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食いしん坊聖女。荒地を開拓する②~海の町を復興しよう~
ここに町を作りましょう!
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「うーん。やっぱり、ここに拠点を作った方がいいと思うのよね」
デュオーデキムを討伐してから三日。
アンネリーゼたちは、これからどうするかについて話し合っていた。
どこまでも荒地が続いている、セラフィエル。
プロセルピナ神殿のような建物が、他の地にも残っているのではないか——
そう思っていたアンネリーゼたちだったが、その期待はネプヌス海に向かう道中と、到着してから見事に崩れ落ちた。
しかし、せっかく見つけた海。
まだタコにしか出会っていないアンネリーゼからすれば、これで帰るなんて以ての外である。
それに、セラフィエルの地の瘴気を減らしていくためには、この地を豊かな土地にしていく必要があるだろう。
「そのためには……人をこっちに呼ばなくてはならないぞ?」
「そうなのよね……」
ウプヌス海に来ているのはたった14人…。
人数も多くはないし、一から全てを行おうとすればかなりの時間と労力が必要になって来る。
ケルネリウスの言葉に、アンネリーゼは深くため息をついた。
…
……
………
二人の間を、緩やかな波の音が通り抜ける。
(やっぱり……波の音は癒されるわね)
お互いに今後について考えていれば、アンネリーゼが何か思いついたのか、いそいそと地図を用意すると同時に笑い出した。
「んふ……ふふふ……ふふふふ……」
「……前から思っていたが、その笑い方はどうかと思うぞ?」
「「「「えっ!?」」」」
アンネリーゼ以外の聖女たちにも聞こえていたのか、エリザベッタ以外の全員がケルネリウスの方へと振り返った。
(いや、むしろ良いと思っていたのか……?)
ネプヌス海についてきたエリザベッタを除いて六人。
この六人は、自他ともに認めるアンネリーゼの料理の大ファンであった。
そう——
アンネリーゼの大ファンではない。
アンネリーゼの作る料理の大ファン。
そのためか、魔物を見ると「美味しい魔物になるんだ」と想像してしまい、アンネリーゼと同じような笑い方をしてしまうのだ。
憧れの人に少しでも近づきたくて髪型を真似してしまう……とか、口調を真似してしまう……とか、そういった感じなのだろう。
それが、聖女たちの場合は“笑い方”だった、というわけだ。
お互いに「直した方がいいかも……」なんて考えていたが、ケルネリウスの言葉をアンネリーゼが切れ味の良い包丁の如く、スパッと切り込む。
「そんなこと、別にどうだっていいじゃない。そんな細かいこと気にしてると婚約者に逃げられるわよ……って、私が婚約者だったわね。あ、それよりも私、いいこと思いついたのよ」
すっかり婚約者ということを忘れていたのか、あるいはどうでもいいのか、アンネリーゼは話を続ける。
ケルネリウスもどうでもよくなったのか、アンネリーゼの話を聞く体勢に入った。
「ここを見てちょうだい」
指で示した先には、「ガブエーラ領」とはっきり記載されている。
「あぁ……そういうことか……」
ケルネリウスも、アンネリーゼが何を言いたいのか理解したようだった。
アンネリーゼはこくりと頷くと、そのまま話を続ける。
「そういうこと。なんの縁か、今回キャスバルも同行してくれているし、ちょうどいいと思わない?」
セラフィエル帝国があった頃、この地はガブエーラが治めていたのか、地図にははっきりとその名が記されている。
「……確かにな……」
元々ラファリエール領に住んでいる理由は、セラフィエル帝国が滅びてしまったからに他ならない。
だったら、元々治めていた人たちにその地を還すのが、一番自然なのではないか…そう考えたわけだ。
「……それに、そろそろお父様たちも動いていると思うわ」
そう言いながら、アンネリーゼは地図を指先でなぞりながら、ラファリエールの方へと目を細めた。
その視線の先には、まだ見ぬ動きの気配が、静かに息を潜めていた。
***
「アンナ、お兄様が会いに来たぞぉぉ!」
「アンナなら、いないわよ」
イアンが久しぶりにアンネリーゼに会おうとプロセルピナ神殿を訪れると、アレットに冷たくあしらわれた。
王都にいる時はなかなか会えなかったからか、プロセルピナ神殿への行き来ができるようになってからは、暇さえあれば遊びに来るイアン。
アンネリーゼに会いに来ているのか、はたまたアンネリーゼの食事に会いに来ているのか、そのあたりは、いつも謎である。
ただ、聖女たち全員が思っていることはただひとつ。
(この人……仕事してるんだろうか)
ということだけだった。
「アンナが……いない……だと!? どこに行ったんだ!?」
アレットが淡々と、ネプヌス海に向かったことを告げると、イアンは何か思うところがあったのか、そそくさと神殿を後にした。
(ネプヌス海か……ということは、ガブエーラ領があった地だな)
アレットとイアンは同じ年齢。
そして、誰にも言っていないが、婚約者同士でもある。
アレットがアンネリーゼに付き従っている以上、結婚ができないことは分かっているためか、お互い口に出すことはない。
まぁ、それだけ信頼し合っているということなのだろう。
「ネプヌス海に行ったというだけで、一手も二手も先を考えられるんだから、やっぱりすごいわよね。……まぁ、性格はちょっと面倒だけど」
