。
***
破かれた水着を水早ちゃんが発見したのが、三月四日の部活前。
となると、犯行はその日に行われたか、その日以前のどちらか。
これはおそらく後者だろう。
「消去法で考えると、内部犯だと僕は思うんだ」
「やっぱりそうなるのかな……わたしも咲君と同じ考えだよ」
美咲先生は水着を手に持って、ひとつひとつの穴をじっくり見ている。
穴に指を入れてみたり、切り裂かれた部分を確認するように触れる。
「水早さんが言ったとおり、変な破り方してるね」
「先生も気づきましたか」
「え? なになに? 二人ともなにがわかったの?」
ニコリと微笑みを浮かべた美咲先生と目が合う。
紙袋から出した瞬間から、感じていた違和感だ。
「水早ちゃん、ちょっと答えにくい質問していい?」
「えっと……パンツの色とか、スリーサイズ以外ならいいよ」
「うあ。ひどい。亮みたいな扱いされてる」
「冗談だって! 咲君はそんなこと聞かないでしょ。それで、質問は?」
「この競泳水着、練習で使用したあと洗濯した?」
「あ……実はしてない。前の週に忘れて帰ったの。
でも、インナー穿き替えるし、いいかなって思って……」
「置きっぱなしの人もいるって本当なの?」
「いるよ。基本的に毎日使うものだからね。洗い替えない人は干してる」
僕が気づき始めたのは、この競泳水着から発せられる匂いだ。
そして、美咲先生と同じく変な破り方にも……
そのときだった。窓際の一番うしろに設置してある掃除用具箱から物音がした。
ガシャンと掃除用具箱の扉が開かれて、中から人が出てくる。
「話は聞かせてもらった!!」
亮が掃除用具箱から出てきたのだ。
美咲先生も水早ちゃんも、唖然とした表情を隠せない。
僕もなにが起きたのか、一瞬理解できずにいた。
「岩永君……あなた、いつからそこに? わたしがここの鍵開けたんだけど?」
「咲耶と水早の様子が妙だったからさ、部室に先回りしたんだ。
先生が部室を開けて、一度外に出たときに掃除用具箱に隠れた」
「ごめん、咲君。わたしはもう部活行くね!」
水早ちゃんは部室を飛び出して行ってしまった。
二人が長年保ってきた絶妙な距離感のバランスが崩れる音が聞こえる。
「アイツ、これを黙ってたのか。誰だこんな真似しやがるのは!」
「えーと、亮。今すぐに水早ちゃんを追いかけてくれないかな?」
「岩永君、水早さんを追いかけて謝りなさい」
「俺が謝るのか!? なんで!?」
「わからない? 水早さんは岩永君だけには知られたくなかった。
いつも通りの笑顔と強い自分を見せようとしていたの」
「亮に隠していたのは悪いと思ってる。でも、やり方がまずかったよ……
まさか、掃除用具箱に潜んで全部聞いていたとは……」
コイツのことだ。悪気がまったくないのはわかる。
ただ、人間不信に陥りかけている水早ちゃんに盗み聞きなど火に油だ。
「クッソ! どうすればいい?」
「すぐに水早ちゃんを追って、コンクリート割るぐらい土下座して謝るんだ」
「そうよ、岩永君。咲耶君の言うとおり頭蓋骨粉砕するまで謝りなさい!」
「わかった! 死ぬほど謝ってくる!」
「あと、これは余計なお世話だろうけど……
水早ちゃんは謝罪をしてほしいだけじゃないってこと忘れないように」
「長いつき合いだからな。咲耶のこともアイツのこともよくわかってる」
亮は風のように廊下を駆けて行った。
ぶん殴られる可能性大だが、二人はあれでコミュニケーションが成立している。
さて、美咲先生と二人だけになったところで先ほどの答え合わせをしたい。
この競泳水着の変な破り方と妙な匂いについて。
「これを紙袋から出したとき、塩素の匂いと焦げた匂いがしたんです」
「そうなの。このお尻の部分、これは焼け焦げているの」
「胸元の横一文字は、刃物でスッパリですね」
「切り口が雑ね。鋭利な刃物ではない……学内で刃物と言えばカッターとか?」
「お腹部分の大きな穴は、始めは小さく開けた穴をこじ開けて大きくしてますね」
三ヶ所に開けられた穴は、三通りの方法で開けられた。
では、犯人はひとりで胸元部分をカッターで切って、腹部をペンで突き刺してこじ開け、尻の部分を熱で溶かしたのかと言うとそうではない。
