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食いしん坊聖女はプロセルピナ神殿へ行く。
クラーブン鍋。
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クラーブン叩きを始めてそろそろ1時間が経過しようとしていた。
「なんだか…一匹にしては動きが早いわね…そろそろ疲れが出てきてもいいはずなのに。」
元々体力バカのアンネリーゼにとって1時間全力で走り回るのは余裕なのだが、クラーブンが1時間走り回るには結構無理があるのではないだろうか。
縦横1辺50mくらいの大きさの正方形の中に所狭しと並ぶ大きい穴。
20個以上ある穴を縦横無尽に走り回るクラーブンを見てふとある事に気がついた。
(蟹って基本は横歩きよね…縦に歩くのもいるのは知ってるけど…)
「んー…やっぱり蟹の生態なんて分からないわね…」
考えることを諦めたアンネリーゼはとあることに気づく。蟹の穴が広がる辺りから"ググー、カチカチ"という鳴き声のようなものが聞こえてきたのだ。
「ねぇ、リース?今の音聞こえた?」
"ググー"
"カチカチ"
そのタイミングでカチカチとなった方の穴から蟹のハサミが出てくる。
「あぁ、聞こえた。どうやら俺たちの考えが間違っていたようだな…。」
穴の下には通路のようなものが広がっていて、穴の中を行き来できるようになっているのかと思っていた。
が、実際は穴一つ一つがクラーブンの巣であり、それぞれ別々の個体が住んでいたという訳だ。
「恐らくググーの音とタイミングでカチカチはアンネリーゼの場所を知らせていたのだろう。」
アンネリーゼの問に答えれば、アンネリーゼのお腹が「ぐぅ~~」となって正解だと返事をした。
「んふ…ふふふ…なーんだ!!走り回って損しちゃったわね!!お腹も空いたし、ここら辺で遊びの時間は終わりよ。一体ずつ穴の中にいる事さえ分かればあとは簡単なんだから!!」
そう言うと先程まで使っていたフライパンをしまい、今度はハサミのような形をしていて先端は刃ではなく物が切れないようにトングのような形をしているトングばさみを取りだした。
因みにサイズはアンネリーゼの身長より少し大きいサイズのトングハサミだ。
「さぁ、今度はこっちから攻めさせていただきますわ!!」
大きなトングばさみを軽々と持ちながら、"カチカチ"という音とハサミが出てくるタイミングを見計らって素早くトングバサミでクラーブンのハサミを掴む。
そして、トングバサミの指穴を開かないように閉じて腰に力を入れれば、穴の中から引っこ抜く。
「そぉーれ!!」
引っこ抜いた瞬間、目を回しているクラーブンが頭の上から落ちてくる…。
「うっはぁぁぁ!クラーブンの一本釣りよぉぉぉ!!」
ケルネリウスはアンネリーゼの楽しそうな姿を見ながら、溜息を吐いた。
「いや、これ何体持って帰るつもりなんだ…?」
アンネリーゼのすぐ後ろにはクラーブンの山ができていた。
***
「皆!今日の夜ご飯はクラーブンよぉぉぉ!!!」
それぞれが言われた通りの仕事をしていればズルズルと大きな音を立てながら幸せそうな顔をしている少女と、呆れの色を浮かべている青年が神殿に向かって歩いてくる。
青年の顔を見た聖女たちは全てを悟った。
「「「「(あぁ…また振り回されたのね…)」」」」
と…。
いつもは真っ赤な血に染まっているはずのアンネリーゼが今日は泥だらけになっている。
しかも後ろには紐に繋がれたあまり美味しくなさそうな青い色をした魔物を引きずっていた。
「えっと…これ??が今日のご飯?」
皆の声を代表してエリザベッタが声を掛けると、まるでプレゼントをもらった子供のような嬉しそうな表情で頷いた。
「んふふ…そうよ!!美味しそうでしょ?」
