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旅の始まり
ギースの戦い?
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「こりゃ、殺しがいがあるってもんよぉ!」
「へへっ、俺らに狙われたことを、せいぜいあの世で後悔するんだな!」
何だろうか……あ、こいつら負けるな、と感じるようなセリフを吐いたデビル・ブラザーズ。
こういうの何て言うんだっけ? 前世でそれにピッタリな言葉があったはずなのだが、思い出せない。
『負けの前触れのようなセリフよの』
シャンテがそう呟いた。
デビル・ブラザーズは左右から各々の武器でギースを殴りつけていたが、固そうな音がするだけで当のギースは涼しい顔をしている。
「こいつの強化魔法が相当強いのは分かった!」
「だぁが! 強化魔法は攻撃魔法には弱いんだよなぁ!」
ギースの固さを強化魔法だと思っているところを悪いが、あの固さは自前である。何もしなくてもめっちゃくちゃ固い。何せ地龍(幼体)だからな。
そんなことを教えてやる筋合いもないから黙って見ているだけである。
『ギースに魔法耐性はあるのか?』
『幼体とはいえ、あやつは地龍ぞ? 余程の魔法でない限り傷も付かんわ。見たところ、あの二人の魔力なぞたかが知れておるしの。高みの見物と洒落こんでおれば良いわ』
それならば安心して見ていられそうだ。
「虫ケラを捕まえろぉぉぉお! 『鎖捕縛』」
ジャッキーが詠唱をすると、やつの体からジャラジャラと鎖が伸びてきて、ギースの首の下から足首辺りまでをその鎖がグルグルと巻き付き覆ってしまった。
「ふーん、捕縛魔法ねー。これで僕を拘束したつもりでいるのかな?」
ギースは相変わらず涼しい顔をして微笑んでいる。
その微笑みが今は怖い。
「ギャハハハ! こいつ、ビビって何も言えなくなってら!」
鎖のジャラジャラした音でギースの声が聞こえていなかったようで、ドゥッキーが指を指して笑っている。
『ちと離れるぞ。恐らく次は傷なしの方が魔法を放つだろうしの』
言われるままギースの傍から離れると、デビル・ブラザーズは俺を見てゲラゲラ笑い出した。
「見捨ててやんの!」
「可哀想になぁ! お前、見捨てられちまったぜ!」
「まぁ、逃げたところで、次はあいつの番なんだけどなぁ」
距離を取ったことには間違いないので甘んじて受け入れた。非常に腹が立ったのだが。
「ギャハハハ! 見せてやるぜ! 爆ぜて血肉を撒き散らせ! 『炎爆』」
ドゥッキーがそう唱えるとやつの手から大きな炎の玉が勢いよく飛び出し、ギースの体に直撃すると大きな音を立てて爆ぜた。
ギースの体はその爆炎に包まれ、その様子を見てデビル・ブラザーズは心底楽しそうにゲラゲラと笑っている。
「どうした!? 熱くて声も出せないかぁ?」
「無理言うなよ! もう死んでるんだから、声なんてだせねぇって!」
「違いねぇ!」
ドゥッキーがさっき、俺が憧れていたような詠唱に似たようなことを言ったが、こいつらが言うと間抜けにしか聞こえない。
痛々しさが際立ち、目も当てられない。
やはり俺の判断は正しかったようである。
炎が落ち着いてきた頃、ギースに巻き付いていた鎖が激しい音を立てて外れ、ジャッキーの体に戻って行った。
「人間様の丸焼き、一丁上がりってか!」
実に楽しそうにしているが、人間の丸焼きなんて見たくもない。まぁ、丸焼きにされたギースを見ることはないと思うが。
パンッとガラスが砕けるような軽い音がして、身を包んでいた炎が一瞬にして消え去ると、傷一つなく穏やかな笑みをたたえたギースが姿を現した。
「「なっ!?!?」」
ピタリとシンクロして驚愕の声を上げる二人。さすが双子である(言っていなかったが)。
無傷のギースを見てさすがのデビル・ブラザーズも怖気付いたのか、ジリッと一歩後退りをした。
「では、次は僕の番ですね? あ! こいつら、殺してもいいんでしょうか?」
愛くるしい笑顔で大変物騒なことを口にするギース。
『殺すでない。そやつらは賞金首らしいからの。然るべきところに突き出せば旅の資金になるじゃろう』
