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にじゅうご
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「ミーアのことが心配なのはわかりますが、今はミーアの能力に賭けるべきだと思いますよ?きっと今のミーアなら、あの少女を人に戻してあげられます。ですから、邪黒の蛇が剥がれた瞬間に今度こそお願いしますよ?」
「わかってるよ」
エミルの言葉にルーカが拗ねたように呟いた。ミーアの方に手を伸ばし頭をツイと撫でて少し後ろに下がった。
「どうか、成功しますように」
そう呟いたミーアの指が流れる様に陣を描き細く走った光が闇を捉える。
「悪しき闇を祓え」
ミーアの精霊の愛し子の能力にあるあらゆる闇の力の解術。
精霊魔法とも呼ばれる希少な魔法が今放たれた。
『ぎぁ、ぐ、ぎゃぁぁぁ』
黒い塊がパオラから剥がれて落ちる瞬間に雷鳴が鳴り響きルーカが動いた。ルーカが手を振り黄金の細長い刃が無数に出現すると全ての刃が黒い塊、邪黒の蛇を撃ち黒い魔石を残して消滅させた。
闇に覆われた屋敷全体に光が射し込みオーロラの様に幻想的な光景が広がって行く。
光が通過した場所から闇が晴れ柔らかな光が射し込んで行く。
闇が消え美しい美少女の姿を取り戻したパオラが屋敷の階段で倒れている。ミーアはそろりと近づくと回復魔法を使いパオラをエミルに頼み近くの部屋のベットに寝かせてもらった。
「ありがとうございますエミル様」
「いいえ、一応面識はありませんが私の妹ですからね。ご迷惑を掛けたのは寧ろこちらの方ですよ。全く、規格外の威力ですね。精霊の愛し子の能力と言うものは。では、少し屋敷内を捜索して来ます。何かあれば遠慮なく魔法を使ってください。多少屋敷を破壊しても構いませんよ」
最後にとんでもない冗談をさらりと言ってエミル様は部屋を出ていった。
ルーカとエミルは屋敷のどこかにある精霊水晶の閉じ込められた精霊を探していた。
そして数十分後─
2人は水晶を手に戻ってきた。
「ミーアさん見つかりました。ですが、これは…」
「ネージュ様!?そんなっ」
真っ青な顔をしているとか、顔面蒼白だとかが可愛く思えて来るほどにネージュの身体は皮膚全体が黒っぽい緑や紫に変色していた。
瘴気だ。
ミーアは素早く回復魔法を施す。
何度も何度も重ねる様に。
次第にネージュの身体が元の色を取り戻し僅かに身じろぎしたのを見てホッと息を吐いた。
良かった。相変わらず顔色は悪いけど正常の範囲だと水晶に触れて感じる。
「たぶん、大丈夫だと思います。良かった…ネージュ」
ミーアはポツリと言葉を零した。
ルーカがその様子に首を傾げる。
なぜ初めて会ったはずの精霊をそこまで心配するのか。それにミーアは大抵敬称をつけて呼ぶのに精霊の名前は呼び捨てている。
けれど、ルーカはミーアを優しく見守るといつしか決めていた。
この少女を我が子の様に慈しむ。その為ならミーアの敵に回る全てを破壊しても構わない。
「ちょっと、ルーカさん?なんで頭をそんなに撫でるんですか!クラクラしてきました。」
「ごめんごめん」
「もう!」
最近少しミーアの喋り方が砕けて表情豊かな子供らしい姿を見る事が楽しい。
できればもっと甘えてくれると更に楽しいのに。
「じゃ、戻ろっか。」
「?」
ミーアがどこに戻るんだろう?と言う顔で見上げて来た。うちの子可愛い。
「精霊王にその水晶から精霊のお姫様を救出してもらわなきゃ行けないんだろ?」
「あ!そうでした。ジュール王子殿下を助ける為にはネージュに協力してもらわなければいけないんでした」
「しかし、ミーア。その後は明日の登城までは休憩してなさい。顔色が悪いですよ?」
エミルの言葉にルーカが深く頷きミーアを抱き上げた。
「水晶しっかり持ったかな?行くよ?」
「ぁ、はい!」
手の中にある水晶。その中で真っ青な顔で真っ白な肌のお姫様が寝ている。