「咲耶君、これは他の水泳部員に水早さんのことを聞いてみる必要があるね」
「はい。水早ちゃんが部内でどう思われているのか、
どういう人間関係を築いているのか……ですね」
再び先生と目が合った。答え合わせの時間だ。
一呼吸置いて、僕と美咲先生の声がピタリと重なった。
「犯人は三人!」
茶室への入り方から一連の所作を行い、お茶をたてて、それを飲み干す。
毎日ではないが、茶菓子が用意される日もある。
茶室に見立てた部室の畳の上では、美咲先生は別人のような雰囲気になる。
まず、ここでは絶対にコーラを飲まない。もちろん、放屁もしない。
無駄口も叩かず、お茶の席で嘘をつくことがない。
「お加減いかがですか?」
一口目で喉を潤わせたとき、美咲先生が僕にたずねる。
「大変おいしゅうござ候」
「あははっ! なんで毎回言い方変えちゃうの? 候はちょっとねぇ……」
「でも、意外でした。結構なお手前でって言葉は使わないって」
「京都のいけず文化から出た言葉だからね。皮肉みたいになるの」
「お茶の席でうっかり言っちゃうと恥かきますね」
「咲耶君、今日は眉毛がへの字になってる。困ってる?」
この短い期間で先生とは、ずいぶん意思の疎通ができるようになった。
特に僕の表情の変化を見逃さない。困ったとき、不機嫌なときの表情を読み取る。
「あの、美咲先生は聞いてないですか? 水早ちゃんの競泳水着の一件」
「えっと……競泳水着? なんで水着? コスプレするの?」
どうやら、気を許した美咲先生にも話していないようだ。
勝手に話を漏らすのは気が引けるが、あらましを先生に説明した。
「もうすぐ、本人が水着持ってここに来ます」
「わたしは着任して間もないから、屋内プールに行ったことがないんだけど……」
「この学校は女子水泳部しかないんです」
「放課後は女子しか屋内プールに入れないとか、決まりはあるの?」
「校則ではないです。暗黙の了解ですね。一応、男子禁制」
六月から七月の水泳授業も男女は別々、部活は女子のみ。
まだ判断するには早いが、利用率から考慮すれば必然的に男子の容疑は薄れる。
「水早さん、来たみたいよ」
教室のドアから水早ちゃんが、小さな紙袋を携えて入ってきた。
黒板の前に設置された四つの机の上にそれをポンと置く。
「咲君、これなんだけど……」
「うん。ちょっと見せてもらうね」
「水早さん、わたしにも相談してくれればよかったのに」
「うーん……少し人間不信になってるんだと思う。
同性の仕業だろうなって思ってて……女性に相談できなかったのかも」
「そこで男性でも女性でもない咲耶君を選んだのね」
「はい」
「いや、そこおかしいからね!」
白い紙袋の中に、水泳部が毎日着用しているデザインの水着が一着。
手に取って紙袋から出してみると、無残なほどボロボロにされていた。
胸部は横一文字に切り裂かれ、腹部は破れて穴が空いている。
裏返してみると、尻の部分もプツプツと大小の穴がいくつか見える。
「先生はどう思います? 水早ちゃんの言うとおり、女子の嫌がらせですか?」
「水早さん、これはいつ起きたことなの?」
「三月四日の部活前にロッカーを開けて……」
「水早ちゃん、部活って毎日じゃないよね?」
「うん。昔はほぼ毎日だったらしいけどね。今は土日が休み」
部活動も数年前はもっとハードだったと、美咲先生から聞いたことがある。
強豪校の運動部などは、土日も朝から晩まで練習づくしだったとか。
教師はさらにハードな裏事情が暴露されている。
残業代が出ない、部活の手当もほとんどなし。出張費も自腹だったという。
四年前のオリンピックイヤーに、教育現場の抜本的な改革がなされた。
現在、学校の教師は残業手当の他に部活顧問手当を支給されている。
これらは労働基準法にのっとり、最低賃金以上の時間給である。
***
破かれた水着を水早ちゃんが発見したのが、三月四日の部活前。
となると、犯行はその日に行われたか、その日以前のどちらか。
これはおそらく後者だろう。
「消去法で考えると、内部犯だと僕は思うんだ」
「やっぱりそうなるのかな……わたしも咲君と同じ考えだよ」
美咲先生は水着を手に持って、ひとつひとつの穴をじっくり見ている。