目の前に出してくるクラーブン。先ほどの見間違いではないようでやはり青い色をしている。そのためか、あまり美味しそうに見えないのは気のせいだろうか。
「「「「(んー…これはアンナを、信じるしかないわね…)」」」」
アンネリーゼの事は大聖女としてはもちろんの事、料理に関しても期待を裏切らないというのは知っている。
もしかしたら見た目が悪いだけなのかも…と思った聖女達はご飯の支度の手伝いをしにアンネリーゼの後を追った。
「ふふ…今日はラファリエールを出る時にもらった野菜も残っているし、外でクラーブン鍋を作りましょう!!」
アンネリーゼは腕まくりをすると業務用冷蔵庫から白菜、長ネギ、しめじ、えのき、人参、しいたけなどあらゆる野菜を取りだしていくとそれを受け取った聖女達が手分けして野菜を切り始めた。
皆が野菜を切ってくれている間に、出汁とお鍋のつゆを作っていく。
調味料は王都やラファリエールにいる時に作ったオリジナルだ。
「出汁は…ロックバードの骨を使おうかな。本当は昆布とかカツオがあればいいんだけど…まだ出会えて居ないのよね。いつか出会えればいいんだけど…。」
料理を作る時は出汁が命。
特に和食を作るとなれば料理によって出汁の取り方も変わるし味も全く変わってくるのだ。
ロックバードの骨を水のなかに入れて火にかける。出来れば2時間以上弱火で煮込みたいところだが、今回はクラーブンがメインなので、1時間と少し短めにした。
出汁を作っている間にクラーブン鍋用のつゆと、クラーブンの下処理をしていく。
大きいサイズの包丁を持ち手足の関節目がけて振り下ろせば胴体と手足がきれいに分かれた。食べやすいように殻に切り込みを入れていけば手足は完成だ。
次に胴体の部分…。
やはりカニといえばカニ味噌だ。そのため、ここだけ外せない。
「んふふ。食べやすいように殻を外して…」
魔石を取り出しておけば準備は万端だ。
あとは盛り付けだけである。
土台となる白菜を敷き詰め、その上に彩りよく野菜やキノコを並べていく。本当は豆腐もあればよかったが時期的に作れないので諦めた。
それから残っていたロックバードのお肉も入れて1番上にクラーブンを載せたら作っておいた出汁とタレをかけ回し、火が通りやすいように鍋に蓋をする。
火にかけてグツグツという音を聞きながら待っていれば煙からいい匂いが神殿の外に充満してきた。
「んふ…んふふ…んふふふ…まさか蟹鍋…じゃなかった。クラーブン鍋が食べられるなんて思ってもいなかったわ!!」
早く煮えないかとお玉と器を手に持ちながら待つ姿はまるで犬がご飯を食べるのを待っている姿にそっくりだ。
聖女たちも初めはクラーブンの色合いをみて半信半疑だったようだが、いい匂いが漂って来てからは大人しく鍋の中身が出来上がるのを待っていた。
それから暫く待っていれば鍋の蓋がカタカタと揺れ始め、中の出汁が溢れ出てきた。
「いい感じね!!さぁ頂きましょうか。」
アンネリーゼの声と同時に蓋を取れば青から赤色に変わったクラーブンが姿を現す。
「「「「「おいしそぉぉぉ~!!!」」」」」
もっと他に言いたいことがあるのではないかと思うが、感動した時こそ単純な言葉しか出なかったりするものだ。皆の声が重なるとその様子を見たアンネリーゼは幸せそうに笑った。
一人一人に盛り付けが終われば、感謝の言葉と祈りの言葉を唱える。
「昼の女神エメラール様。今日という日が無事に終えられたことを感謝いたします。夜を守護する女神ノクスーレ様。皆が新しい朝を迎えることができますようお守りください。豊穣の女神ケレスティナ様に感謝を。」
祈りが終わると同時にクラーブンを食べるアンネリーゼ。
「ん~…ん~…」
言葉にならない声でケルネリウスを叩きながら食べるように促すと、ケルネリウスも恐る恐るクラーブンに手をかけた。
「…うんまっ…」
「美味しい~!!頑張って討伐した甲斐があったわね!!」