「そうなんですね! 分かりました。あ! 耳を塞いでいてくださいね」
『咆哮を使うようじゃの。我は大丈夫じゃが、アースにはちとまずいかの。どれ……』
シャンテが何かしたようで、周囲から音が消えた。
ギースが大きく口を開けているがその音は全く届かない。
咆哮をモロに聞いたデビル・ブラザーズは白目をむき、泡を吹いてその場に倒れて動かなくなった。
パンッと泡が弾けるような音がして周囲の音が聞こえるようになると、ギースが満面の笑みでこちらへ向かってきた。
「これで良かったでしょうか? 全く手応えのない相手でやりがいがありませんでした」
もはや戦ったとは言えない戦いだったが、何事もなく勝ててよかった。
……俺が狩りで身体能力を上げた意味もなくなったが、まぁいいだろう。
「こいつらどうしますか? 兄さんのカバンに放り込みますか?」
『さすがに、生きているものは入れられんよ』
「じゃあ、どうしましょうか? 連れて歩くのも面倒くさいですよね?」
『ギースよ、そなた、氷魔法ならある程度使えるのじゃったな?』
「はい、使えます」
人間が使えるのは、例え氷属性の魔法が使えるとしてもその中の一種類。
シャンテといいギースといい、竜族は本当に化け物揃いだ。
『ならばこの二人を「氷牢」に閉じ込めてくれんか?』
「いいですよ」
見る間に四角い氷の箱の中に閉じ込められてしまったデビル・ブラザーズ。
「でもこれでは人目に付きすぎませんか?」
『幻影魔法をかける故大丈夫じゃ』
シャンテの幻影魔法、万能すぎやしませんか?
さっきまであった氷の箱はあっという間に風景と同化し、全く見えなくなってしまった。
『では、次はそなたらじゃの』
「え? 俺? 何されるんだよ! 怖ぇよ!」
『これからアースとギースにはそこで伸びておる二人に化けてもらう。敵陣に乗り込むのじゃ!』
「おぉ、いいですね!」
シャンテとギースがなぜかノリノリなのだが、俺は今すぐ宿に帰りたかった。
「何だよ、それ! バレるに決まってるだろ!」
『我を誰だと思っておる? 叡智の黒龍の長であるシャンテ様じゃぞ? そう簡単に見破られるようなヘマはせんわ!』
……本当にもう帰らせてくれ。
願いは誰にも届くことなく、俺はジャッキーに、ギースはドゥッキーに姿を変えられてしまった(ように見えるだけだが)。
「へへっ、俺らに狙われたことを、せいぜいあの世で後悔するんだな!」
何だろうか……あ、こいつら負けるな、と感じるようなセリフを吐いたデビル・ブラザーズ。
こういうの何て言うんだっけ? 前世でそれにピッタリな言葉があったはずなのだが、思い出せない。
『負けの前触れのようなセリフよの』
シャンテがそう呟いた。
デビル・ブラザーズは左右から各々の武器でギースを殴りつけていたが、固そうな音がするだけで当のギースは涼しい顔をしている。
「こいつの強化魔法が相当強いのは分かった!」
「だぁが! 強化魔法は攻撃魔法には弱いんだよなぁ!」
ギースの固さを強化魔法だと思っているところを悪いが、あの固さは自前である。何もしなくてもめっちゃくちゃ固い。何せ地龍(幼体)だからな。
そんなことを教えてやる筋合いもないから黙って見ているだけである。
『ギースに魔法耐性はあるのか?』
『幼体とはいえ、あやつは地龍ぞ? 余程の魔法でない限り傷も付かんわ。見たところ、あの二人の魔力なぞたかが知れておるしの。高みの見物と洒落こんでおれば良いわ』
それならば安心して見ていられそうだ。
「虫ケラを捕まえろぉぉぉお! 『鎖捕縛』」
ジャッキーが詠唱をすると、やつの体からジャラジャラと鎖が伸びてきて、ギースの首の下から足首辺りまでをその鎖がグルグルと巻き付き覆ってしまった。
「ふーん、捕縛魔法ねー。これで僕を拘束したつもりでいるのかな?」
ギースは相変わらず涼しい顔をして微笑んでいる。
その微笑みが今は怖い。
「ギャハハハ! こいつ、ビビって何も言えなくなってら!」
鎖のジャラジャラした音でギースの声が聞こえていなかったようで、ドゥッキーが指を指して笑っている。
『ちと離れるぞ。恐らく次は傷なしの方が魔法を放つだろうしの』
言われるままギースの傍から離れると、デビル・ブラザーズは俺を見てゲラゲラ笑い出した。
