平凡な主人公が異世界に転生してチート勇者な人生を送るかと思ったら

けろよん

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新生編

第18話 謁見

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 次の日の朝、同じ宿屋に泊った公太郎とフィオレとエンデは予定通りに城へとやってきた。フィオレの名前を聞いた門番はすぐに三人を謁見の間へと通してくれて、三人はそこで王様が来るのを待っていた。
 公太郎は不満を口にした。

「あの門番め、俺の名前には無反応とはどういうことだ!」
「お姫様の名前にはすぐに反応してたのにね」
「公太郎ちゃん、あまり無礼なことはしないでね。前は村長さんだったけど、今度は王様なんだから」
「ならば俺の礼儀正しさってものをなおさら見せねばなるまいな!」
「お任せします」

 エンデは少し謙虚になっていた。

「お前なんで敬語になってるんだよ。緊張してるのか?」
「だって、このお姉さんがお姫様だったなんて聞いてなかったよ」
「こいつは確かにお姫様だけどよ。遠慮することなんて何もないんだぜ」
「公太郎ちゃんは少しは遠慮してね。エンデちゃんは気楽に話してくれていいからね」
「OK! 姫姉さん」

 そんなことを話していると、やがて王様と大臣がやってきた。小太りで汗っかきの王様は玉座に腰かけると、少し甲高い声で話しかけてきた。

「よくぞ我が城を訪れたフィオレ姫とその一行達よ。お前達があのフリーザーを倒したことはすでにこのトコナッツ王の耳にも入っておる。立派な働きであったな」
「この公太郎様がその一行扱いかよ」
「姫姉さんに対しても随分と上から目線だよね」
「公太郎、あいつを殴ってもいいですよ。この神が許可します」

 公太郎とエンデは不満に感じていたが、フィオレが黙っていたのでおとなしくしていた。王様の話は続く。

「姫がこの国を訪れた理由は分かっている。フリーザーに続いてファイダを討伐してくれると言うのじゃろう。それは大変ありがたい申し出なのじゃが、一言で言うとその必要は……ないのじゃ!」
「必要がないのじゃとはどういう意味ですか?」

 フィオレが口を開く。公太郎とエンデも続いた。

「俺は三魔獣の強さをこの目で見た。普通の奴らに何とか出来るとは思えないけどな」
「あたしは見てないんだけど、きっと強ボスなんでしょうね」

 そんな三人の言葉に、王に代わって大臣が答えた。

「君達こそ我が国の騎士団の強さを知らないのだろう。我が国の騎士団はとても強い。あのアギルス帝国の軍隊と戦ってもひけを取らないほどにな。君達はなぜ今ファイダがおとなしくしているか分かるかね?」
「あのアギルス帝国ってどのアギルス帝国なんだよ」
「アギルス帝国はこの辺りの国では一番強いんだよ」
「なるほど」

 公太郎とエンデがひそひそ話していると、フィオレが大臣の言葉に答えた。

「いいえ、分かりません。理由があるのですか?」 
「それは我が国の騎士団が奴を火山まで追い返したからです! 伝説の三魔獣など恐れるに足らず! 我が国の騎士団はそれほどまでに強いのです!」

 大臣が口からつばを飛ばす勢いで力説した。国王はそんな彼をなだめた。

「大臣、落ち着きたまえ。そう言うわけじゃ、姫。我が国の問題に他国の援護は必要ない。ちょうど今日の昼からこの国のコロシアムで年に一度の闘技大会が開かれる。それをお楽しみになって安心して帰られるがいいだろう」
「分かりました。失礼します」
「え? おい、帰るのかよ!」

 公太郎は王様に何か言おうかと迷ったが、フィオレがさっさと踵を返して行ってしまうので急いで後を追いかけることにした。エンデもその後をついていった。


 城を出て大通りまで来たところで公太郎はフィオレを呼び止めた。

「おい、待てよ! 三魔獣を倒しに行かないのかよ!」
「ごめん、公太郎ちゃん。なんか疲れちゃって」
「疲れたって、お前……なんか、顔色悪くないか?」

 振り返ったフィオレはそんな顔をしていた。

「そっか、公太郎ちゃんから見てそう見えるってことはよっぽど……なんだ……」

 そして、フィオレは体をふらつかせ、その場の地面に倒れていった。
 公太郎は今目の前で何が起こったのかしばらく理解出来なかった。

「フィオレ? なんでだよ。お前、チート能力者じゃなかったのかよ。フィオレ……フィオレーーー!」
「チートの定義も人それぞれですからね。フィオレは攻撃と防御はチート級ですが、スピードや精神力はそれほどでもないようです。きっと彼女に力を与えた神は脳筋だったのでしょう」

 公太郎は神の言葉を聞いていなかった。ただフィオレの体を抱き起こし、エンデが呼んできた医者が来るまで、彼女の名前を呼び続けていた。


 涼しい風の流れる宿屋の部屋で、ベッドに寝たフィオレは医者に診てもらっていた。

「フィオレは大丈夫なんですか?」

 公太郎は心配していた。医者は深刻な顔のまま答えた。

「軽い熱ですな。大方はしゃぎすぎたのが原因でしょう。この国の気候に慣れない観光客にはたまにあることですよ。しばらく安静にして休めばすぐに元気になるでしょう。お大事に」

 そう言い残して生まれつき深刻な顔をしている医者は去って行った。フィオレはすでに意識を取り戻して静かにしていた。

「ごめん、公太郎ちゃん。心配かけたよね」
「まったくお前ははしゃぎすぎなんだよ」
「ごめんね、こんな時なのに」
「まあいいけどよ。これからどうするんだ? お前がこんな調子じゃ先にもう一匹の魔獣を倒しに行くわけにもいかないだろ」

 フィオレの答えは決まっているようだった。

「ファイダを倒すわ。雷の魔獣サンガーのいるランバルディア大陸はとても遠くて人も住んでいない土地なのよ。ここを放置して向こうに行くわけにはいかないわ」
「お前がそう決めてるんならいいけどよ。まあ、今のところはファイダもおとなしくしているみたいだし、たまにはゆっくりするのもいいさ」
「うん」
「ねえ、しばらくこの町にいるつもりなら闘技大会に出ない?」

 二人を見ていたエンデが提案してくる。

「そう言えば王様がそんなことを言ってたな。今日の昼からだったっけ」

 公太郎は考えた。そして、決めた。

「そうだな。俺達を舐めた奴らに実力ってものを教えるには良い機会だな。行こうぜ、エンデ。フィオレはここで寝てろよ。医者にそう言われたんだからな。一人で留守番出来るよな?」
「うん、頑張ってね」
「良い報告を持ってくるからね、姫姉さん」

 そうして、公太郎とエンデは闘技大会が開かれるコロシアムへと向かった。
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