アレットは、イアンの後ろ姿を見ながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
デュオーデキムを討伐してから三日。
アンネリーゼたちは、これからどうするかについて話し合っていた。
どこまでも荒地が続いている、セラフィエル。
プロセルピナ神殿のような建物が、他の地にも残っているのではないか——
そう思っていたアンネリーゼたちだったが、その期待はネプヌス海に向かう道中と、到着してから見事に崩れ落ちた。
しかし、せっかく見つけた海。
まだタコにしか出会っていないアンネリーゼからすれば、これで帰るなんて以ての外である。
それに、セラフィエルの地の瘴気を減らしていくためには、この地を豊かな土地にしていく必要があるだろう。
「そのためには……人をこっちに呼ばなくてはならないぞ?」
「そうなのよね……」
ウプヌス海に来ているのはたった14人…。
人数も多くはないし、一から全てを行おうとすればかなりの時間と労力が必要になって来る。
ケルネリウスの言葉に、アンネリーゼは深くため息をついた。
…
……
………
二人の間を、緩やかな波の音が通り抜ける。
(やっぱり……波の音は癒されるわね)
お互いに今後について考えていれば、アンネリーゼが何か思いついたのか、いそいそと地図を用意すると同時に笑い出した。
「んふ……ふふふ……ふふふふ……」
「……前から思っていたが、その笑い方はどうかと思うぞ?」
「「「「えっ!?」」」」
アンネリーゼ以外の聖女たちにも聞こえていたのか、エリザベッタ以外の全員がケルネリウスの方へと振り返った。
(いや、むしろ良いと思っていたのか……?)
ネプヌス海についてきたエリザベッタを除いて六人。
この六人は、自他ともに認めるアンネリーゼの料理の大ファンであった。
そう——
アンネリーゼの大ファンではない。
アンネリーゼの作る料理の大ファン。
そのためか、魔物を見ると「美味しい魔物になるんだ」と想像してしまい、アンネリーゼと同じような笑い方をしてしまうのだ。
憧れの人に少しでも近づきたくて髪型を真似してしまう……とか、口調を真似してしまう……とか、そういった感じなのだろう。
それが、聖女たちの場合は“笑い方”だった、というわけだ。
お互いに「直した方がいいかも……」なんて考えていたが、ケルネリウスの言葉をアンネリーゼが切れ味の良い包丁の如く、スパッと切り込む。
「そんなこと、別にどうだっていいじゃない。そんな細かいこと気にしてると婚約者に逃げられるわよ……って、私が婚約者だったわね。あ、それよりも私、いいこと思いついたのよ」
すっかり婚約者ということを忘れていたのか、あるいはどうでもいいのか、アンネリーゼは話を続ける。
ケルネリウスもどうでもよくなったのか、アンネリーゼの話を聞く体勢に入った。
「ここを見てちょうだい」
指で示した先には、「ガブエーラ領」とはっきり記載されている。
「あぁ……そういうことか……」
ケルネリウスも、アンネリーゼが何を言いたいのか理解したようだった。
アンネリーゼはこくりと頷くと、そのまま話を続ける。
「そういうこと。なんの縁か、今回キャスバルも同行してくれているし、ちょうどいいと思わない?」
セラフィエル帝国があった頃、この地はガブエーラが治めていたのか、地図にははっきりとその名が記されている。
「……確かにな……」
元々ラファリエール領に住んでいる理由は、セラフィエル帝国が滅びてしまったからに他ならない。
だったら、元々治めていた人たちにその地を還すのが、一番自然なのではないか…そう考えたわけだ。
「……それに、そろそろお父様たちも動いていると思うわ」
そう言いながら、アンネリーゼは地図を指先でなぞりながら、ラファリエールの方へと目を細めた。
その視線の先には、まだ見ぬ動きの気配が、静かに息を潜めていた。
***
「アンナ、お兄様が会いに来たぞぉぉ!」
「アンナなら、いないわよ」
イアンが久しぶりにアンネリーゼに会おうとプロセルピナ神殿を訪れると、アレットに冷たくあしらわれた。
王都にいる時はなかなか会えなかったからか、プロセルピナ神殿への行き来ができるようになってからは、暇さえあれば遊びに来るイアン。
アンネリーゼに会いに来ているのか、はたまたアンネリーゼの食事に会いに来ているのか、そのあたりは、いつも謎である。
ただ、聖女たち全員が思っていることはただひとつ。
(この人……仕事してるんだろうか)
ということだけだった。
「アンナが……いない……だと!? どこに行ったんだ!?」
アレットが淡々と、ネプヌス海に向かったことを告げると、イアンは何か思うところがあったのか、そそくさと神殿を後にした。
(ネプヌス海か……ということは、ガブエーラ領があった地だな)
アレットとイアンは同じ年齢。
そして、誰にも言っていないが、婚約者同士でもある。
アレットがアンネリーゼに付き従っている以上、結婚ができないことは分かっているためか、お互い口に出すことはない。
まぁ、それだけ信頼し合っているということなのだろう。
「ネプヌス海に行ったというだけで、一手も二手も先を考えられるんだから、やっぱりすごいわよね。……まぁ、性格はちょっと面倒だけど」
アレットは、イアンの後ろ姿を見ながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
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