「見捨ててやんの!」
「可哀想になぁ! お前、見捨てられちまったぜ!」
「まぁ、逃げたところで、次はあいつの番なんだけどなぁ」
距離を取ったことには間違いないので甘んじて受け入れた。非常に腹が立ったのだが。
「ギャハハハ! 見せてやるぜ! 爆ぜて血肉を撒き散らせ! 『炎爆』」
ドゥッキーがそう唱えるとやつの手から大きな炎の玉が勢いよく飛び出し、ギースの体に直撃すると大きな音を立てて爆ぜた。
ギースの体はその爆炎に包まれ、その様子を見てデビル・ブラザーズは心底楽しそうにゲラゲラと笑っている。
「どうした!? 熱くて声も出せないかぁ?」
「無理言うなよ! もう死んでるんだから、声なんてだせねぇって!」
「違いねぇ!」
ドゥッキーがさっき、俺が憧れていたような詠唱に似たようなことを言ったが、こいつらが言うと間抜けにしか聞こえない。
痛々しさが際立ち、目も当てられない。
やはり俺の判断は正しかったようである。
炎が落ち着いてきた頃、ギースに巻き付いていた鎖が激しい音を立てて外れ、ジャッキーの体に戻って行った。
「人間様の丸焼き、一丁上がりってか!」
実に楽しそうにしているが、人間の丸焼きなんて見たくもない。まぁ、丸焼きにされたギースを見ることはないと思うが。
パンッとガラスが砕けるような軽い音がして、身を包んでいた炎が一瞬にして消え去ると、傷一つなく穏やかな笑みをたたえたギースが姿を現した。
「「なっ!?!?」」
ピタリとシンクロして驚愕の声を上げる二人。さすが双子である(言っていなかったが)。
無傷のギースを見てさすがのデビル・ブラザーズも怖気付いたのか、ジリッと一歩後退りをした。
「では、次は僕の番ですね? あ! こいつら、殺してもいいんでしょうか?」
愛くるしい笑顔で大変物騒なことを口にするギース。
『殺すでない。そやつらは賞金首らしいからの。然るべきところに突き出せば旅の資金になるじゃろう』
「そうなんですね! 分かりました。あ! 耳を塞いでいてくださいね」
『咆哮を使うようじゃの。我は大丈夫じゃが、アースにはちとまずいかの。どれ……』
シャンテが何かしたようで、周囲から音が消えた。
ギースが大きく口を開けているがその音は全く届かない。
咆哮をモロに聞いたデビル・ブラザーズは白目をむき、泡を吹いてその場に倒れて動かなくなった。
パンッと泡が弾けるような音がして周囲の音が聞こえるようになると、ギースが満面の笑みでこちらへ向かってきた。
「これで良かったでしょうか? 全く手応えのない相手でやりがいがありませんでした」
もはや戦ったとは言えない戦いだったが、何事もなく勝ててよかった。
……俺が狩りで身体能力を上げた意味もなくなったが、まぁいいだろう。
「こいつらどうしますか? 兄さんのカバンに放り込みますか?」
『さすがに、生きているものは入れられんよ』
「じゃあ、どうしましょうか? 連れて歩くのも面倒くさいですよね?」
『ギースよ、そなた、氷魔法ならある程度使えるのじゃったな?』
「はい、使えます」
人間が使えるのは、例え氷属性の魔法が使えるとしてもその中の一種類。
シャンテといいギースといい、竜族は本当に化け物揃いだ。
『ならばこの二人を「氷牢」に閉じ込めてくれんか?』
「いいですよ」
見る間に四角い氷の箱の中に閉じ込められてしまったデビル・ブラザーズ。
「でもこれでは人目に付きすぎませんか?」
『幻影魔法をかける故大丈夫じゃ』
シャンテの幻影魔法、万能すぎやしませんか?
さっきまであった氷の箱はあっという間に風景と同化し、全く見えなくなってしまった。
『では、次はそなたらじゃの』
「え? 俺? 何されるんだよ! 怖ぇよ!」
『これからアースとギースにはそこで伸びておる二人に化けてもらう。敵陣に乗り込むのじゃ!』
「おぉ、いいですね!」
シャンテとギースがなぜかノリノリなのだが、俺は今すぐ宿に帰りたかった。
「何だよ、それ! バレるに決まってるだろ!」
『我を誰だと思っておる? 叡智の黒龍の長であるシャンテ様じゃぞ? そう簡単に見破られるようなヘマはせんわ!』
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