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結婚生活1ヶ月目。
本邸は想像以上でした。
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メイド服に着替えるとカヤさんは仕事について簡単に説明をしてくれた。
「就業時間だけど、朝の5時から夜の21時まで。人が少ないから休みもほとんどなし。ただ申請すれば休めなくはないわ。あとは基本通いね。家はここから遠くない?以前は部屋を用意してくれていたみたいなんだけど、奥様が屋敷の中に女性がいるのが嫌とかで全員21時になったら追い出されるから気を付けて。」
通常侍女たちは住み込みで働いていることが多い。家庭などある人は別だったりするけれど、ここまで徹底して通いなんてなかなかないことだ。こんなに部屋が余っているというのに…
「大丈夫です。家も遠くないので通えます。」
「ならよかった。今はメイドも私とメイド長…メイド長はさっきあなたを面接した人ね。あと別で3人いるんだけれど…ゆくゆく紹介するわ。今は皆自分の持ち場の仕事するので精一杯なのよ。それで、ミアは何か得意な仕事とかある?」
メイドは5人しかいないらしい…それは、エントランス含めて埃だらけになるというものだ。この広さは最低でも15人以上はいないと手が回らないのではないだろうか…。ファレノプシス家でさえ、15人でローテーションしているし、それとは別に従者や執事もいる。
「そうですね…一通り家事は行えますが…掃除と裁縫が得意かと…」
「掃除が得意なのね!」
料理なども一通りできるけど、貴族が食べるような手の込んだ料理を作るのは難しい。モニカならできそうだけど…。
「は、はははい!得意です!」
「丁度掃除の担当が居なくなって困っていたの。だから掃除をお願い。掃除は使われている部屋だけで大丈夫だから。あとは毎日は無理だと思うから…そこはうまく自分で決めて行って頂戴。」
え?掃除が毎日無理って…どういうことだろうか。
しかも使われている部屋だけって…もしかして一人で掃除をするということ!?
なんだかファレノプシス家とは勝手が違いすぎて理解に時間がかかる。
「掃除ですね!わかりました。因みに他にも掃除を担当している方は…」
「他に掃除する人は……」
これだけ広いところを1人でなんて無理があると思うけど…
「残念ながらいないの…」
…
……
………
「で、で、ですよねぇ~…ハハハ」
思わず乾いた笑い声が出てくる。
5人しかメイドが居ないと言っていたし、まさかとは思っていたがそのまさかでした。
だからいたるところ埃だらけだったんですね…
なんだか納得です。
「わ、わかりました。」
「ありがとう。掃除道具の場所については後でこの屋敷を案内するときに教えるから。」
掃除の担当であれば色々な部屋に入り込めるし、調べやすくなるはずだ。一人でやるのは大変だけど、取り敢えず調査しやすくなる部分だけは前向きに捉えて頑張ることに決めた…。
「メイドが別にいることは分かりましたけど…従者とか執事は居ないのですか…?」
「ふふ…執事と従者は…数年前に全員辞めたのよ。」
全員辞めたって…何があればそんなことに…?門兵は先ほど立っていたと思ったけど。
「え…!?門兵は先ほど立っていたと思うのですが…」
「あれはある商会に頼んで派遣してもらっているの…だからこの家に雇われているという感じではないわね。その分お金もかかっているはずよ。この家のことは追々教えてあげるわ…」
ある商会…それは私の商会ですね。私の商会では商品なども販売しているが、それだけではない。
侍女や、執事、衛兵を派遣する事業も手掛けているのだ。スタッフは全員ファレノプシス家での教育を受けているためクオリティもとても高い。さらに商会を通して人材を派遣するということもあり、少し割高ではあるもののちょっと人でが足りない時などに利用するお客様が多くいらっしゃるのだ。貴族だけでなく少しお金を持っている平民の方も利用してくれている。
「そうだったんですね…人が足りないのならメイドなどもそこから雇えばいいのではないのですか…?」
「それがね…奥様が嫌がるのよ…。ほら、スタッフを選べるわけじゃないでしょ?自分よりかわいい人が来るのが嫌みたい…だから貴方も見た目に気をつけなさい。今のままであれば大丈夫だと思うけれどね…」
「わかりました…気を付けます。因みにその奥様というのは…」
「あ、あとで顔合わせがあると思うからその時に会えるわ…いい?絶対吃驚しちゃだめだからこれだけは覚えておいて?着替えと説明は終わったし…そろそろ屋敷の中を案内するわね。」
あとで一応顔合わせはあるらしいけど、一体どんな人が現れるのだろうか。自分よりかわいい人が来ると嫌だということは…相当自分に自信がないのか…。
まさか先程覗いてしまった相手がジェラールの子猫ちゃん…なんてことはないだろう。
と思っていたのも束の間…
まさかの顔合わせに現れたのは…
先程、ジェラールが甘えていて、父親くらいの年の女性だったのです。
「あら…あなたが新しく入ったメイドね。私はジェラールの恋人、アニエスと申します。貴方ならジェラールの好みとはかけ離れているし大丈夫そうね。これからよろしくお願いいたします。」
「ミアと申します。こちらこそよろしくお願いいたします。」