穴に指を入れてみたり、切り裂かれた部分を確認するように触れる。
「水早さんが言ったとおり、変な破り方してるね」
「先生も気づきましたか」
「え? なになに? 二人ともなにがわかったの?」
ニコリと微笑みを浮かべた美咲先生と目が合う。
紙袋から出した瞬間から、感じていた違和感だ。
「水早ちゃん、ちょっと答えにくい質問していい?」
「えっと……パンツの色とか、スリーサイズ以外ならいいよ」
「うあ。ひどい。亮みたいな扱いされてる」
「冗談だって! 咲君はそんなこと聞かないでしょ。それで、質問は?」
「この競泳水着、練習で使用したあと洗濯した?」
「あ……実はしてない。前の週に忘れて帰ったの。
でも、インナー穿き替えるし、いいかなって思って……」
「置きっぱなしの人もいるって本当なの?」
「いるよ。基本的に毎日使うものだからね。洗い替えない人は干してる」
僕が気づき始めたのは、この競泳水着から発せられる匂いだ。
そして、美咲先生と同じく変な破り方にも……
そのときだった。窓際の一番うしろに設置してある掃除用具箱から物音がした。
ガシャンと掃除用具箱の扉が開かれて、中から人が出てくる。
「話は聞かせてもらった!!」
亮が掃除用具箱から出てきたのだ。
美咲先生も水早ちゃんも、唖然とした表情を隠せない。
僕もなにが起きたのか、一瞬理解できずにいた。
「岩永君……あなた、いつからそこに? わたしがここの鍵開けたんだけど?」
「咲耶と水早の様子が妙だったからさ、部室に先回りしたんだ。
先生が部室を開けて、一度外に出たときに掃除用具箱に隠れた」
「ごめん、咲君。わたしはもう部活行くね!」
水早ちゃんは部室を飛び出して行ってしまった。
二人が長年保ってきた絶妙な距離感のバランスが崩れる音が聞こえる。
「アイツ、これを黙ってたのか。誰だこんな真似しやがるのは!」
「えーと、亮。今すぐに水早ちゃんを追いかけてくれないかな?」
「岩永君、水早さんを追いかけて謝りなさい」
「俺が謝るのか!? なんで!?」
「わからない? 水早さんは岩永君だけには知られたくなかった。
いつも通りの笑顔と強い自分を見せようとしていたの」
「亮に隠していたのは悪いと思ってる。でも、やり方がまずかったよ……
まさか、掃除用具箱に潜んで全部聞いていたとは……」
コイツのことだ。悪気がまったくないのはわかる。
ただ、人間不信に陥りかけている水早ちゃんに盗み聞きなど火に油だ。
「クッソ! どうすればいい?」
「すぐに水早ちゃんを追って、コンクリート割るぐらい土下座して謝るんだ」
「そうよ、岩永君。咲耶君の言うとおり頭蓋骨粉砕するまで謝りなさい!」
「わかった! 死ぬほど謝ってくる!」
「あと、これは余計なお世話だろうけど……
水早ちゃんは謝罪をしてほしいだけじゃないってこと忘れないように」
「長いつき合いだからな。咲耶のこともアイツのこともよくわかってる」
亮は風のように廊下を駆けて行った。
ぶん殴られる可能性大だが、二人はあれでコミュニケーションが成立している。
さて、美咲先生と二人だけになったところで先ほどの答え合わせをしたい。
この競泳水着の変な破り方と妙な匂いについて。
「これを紙袋から出したとき、塩素の匂いと焦げた匂いがしたんです」
「そうなの。このお尻の部分、これは焼け焦げているの」
「胸元の横一文字は、刃物でスッパリですね」
「切り口が雑ね。鋭利な刃物ではない……学内で刃物と言えばカッターとか?」
「お腹部分の大きな穴は、始めは小さく開けた穴をこじ開けて大きくしてますね」
三ヶ所に開けられた穴は、三通りの方法で開けられた。
では、犯人はひとりで胸元部分をカッターで切って、腹部をペンで突き刺してこじ開け、尻の部分を熱で溶かしたのかと言うとそうではない。
「咲耶君、これは他の水泳部員に水早さんのことを聞いてみる必要があるね」
「はい。水早ちゃんが部内でどう思われているのか、
どういう人間関係を築いているのか……ですね」
再び先生と目が合った。答え合わせの時間だ。
一呼吸置いて、僕と美咲先生の声がピタリと重なった。
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