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第3章 はぁ。
第20話 2人は元気
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『その為政府は、日本への入国に規制を掛ける方針です』
「「……え?」」
入国に規制を掛ける? それって…
「…ママ達帰って来れないの?」
そこには心配そうに眉を顰めながらテレビを見ている葵の姿があった。
さっきまでの何処か安堵した様な表情はもう存在しなかった。
さっきまであんな話をしていたんだ。大げさに言えば、いきなり天国から地獄に落とされたもんだ。悲しくもなる…とりあえずは、
「まず、親父に連絡してみよう。これからどうするのか、親父達は無事なのか」
俺は落ち着いて、スマホを取り出す。
プルルルル プルルルル
『おー! 世理か、どうした?』
「親父、今大丈夫か?」
『俺はいつでも元気に決まってるだろ!!』
「あー…今時間は大丈夫か聞いたつもりだったんだけど…まぁいいか。元気でなによりだ」
『何だ? それで電話したのか? 』
「いや、それが
『世理もちゃんと俺の事を心配してくれるように…!!』
「海外で
『あの世理が!!』
「……切るわ」
「ちょっとダメですよ!!」
俺が自然と通話を切ってしまう所で、葵が俺の腕を取り、それを止める。
…危ない。親父のあまりのウザさに切るところだった。
葵は俺の腕を持ったまま、俺からスマホを奪い取る。
「聡さん、お久りぶりです。葵です」
『おー! 葵ちゃん! 久しぶり!!』
「今お話ししたいことがあるんですけど大丈夫ですか?」
『どうしたの?』
なんてスムーズな話し方だ。それと同時に焦っているようにも見える。
葵の表情は声とは裏腹に暗い。
「海外で今新型のウイルスが流行してるって見たんですけど…そちらは大丈夫なんですか?」
『あぁ、その事か。心配しなくていいぞ。こっちはそんなに流行っていない。最近は家から出ていなかったしな』
先程とは打って変わって真面目に答える親父。それに不安を覚えたのか、心配そうに此方を見つめる葵。
俺はそれに対して、大丈夫だと頷く。
こういう時大丈夫じゃないなら、笑って大げさに誤魔化す筈だ。
「ふぅ。では聡さん達は元気でやっているんですね?」
葵は少し落ち着いた様子で親父に聞く。
『あぁ、心配しなくても大丈夫だよ。ただ家に帰るのはもう少し後になりそうだ』
まぁ、親父達を通して日本でも流行ったら大変だからな。
「分かりました。では、今度は聡さんも一緒にビデオ通話をしましょうね」
『…ハハッ! 時間が合ったらな!』
親父はそう言って、通話を切った。
最後ちょっと…まぁ、いいか。
俺は少し不思議に思いながらも、何も言わずに居た。
「2人は無事みたいですね」
大きく息を吐き、先程よりも表情が和らいでいる葵。
「あぁ。少しは安心したな」
「はい…ただ…いえ、良かったです」
葵はしどろもどろしながらも、視線を下に向ける。
…帰ってくるの楽しみにしてたんだな。でも仕方ない。これは国が決めた事だ。
そう割り切って俺は大きく息を吐いた。
そして俺は徐ろに口を開く。
「…ちょっと言いづらいんだけどさ」
「なんですか?」
上目遣いの葵の顔が近くに迫る。
「…腕、離さない?」
そう。葵は俺が電話を切るのを防いでから、ずっと俺の腕を掴んでいたのだ。だから今、めちゃくちゃ葵の顔は近くにある。
「な、ななななっ!」
(…南無三)
葵の顔が紅潮して行く中で、俺は悟りを開く。
殴られる。
大丈夫。我慢だ…我慢しろ。俺はやれば出来る子だ。
そう我慢するが、拳はいつまで経ってもやって来ない。
プッ…シュ~~~!!
