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【序幕・第8章】あねさんぶる挟撃っ 後編!
3.パンツ内暴発予告しないでくださいっ!
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天井の円形シーリングライトを常夜灯にして、部屋は薄闇に包まれた。
布団はベッドからおろして、花穂姉ちゃんの布団の横に並べている。
「今、蒼太といっしょの格好してるよね? ピンクのパンイチ」
掛布団からひょっこり顔を出してくる花穂姉ちゃん。
昨晩の紗月姉同様、胸の上に抱きつくように頭を置いてきた。
膨らみと体温を接地面から感じる。コンディショナーの香りが布団の中で舞う。
「文字は違うけどな……こんな土産よくレジに持って行けるよな」
「旅の恥はかき捨てって言うじゃない。紗月姉にも買って来たよ」
下品なパンツを三枚も、土産売り場で物色する姉の姿は想像したくないな。
それに加え、こんな珍品を紗月姉に渡そうものならどんな使用法をするか……
「花穂姉ちゃん、なんで脱ぐの? 紗月姉との張り合い?」
「なんで? 違うよ……蒼太に同じことしてほしいだけ」
「そういうの、ヤキモチって言うんけど?」
「紗月姉は蒼太を奪ったりしない……おもちゃにして遊ぶけどね。蒼太となにがあったか、そういうのオープンに話し合ってるんだ。昔、母さんにこっぴどく叱られてからね」
――――数年前の話だ。
なんでも分け合う姉紗月は、妹花穂の面倒をよく見ていた。
妹は姉を慕い、頼っていたが、お互い一つだけ譲り合えないものがあった。
弟の存在だ。ときに腕を引っ張られ、脚を引っ張られて取り合いになる。
「俺を二つに割って半分こするとか言うから、母さんブチ切れるんだよ……」
「だって、あのときは斧やナタで割れば半分こできるって紗月姉が……」
わあ、なんて素敵な猟奇殺人計画未遂だろう。
あの日ほど母さんが怒ったことはない。
裏拳に近い高速ビンタが、姉たちの頬に飛んだのだ。
「共有ボックスってなに? 俺、古い携帯電話だから知らないんだけど……」
「写真や動画を保存したり、リアルタイムメッセージの送受信するアプリだよ」
「へえ……花穂姉ちゃん、それで紗月姉と俺のことを話してるんだ?」
「うん、ほぼ毎日蒼太のことを報告してる。特に今年から紗月姉は初めて家族と離れて暮らすようになったからね。寂しいんだよ、わかってあげてね」
そのとき、布団の中で花穂姉ちゃんの端末が光り出した……
『友達の家に泊まって、明日帰る。今夜は蒼ちゃんとしっぽりもっこり過ごしてね』
紗月姉からのメッセージが、花穂姉ちゃんの端末に届いたようだ。
液晶画面を確認して、こちらにも見せてくる。
「しっぽりもっこりか……その状態だけど?」
「ううん。蒼太は恋を知らない……だからお姉ちゃんが蒼太にいっぱい恋する」
首を横に振りながら、紗月姉と同じことを言う。
家族愛や友情を知っているのに、恋をしたことが一度もない。
それが、どんな感情なのかよくわからない。
「俺は……花穂姉ちゃんに世話焼かれたい、構ってほしいんだ」
「うん、知ってる。でも、体は紗月姉が一番でしょ……」
「なんでわかるんだよ?」
「だって、今朝のメッセージに書いてあるもん。ほら、これ」
『花穂隊長っ! 敵艦蒼太号の主砲約十六センチは、砲撃前に暴発! おっぱいを見せてムギュッと握れば自滅するのでありますっ!!』
あんな朝の暴発劇までオープンに話し合う姉妹なのか。
弟思いなのか、変態なのか、よくわからない姉妹だな。
でも、花穂姉ちゃんが言っていることは正しい。
紗月姉に感じているのは、溢れんばかりの性欲だ。
幸い欲望のたがが外れても、相手が相手なので襲うことなど不可能だが……
少しばかり月明かりが差し込んできた。
シーリングライトをリモコン操作して、完全に消灯した部屋に端末の光だけ残る。
「花穂姉ちゃん、おっぱい当たってるし……見えてるぞ」
「いいよ、見られ慣れてる」
それは花穂姉ちゃんが裸でベッドに入り込んだり、風呂に来るからだ。
でも、本人は気付いてない。触れるのと、触れられるのは全然違う。
見せつける裸と、見られる裸も恥じらいが違うと俺は常々思う。
「その暴発前のメッセージも詳しく書いてた?」
「うん。キスしまくったって」
「同じことするの?」
「蒼太を暴発させる……えっと、紗月姉が言ってたのなんだっけ?」
「姉ちゃんさ、意味わかって言ってる? 手で――」
「シコシコジュボボーンって暴発させるの」
――な、なんですとっ!?