水色の髪とグレーの瞳。
火の精霊王子ノエル、いいえ、ルーカの友人のノエにどうやって知らせよう。貴方の探していたお姉様は見つかりましたよ?と。
「わかってるよ」
エミルの言葉にルーカが拗ねたように呟いた。ミーアの方に手を伸ばし頭をツイと撫でて少し後ろに下がった。
「どうか、成功しますように」
そう呟いたミーアの指が流れる様に陣を描き細く走った光が闇を捉える。
「悪しき闇を祓え」
ミーアの精霊の愛し子の能力にあるあらゆる闇の力の解術。
精霊魔法とも呼ばれる希少な魔法が今放たれた。
『ぎぁ、ぐ、ぎゃぁぁぁ』
黒い塊がパオラから剥がれて落ちる瞬間に雷鳴が鳴り響きルーカが動いた。ルーカが手を振り黄金の細長い刃が無数に出現すると全ての刃が黒い塊、邪黒の蛇を撃ち黒い魔石を残して消滅させた。
闇に覆われた屋敷全体に光が射し込みオーロラの様に幻想的な光景が広がって行く。
光が通過した場所から闇が晴れ柔らかな光が射し込んで行く。
闇が消え美しい美少女の姿を取り戻したパオラが屋敷の階段で倒れている。ミーアはそろりと近づくと回復魔法を使いパオラをエミルに頼み近くの部屋のベットに寝かせてもらった。
「ありがとうございますエミル様」
「いいえ、一応面識はありませんが私の妹ですからね。ご迷惑を掛けたのは寧ろこちらの方ですよ。全く、規格外の威力ですね。精霊の愛し子の能力と言うものは。では、少し屋敷内を捜索して来ます。何かあれば遠慮なく魔法を使ってください。多少屋敷を破壊しても構いませんよ」
最後にとんでもない冗談をさらりと言ってエミル様は部屋を出ていった。
ルーカとエミルは屋敷のどこかにある精霊水晶の閉じ込められた精霊を探していた。
そして数十分後─
2人は水晶を手に戻ってきた。
「ミーアさん見つかりました。ですが、これは…」
「ネージュ様!?そんなっ」
真っ青な顔をしているとか、顔面蒼白だとかが可愛く思えて来るほどにネージュの身体は皮膚全体が黒っぽい緑や紫に変色していた。
瘴気だ。
ミーアは素早く回復魔法を施す。
何度も何度も重ねる様に。
次第にネージュの身体が元の色を取り戻し僅かに身じろぎしたのを見てホッと息を吐いた。
良かった。相変わらず顔色は悪いけど正常の範囲だと水晶に触れて感じる。
「たぶん、大丈夫だと思います。良かった…ネージュ」
ミーアはポツリと言葉を零した。
ルーカがその様子に首を傾げる。
なぜ初めて会ったはずの精霊をそこまで心配するのか。それにミーアは大抵敬称をつけて呼ぶのに精霊の名前は呼び捨てている。
けれど、ルーカはミーアを優しく見守るといつしか決めていた。
この少女を我が子の様に慈しむ。その為ならミーアの敵に回る全てを破壊しても構わない。
「ちょっと、ルーカさん?なんで頭をそんなに撫でるんですか!クラクラしてきました。」
「ごめんごめん」
「もう!」
最近少しミーアの喋り方が砕けて表情豊かな子供らしい姿を見る事が楽しい。
できればもっと甘えてくれると更に楽しいのに。
「じゃ、戻ろっか。」
「?」
ミーアがどこに戻るんだろう?と言う顔で見上げて来た。うちの子可愛い。
「精霊王にその水晶から精霊のお姫様を救出してもらわなきゃ行けないんだろ?」
「あ!そうでした。ジュール王子殿下を助ける為にはネージュに協力してもらわなければいけないんでした」
「しかし、ミーア。その後は明日の登城までは休憩してなさい。顔色が悪いですよ?」
エミルの言葉にルーカが深く頷きミーアを抱き上げた。
「水晶しっかり持ったかな?行くよ?」
「ぁ、はい!」
手の中にある水晶。その中で真っ青な顔で真っ白な肌のお姫様が寝ている。
水色の髪とグレーの瞳。
火の精霊王子ノエル、いいえ、ルーカの友人のノエにどうやって知らせよう。貴方の探していたお姉様は見つかりましたよ?と。
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