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出国
カンパリ領⑦ エドワード視点
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大きな音が聞こえてから随分と長い間意識を失っていたらしい。見たところ大きなケガはしていないように感じるが、頭を打ったのか頭が少し痛かった。状況を整理するために色々考えていると、メーデがいないことに気が付いた。
扉もい開いているしもしかしたら外に放り出されたのかもしれないと思ってすごく焦ったが、現状動くことが難しいということもあり、おとなしくこのまま待つことにした。
少し時間がたったころ、前に座っていたユナリーの呻き声が聞こえた。
おそらくユナリーも頭を打って意識を失っていたのだろう...
「ユナリー。僕の声が聞こえるかい?どうやら崩落に巻き込まれたようだ。ケガはないかい?」話しかけると少しずつ意識が覚醒し始めたのだろう。
「エドワード様。申し訳ございません。頭を強く打ったようで意識を失っておりました。頭を打った以外は無事でございます。クッションが柔らかかったこともあり大きなケガにはならなかったようです。ただ、隣に座っていたメレナーデお嬢様がいらっしゃいません。お嬢様はどちらに...?」
どこまでも忠実な侍女であるユナリーはメーデの心配をしているようだ。ただ、お互い満身創痍。無理して外に出るわけにもいかず、今はこのまま待っていようということになった。
少し時間を待っていると外から声が聞こえてきた。
「お兄様!ユナリーただいま戻りました!ご無事ですか!?助けを呼んでまいりました。」
僕もユナリーも元気なメーデの声をきいてほっと息を吐いた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
メレナーデ視点
外で待っていると、馬車の中から二人が出てきた。どうやら助けを呼びに行った間に意識が戻ったようだ。頭は打ったものの足取りも問題なく、ほかにけがもなさそうで安心した。ただ、頭を打っているということもあるため念のため医院で診察してもらうことになった。
医院につくと。すぐに診察が始まった。私は軽い擦り傷などがあったもののそれ以外は特に問題なさそうだった。ユナリーとお兄様も頭の傷は少し深く5針ほど縫ったもののそれ以外は問題ないらしい。これもクッションの柔らかさと、車部分の衝撃が普段の馬車より少なかったからだそうだ。
護衛をしてくれていたギルドの方たちは、骨折などしていたものの命に別状はないそうだ。けが人は出たものの誰も亡くなったりしなかったことに安堵の息を吐いた。
ユナリーとお兄様3人でこの場の状況を見ていると、ジン様が近寄ってきた。
「エド。無事でよかったよ。とりあえずこの場の話はまとまったから、町に戻ろう。俺も一緒に戻るよ。」
この場を仕切ってくれていたのはジン様だ。私はただ見ていることしかできなかった。
「ジン。色々とありがとう。紹介が遅くなってすまないが、メーデの侍女のユナリーと妹のメレナーデだ。二人はもう挨拶を済ませているかもしれないが...ジンが近くにいてくれて助かったよ。」
二人の話を聞いている限り本当に親しい友人なんだとおもう。ここで出会えたのがジン様でよかった。
扉もい開いているしもしかしたら外に放り出されたのかもしれないと思ってすごく焦ったが、現状動くことが難しいということもあり、おとなしくこのまま待つことにした。
少し時間がたったころ、前に座っていたユナリーの呻き声が聞こえた。
おそらくユナリーも頭を打って意識を失っていたのだろう...
「ユナリー。僕の声が聞こえるかい?どうやら崩落に巻き込まれたようだ。ケガはないかい?」話しかけると少しずつ意識が覚醒し始めたのだろう。
「エドワード様。申し訳ございません。頭を強く打ったようで意識を失っておりました。頭を打った以外は無事でございます。クッションが柔らかかったこともあり大きなケガにはならなかったようです。ただ、隣に座っていたメレナーデお嬢様がいらっしゃいません。お嬢様はどちらに...?」
どこまでも忠実な侍女であるユナリーはメーデの心配をしているようだ。ただ、お互い満身創痍。無理して外に出るわけにもいかず、今はこのまま待っていようということになった。
少し時間を待っていると外から声が聞こえてきた。
「お兄様!ユナリーただいま戻りました!ご無事ですか!?助けを呼んでまいりました。」
僕もユナリーも元気なメーデの声をきいてほっと息を吐いた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
メレナーデ視点
外で待っていると、馬車の中から二人が出てきた。どうやら助けを呼びに行った間に意識が戻ったようだ。頭は打ったものの足取りも問題なく、ほかにけがもなさそうで安心した。ただ、頭を打っているということもあるため念のため医院で診察してもらうことになった。
医院につくと。すぐに診察が始まった。私は軽い擦り傷などがあったもののそれ以外は特に問題なさそうだった。ユナリーとお兄様も頭の傷は少し深く5針ほど縫ったもののそれ以外は問題ないらしい。これもクッションの柔らかさと、車部分の衝撃が普段の馬車より少なかったからだそうだ。
護衛をしてくれていたギルドの方たちは、骨折などしていたものの命に別状はないそうだ。けが人は出たものの誰も亡くなったりしなかったことに安堵の息を吐いた。
ユナリーとお兄様3人でこの場の状況を見ていると、ジン様が近寄ってきた。
「エド。無事でよかったよ。とりあえずこの場の話はまとまったから、町に戻ろう。俺も一緒に戻るよ。」
この場を仕切ってくれていたのはジン様だ。私はただ見ていることしかできなかった。
「ジン。色々とありがとう。紹介が遅くなってすまないが、メーデの侍女のユナリーと妹のメレナーデだ。二人はもう挨拶を済ませているかもしれないが...ジンが近くにいてくれて助かったよ。」
二人の話を聞いている限り本当に親しい友人なんだとおもう。ここで出会えたのがジン様でよかった。
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