布団はベッドからおろして、花穂姉ちゃんの布団の横に並べている。
「今、蒼太といっしょの格好してるよね? ピンクのパンイチ」
掛布団からひょっこり顔を出してくる花穂姉ちゃん。
昨晩の紗月姉同様、胸の上に抱きつくように頭を置いてきた。
膨らみと体温を接地面から感じる。コンディショナーの香りが布団の中で舞う。
「文字は違うけどな……こんな土産よくレジに持って行けるよな」
「旅の恥はかき捨てって言うじゃない。紗月姉にも買って来たよ」
下品なパンツを三枚も、土産売り場で物色する姉の姿は想像したくないな。
それに加え、こんな珍品を紗月姉に渡そうものならどんな使用法をするか……
「花穂姉ちゃん、なんで脱ぐの? 紗月姉との張り合い?」
「なんで? 違うよ……蒼太に同じことしてほしいだけ」
「そういうの、ヤキモチって言うんけど?」
「紗月姉は蒼太を奪ったりしない……おもちゃにして遊ぶけどね。蒼太となにがあったか、そういうのオープンに話し合ってるんだ。昔、母さんにこっぴどく叱られてからね」
――――数年前の話だ。
なんでも分け合う姉紗月は、妹花穂の面倒をよく見ていた。
妹は姉を慕い、頼っていたが、お互い一つだけ譲り合えないものがあった。
弟の存在だ。ときに腕を引っ張られ、脚を引っ張られて取り合いになる。
「俺を二つに割って半分こするとか言うから、母さんブチ切れるんだよ……」
「だって、あのときは斧やナタで割れば半分こできるって紗月姉が……」
わあ、なんて素敵な猟奇殺人計画未遂だろう。
あの日ほど母さんが怒ったことはない。
裏拳に近い高速ビンタが、姉たちの頬に飛んだのだ。
「共有ボックスってなに? 俺、古い携帯電話だから知らないんだけど……」
「写真や動画を保存したり、リアルタイムメッセージの送受信するアプリだよ」
「へえ……花穂姉ちゃん、それで紗月姉と俺のことを話してるんだ?」
「うん、ほぼ毎日蒼太のことを報告してる。特に今年から紗月姉は初めて家族と離れて暮らすようになったからね。寂しいんだよ、わかってあげてね」
そのとき、布団の中で花穂姉ちゃんの端末が光り出した……
『友達の家に泊まって、明日帰る。今夜は蒼ちゃんとしっぽりもっこり過ごしてね』
紗月姉からのメッセージが、花穂姉ちゃんの端末に届いたようだ。
液晶画面を確認して、こちらにも見せてくる。
「しっぽりもっこりか……その状態だけど?」
「ううん。蒼太は恋を知らない……だからお姉ちゃんが蒼太にいっぱい恋する」
首を横に振りながら、紗月姉と同じことを言う。
家族愛や友情を知っているのに、恋をしたことが一度もない。
それが、どんな感情なのかよくわからない。
「俺は……花穂姉ちゃんに世話焼かれたい、構ってほしいんだ」
「うん、知ってる。でも、体は紗月姉が一番でしょ……」
「なんでわかるんだよ?」
「だって、今朝のメッセージに書いてあるもん。ほら、これ」
『花穂隊長っ! 敵艦蒼太号の主砲約十六センチは、砲撃前に暴発! おっぱいを見せてムギュッと握れば自滅するのでありますっ!!』
あんな朝の暴発劇までオープンに話し合う姉妹なのか。
弟思いなのか、変態なのか、よくわからない姉妹だな。
でも、花穂姉ちゃんが言っていることは正しい。
紗月姉に感じているのは、溢れんばかりの性欲だ。
幸い欲望のたがが外れても、相手が相手なので襲うことなど不可能だが……
少しばかり月明かりが差し込んできた。
シーリングライトをリモコン操作して、完全に消灯した部屋に端末の光だけ残る。
「花穂姉ちゃん、おっぱい当たってるし……見えてるぞ」
「いいよ、見られ慣れてる」
それは花穂姉ちゃんが裸でベッドに入り込んだり、風呂に来るからだ。
でも、本人は気付いてない。触れるのと、触れられるのは全然違う。
見せつける裸と、見られる裸も恥じらいが違うと俺は常々思う。
「その暴発前のメッセージも詳しく書いてた?」
「うん。キスしまくったって」
「同じことするの?」
「蒼太を暴発させる……えっと、紗月姉が言ってたのなんだっけ?」
「姉ちゃんさ、意味わかって言ってる? 手で――」
「シコシコジュボボーンって暴発させるの」
――な、なんですとっ!?
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