この後クラーブンはあっという間に皆の胃袋におさまるのだった。
「んふふ。やっぱり運動後の食事はしあわせぇぇぇぇぇ~~~!!」
「なんだか…一匹にしては動きが早いわね…そろそろ疲れが出てきてもいいはずなのに。」
元々体力バカのアンネリーゼにとって1時間全力で走り回るのは余裕なのだが、クラーブンが1時間走り回るには結構無理があるのではないだろうか。
縦横1辺50mくらいの大きさの正方形の中に所狭しと並ぶ大きい穴。
20個以上ある穴を縦横無尽に走り回るクラーブンを見てふとある事に気がついた。
(蟹って基本は横歩きよね…縦に歩くのもいるのは知ってるけど…)
「んー…やっぱり蟹の生態なんて分からないわね…」
考えることを諦めたアンネリーゼはとあることに気づく。蟹の穴が広がる辺りから"ググー、カチカチ"という鳴き声のようなものが聞こえてきたのだ。
「ねぇ、リース?今の音聞こえた?」
"ググー"
"カチカチ"
そのタイミングでカチカチとなった方の穴から蟹のハサミが出てくる。
「あぁ、聞こえた。どうやら俺たちの考えが間違っていたようだな…。」
穴の下には通路のようなものが広がっていて、穴の中を行き来できるようになっているのかと思っていた。
が、実際は穴一つ一つがクラーブンの巣であり、それぞれ別々の個体が住んでいたという訳だ。
「恐らくググーの音とタイミングでカチカチはアンネリーゼの場所を知らせていたのだろう。」
アンネリーゼの問に答えれば、アンネリーゼのお腹が「ぐぅ~~」となって正解だと返事をした。
「んふ…ふふふ…なーんだ!!走り回って損しちゃったわね!!お腹も空いたし、ここら辺で遊びの時間は終わりよ。一体ずつ穴の中にいる事さえ分かればあとは簡単なんだから!!」
そう言うと先程まで使っていたフライパンをしまい、今度はハサミのような形をしていて先端は刃ではなく物が切れないようにトングのような形をしているトングばさみを取りだした。
因みにサイズはアンネリーゼの身長より少し大きいサイズのトングハサミだ。
「さぁ、今度はこっちから攻めさせていただきますわ!!」
大きなトングばさみを軽々と持ちながら、"カチカチ"という音とハサミが出てくるタイミングを見計らって素早くトングバサミでクラーブンのハサミを掴む。
そして、トングバサミの指穴を開かないように閉じて腰に力を入れれば、穴の中から引っこ抜く。
「そぉーれ!!」
引っこ抜いた瞬間、目を回しているクラーブンが頭の上から落ちてくる…。
「うっはぁぁぁ!クラーブンの一本釣りよぉぉぉ!!」
ケルネリウスはアンネリーゼの楽しそうな姿を見ながら、溜息を吐いた。
「いや、これ何体持って帰るつもりなんだ…?」
アンネリーゼのすぐ後ろにはクラーブンの山ができていた。
***
「皆!今日の夜ご飯はクラーブンよぉぉぉ!!!」
それぞれが言われた通りの仕事をしていればズルズルと大きな音を立てながら幸せそうな顔をしている少女と、呆れの色を浮かべている青年が神殿に向かって歩いてくる。
青年の顔を見た聖女たちは全てを悟った。
「「「「(あぁ…また振り回されたのね…)」」」」
と…。
いつもは真っ赤な血に染まっているはずのアンネリーゼが今日は泥だらけになっている。
しかも後ろには紐に繋がれたあまり美味しくなさそうな青い色をした魔物を引きずっていた。
「えっと…これ??が今日のご飯?」
皆の声を代表してエリザベッタが声を掛けると、まるでプレゼントをもらった子供のような嬉しそうな表情で頷いた。
「んふふ…そうよ!!美味しそうでしょ?」
目の前に出してくるクラーブン。先ほどの見間違いではないようでやはり青い色をしている。そのためか、あまり美味しそうに見えないのは気のせいだろうか。
「「「「(んー…これはアンナを、信じるしかないわね…)」」」」
アンネリーゼの事は大聖女としてはもちろんの事、料理に関しても期待を裏切らないというのは知っている。