まさか、ジェラールの子猫ちゃんがこんなに熟した方だったとは思いもしませんでした。
「就業時間だけど、朝の5時から夜の21時まで。人が少ないから休みもほとんどなし。ただ申請すれば休めなくはないわ。あとは基本通いね。家はここから遠くない?以前は部屋を用意してくれていたみたいなんだけど、奥様が屋敷の中に女性がいるのが嫌とかで全員21時になったら追い出されるから気を付けて。」
通常侍女たちは住み込みで働いていることが多い。家庭などある人は別だったりするけれど、ここまで徹底して通いなんてなかなかないことだ。こんなに部屋が余っているというのに…
「大丈夫です。家も遠くないので通えます。」
「ならよかった。今はメイドも私とメイド長…メイド長はさっきあなたを面接した人ね。あと別で3人いるんだけれど…ゆくゆく紹介するわ。今は皆自分の持ち場の仕事するので精一杯なのよ。それで、ミアは何か得意な仕事とかある?」
メイドは5人しかいないらしい…それは、エントランス含めて埃だらけになるというものだ。この広さは最低でも15人以上はいないと手が回らないのではないだろうか…。ファレノプシス家でさえ、15人でローテーションしているし、それとは別に従者や執事もいる。
「そうですね…一通り家事は行えますが…掃除と裁縫が得意かと…」
「掃除が得意なのね!」
料理なども一通りできるけど、貴族が食べるような手の込んだ料理を作るのは難しい。モニカならできそうだけど…。
「は、はははい!得意です!」
「丁度掃除の担当が居なくなって困っていたの。だから掃除をお願い。掃除は使われている部屋だけで大丈夫だから。あとは毎日は無理だと思うから…そこはうまく自分で決めて行って頂戴。」
え?掃除が毎日無理って…どういうことだろうか。
しかも使われている部屋だけって…もしかして一人で掃除をするということ!?
なんだかファレノプシス家とは勝手が違いすぎて理解に時間がかかる。
「掃除ですね!わかりました。因みに他にも掃除を担当している方は…」
「他に掃除する人は……」
これだけ広いところを1人でなんて無理があると思うけど…
「残念ながらいないの…」
…
……
………
「で、で、ですよねぇ~…ハハハ」
思わず乾いた笑い声が出てくる。
5人しかメイドが居ないと言っていたし、まさかとは思っていたがそのまさかでした。
だからいたるところ埃だらけだったんですね…
なんだか納得です。
「わ、わかりました。」
「ありがとう。掃除道具の場所については後でこの屋敷を案内するときに教えるから。」
掃除の担当であれば色々な部屋に入り込めるし、調べやすくなるはずだ。一人でやるのは大変だけど、取り敢えず調査しやすくなる部分だけは前向きに捉えて頑張ることに決めた…。
「メイドが別にいることは分かりましたけど…従者とか執事は居ないのですか…?」
「ふふ…執事と従者は…数年前に全員辞めたのよ。」
全員辞めたって…何があればそんなことに…?門兵は先ほど立っていたと思ったけど。
「え…!?門兵は先ほど立っていたと思うのですが…」
「あれはある商会に頼んで派遣してもらっているの…だからこの家に雇われているという感じではないわね。その分お金もかかっているはずよ。この家のことは追々教えてあげるわ…」
ある商会…それは私の商会ですね。私の商会では商品なども販売しているが、それだけではない。
侍女や、執事、衛兵を派遣する事業も手掛けているのだ。スタッフは全員ファレノプシス家での教育を受けているためクオリティもとても高い。さらに商会を通して人材を派遣するということもあり、少し割高ではあるもののちょっと人でが足りない時などに利用するお客様が多くいらっしゃるのだ。貴族だけでなく少しお金を持っている平民の方も利用してくれている。
「そうだったんですね…人が足りないのならメイドなどもそこから雇えばいいのではないのですか…?」
「それがね…奥様が嫌がるのよ…。ほら、スタッフを選べるわけじゃないでしょ?自分よりかわいい人が来るのが嫌みたい…だから貴方も見た目に気をつけなさい。今のままであれば大丈夫だと思うけれどね…」
「わかりました…気を付けます。因みにその奥様というのは…」
「あ、あとで顔合わせがあると思うからその時に会えるわ…いい?絶対吃驚しちゃだめだからこれだけは覚えておいて?着替えと説明は終わったし…そろそろ屋敷の中を案内するわね。」
あとで一応顔合わせはあるらしいけど、一体どんな人が現れるのだろうか。自分よりかわいい人が来ると嫌だということは…相当自分に自信がないのか…。
まさか先程覗いてしまった相手がジェラールの子猫ちゃん…なんてことはないだろう。
と思っていたのも束の間…
まさかの顔合わせに現れたのは…
先程、ジェラールが甘えていて、父親くらいの年の女性だったのです。
「あら…あなたが新しく入ったメイドね。私はジェラールの恋人、アニエスと申します。貴方ならジェラールの好みとはかけ離れているし大丈夫そうね。これからよろしくお願いいたします。」
「ミアと申します。こちらこそよろしくお願いいたします。」
まさか、ジェラールの子猫ちゃんがこんなに熟した方だったとは思いもしませんでした。
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