「ち、近いです…!」
ドンッ
俺はゆっくりと目を開けると、葵に両手で突き放される。そして葵はまた席に着き、残っているご飯を食べ始めた。
「えっと、ごめん」
「…もぐもぐ」
葵は何も言わず、無言で食べ続けるのだった。
「「……え?」」
入国に規制を掛ける? それって…
「…ママ達帰って来れないの?」
そこには心配そうに眉を顰めながらテレビを見ている葵の姿があった。
さっきまでの何処か安堵した様な表情はもう存在しなかった。
さっきまであんな話をしていたんだ。大げさに言えば、いきなり天国から地獄に落とされたもんだ。悲しくもなる…とりあえずは、
「まず、親父に連絡してみよう。これからどうするのか、親父達は無事なのか」
俺は落ち着いて、スマホを取り出す。
プルルルル プルルルル
『おー! 世理か、どうした?』
「親父、今大丈夫か?」
『俺はいつでも元気に決まってるだろ!!』
「あー…今時間は大丈夫か聞いたつもりだったんだけど…まぁいいか。元気でなによりだ」
『何だ? それで電話したのか? 』
「いや、それが
『世理もちゃんと俺の事を心配してくれるように…!!』
「海外で
『あの世理が!!』
「……切るわ」
「ちょっとダメですよ!!」
俺が自然と通話を切ってしまう所で、葵が俺の腕を取り、それを止める。
…危ない。親父のあまりのウザさに切るところだった。
葵は俺の腕を持ったまま、俺からスマホを奪い取る。
「聡さん、お久りぶりです。葵です」
『おー! 葵ちゃん! 久しぶり!!』
「今お話ししたいことがあるんですけど大丈夫ですか?」
『どうしたの?』
なんてスムーズな話し方だ。それと同時に焦っているようにも見える。
葵の表情は声とは裏腹に暗い。
「海外で今新型のウイルスが流行してるって見たんですけど…そちらは大丈夫なんですか?」
『あぁ、その事か。心配しなくていいぞ。こっちはそんなに流行っていない。最近は家から出ていなかったしな』
先程とは打って変わって真面目に答える親父。それに不安を覚えたのか、心配そうに此方を見つめる葵。
俺はそれに対して、大丈夫だと頷く。
こういう時大丈夫じゃないなら、笑って大げさに誤魔化す筈だ。
「ふぅ。では聡さん達は元気でやっているんですね?」
葵は少し落ち着いた様子で親父に聞く。
『あぁ、心配しなくても大丈夫だよ。ただ家に帰るのはもう少し後になりそうだ』
まぁ、親父達を通して日本でも流行ったら大変だからな。
「分かりました。では、今度は聡さんも一緒にビデオ通話をしましょうね」
『…ハハッ! 時間が合ったらな!』
親父はそう言って、通話を切った。
最後ちょっと…まぁ、いいか。
俺は少し不思議に思いながらも、何も言わずに居た。
「2人は無事みたいですね」
大きく息を吐き、先程よりも表情が和らいでいる葵。
「あぁ。少しは安心したな」
「はい…ただ…いえ、良かったです」
葵はしどろもどろしながらも、視線を下に向ける。
…帰ってくるの楽しみにしてたんだな。でも仕方ない。これは国が決めた事だ。
そう割り切って俺は大きく息を吐いた。
そして俺は徐ろに口を開く。
「…ちょっと言いづらいんだけどさ」
「なんですか?」
上目遣いの葵の顔が近くに迫る。
「…腕、離さない?」
そう。葵は俺が電話を切るのを防いでから、ずっと俺の腕を掴んでいたのだ。だから今、めちゃくちゃ葵の顔は近くにある。
「な、ななななっ!」
(…南無三)
葵の顔が紅潮して行く中で、俺は悟りを開く。
殴られる。
大丈夫。我慢だ…我慢しろ。俺はやれば出来る子だ。
そう我慢するが、拳はいつまで経ってもやって来ない。
プッ…シュ~~~!!
「ち、近いです…!」
ドンッ
俺はゆっくりと目を開けると、葵に両手で突き放される。そして葵はまた席に着き、残っているご飯を食べ始めた。
「えっと、ごめん」
「…もぐもぐ」
葵は何も言わず、無言で食べ続けるのだった。
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