もしかしたら見た目が悪いだけなのかも…と思った聖女達はご飯の支度の手伝いをしにアンネリーゼの後を追った。
「ふふ…今日はラファリエールを出る時にもらった野菜も残っているし、外でクラーブン鍋を作りましょう!!」
アンネリーゼは腕まくりをすると業務用冷蔵庫から白菜、長ネギ、しめじ、えのき、人参、しいたけなどあらゆる野菜を取りだしていくとそれを受け取った聖女達が手分けして野菜を切り始めた。
皆が野菜を切ってくれている間に、出汁とお鍋のつゆを作っていく。
調味料は王都やラファリエールにいる時に作ったオリジナルだ。
「出汁は…ロックバードの骨を使おうかな。本当は昆布とかカツオがあればいいんだけど…まだ出会えて居ないのよね。いつか出会えればいいんだけど…。」
料理を作る時は出汁が命。
特に和食を作るとなれば料理によって出汁の取り方も変わるし味も全く変わってくるのだ。
ロックバードの骨を水のなかに入れて火にかける。出来れば2時間以上弱火で煮込みたいところだが、今回はクラーブンがメインなので、1時間と少し短めにした。
出汁を作っている間にクラーブン鍋用のつゆと、クラーブンの下処理をしていく。
大きいサイズの包丁を持ち手足の関節目がけて振り下ろせば胴体と手足がきれいに分かれた。食べやすいように殻に切り込みを入れていけば手足は完成だ。
次に胴体の部分…。
やはりカニといえばカニ味噌だ。そのため、ここだけ外せない。
「んふふ。食べやすいように殻を外して…」
魔石を取り出しておけば準備は万端だ。
あとは盛り付けだけである。
土台となる白菜を敷き詰め、その上に彩りよく野菜やキノコを並べていく。本当は豆腐もあればよかったが時期的に作れないので諦めた。
それから残っていたロックバードのお肉も入れて1番上にクラーブンを載せたら作っておいた出汁とタレをかけ回し、火が通りやすいように鍋に蓋をする。
火にかけてグツグツという音を聞きながら待っていれば煙からいい匂いが神殿の外に充満してきた。
「んふ…んふふ…んふふふ…まさか蟹鍋…じゃなかった。クラーブン鍋が食べられるなんて思ってもいなかったわ!!」
早く煮えないかとお玉と器を手に持ちながら待つ姿はまるで犬がご飯を食べるのを待っている姿にそっくりだ。
聖女たちも初めはクラーブンの色合いをみて半信半疑だったようだが、いい匂いが漂って来てからは大人しく鍋の中身が出来上がるのを待っていた。
それから暫く待っていれば鍋の蓋がカタカタと揺れ始め、中の出汁が溢れ出てきた。
「いい感じね!!さぁ頂きましょうか。」
アンネリーゼの声と同時に蓋を取れば青から赤色に変わったクラーブンが姿を現す。
「「「「「おいしそぉぉぉ~!!!」」」」」
もっと他に言いたいことがあるのではないかと思うが、感動した時こそ単純な言葉しか出なかったりするものだ。皆の声が重なるとその様子を見たアンネリーゼは幸せそうに笑った。
一人一人に盛り付けが終われば、感謝の言葉と祈りの言葉を唱える。
「昼の女神エメラール様。今日という日が無事に終えられたことを感謝いたします。夜を守護する女神ノクスーレ様。皆が新しい朝を迎えることができますようお守りください。豊穣の女神ケレスティナ様に感謝を。」
祈りが終わると同時にクラーブンを食べるアンネリーゼ。
「ん~…ん~…」
言葉にならない声でケルネリウスを叩きながら食べるように促すと、ケルネリウスも恐る恐るクラーブンに手をかけた。
「…うんまっ…」
「美味しい~!!頑張って討伐した甲斐があったわね!!」
この後クラーブンはあっという間に皆の胃袋におさまるのだった。
「んふふ。やっぱり運動後の食事はしあわせぇぇぇぇぇ~~~!!」
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