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第1章 この国、最悪
第6話 魔法訓練場
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まだ朝露が乾き切っていない頃、カーシュとアルドは外にある魔法訓練場へと来ていた。
魔法訓練場は300メートル程のトラックが入る程の広場で、相手と見立てた藁人形や土嚢が積まれた壁がまばらに散らばっていた。
カーシュは少し肌寒さを感じながら、体をさする。
(う~む…流石にビクター×アルドはちょっとなぁ…父親で想像しても流石に…)
アルドの背中を見ながら、妄想にふけるカーシュ。カーシュはハッキリ言って魔法にはあまり興味がなかった。
それなのに何故アルドの手を引っ張る程に魔法の事を学ぼうとしているのか。
それは「アルドと仲良くなる為」である。
アルドは何と言ってもこの国の魔法師団副団長。顔も広い事だろう。
つまり、アルドと仲良くなれば色々な男の人と接する機会が増え、色々なBL化妄想が膨らむのだ。
(むふふっ)
カーシュが鼻穴を膨らましていると、アルドが立ち止まる。
「ここなら大丈夫でしょう。始めましょうか」
「あ、は、はい」
カーシュ達が何故訓練場に来ているか。
それは魔法を教わろうとカーシュが部屋に行こうとすると、急に外に行きましょうと、アルドが言ってきたからだった。
(…おっと、そうだ。魔法、魔法っと)
本来の目的を思い出し、カーシュが口を開く。
「アルドさん、まずは魔法の事をよく知る事から始めたいので勉強から始めたいんですけど…」
恐る恐るとだが、カーシュは問い掛ける。
ガテン系受けっぽい男と分かったとは言え、まだ怖いものは怖いのだ。
しかし、アルドはそれを気にした様子もなく答える。
「ハッキリ言って、私は座りながら魔法を教える事は出来ません。質問があったら逐一聞いてください。私もこうして教わりました」
そうハッキリと言うと、アルドは掌を上に向けて話し出した。
「魔法。それは己の体内にある魔素を使い、現象を起こす事を言います」
アルドの掌に拳大ぐらいの水球が出来る。
地球ではない、異世界だからこその魔法。
それにカーシュは目を輝かせた。
「…その、魔素って言うのは?」
「魔素は体の中、自然でも存在する、力の源と言いますか…表現が難しいですが魔法を行使する際には絶対に必要なものです」
火を付ける時の酸素、みたいな物だろうか。
「男だったら誰でも魔素はあるの?」
「普通の男なら魔素器官が備わっているので」
「魔素器官? それは何処にあるの?」
「身体の中心…へそ辺りに感覚を感じます」
「え? それってーー」
カーシュの質問が2、3個続いた辺りで、アルドは寡黙に口先に人差し指を立てる。
「一先ず質問はここまで…次に行きます」
(……今の仕草! よくセシムがやってたやつだぁっ!!)
前世のゲームの事を思い出しながら興奮していると、その隙にアルドが出していた水球を無くし、カーシュの両手を掴む。
「あ、あの…?」
「目を閉じて…感じて下さい」
そう言われてカーシュは平静に目を閉じる。
しかし、中身は平静を保てていなかった。
(な、何を感じるんですかぁっ!?!? ふおぉぉぉぉぉっ!!?)
声にならない声を挙げていると、アルドの手から温かい何かが流れ込んでいる。
(あ……これが魔素ってやつかな…)
「……なるほど」
「え、どうしたんですか?」
「…後日話しましょう。今日はここまでです」
「えぇ…」
しかしアルドは、呆然とするカーシュを背に小走りで王城へと走っていくのだった。
魔法訓練場は300メートル程のトラックが入る程の広場で、相手と見立てた藁人形や土嚢が積まれた壁がまばらに散らばっていた。
カーシュは少し肌寒さを感じながら、体をさする。
(う~む…流石にビクター×アルドはちょっとなぁ…父親で想像しても流石に…)
アルドの背中を見ながら、妄想にふけるカーシュ。カーシュはハッキリ言って魔法にはあまり興味がなかった。
それなのに何故アルドの手を引っ張る程に魔法の事を学ぼうとしているのか。
それは「アルドと仲良くなる為」である。
アルドは何と言ってもこの国の魔法師団副団長。顔も広い事だろう。
つまり、アルドと仲良くなれば色々な男の人と接する機会が増え、色々なBL化妄想が膨らむのだ。
(むふふっ)
カーシュが鼻穴を膨らましていると、アルドが立ち止まる。
「ここなら大丈夫でしょう。始めましょうか」
「あ、は、はい」
カーシュ達が何故訓練場に来ているか。
それは魔法を教わろうとカーシュが部屋に行こうとすると、急に外に行きましょうと、アルドが言ってきたからだった。
(…おっと、そうだ。魔法、魔法っと)
本来の目的を思い出し、カーシュが口を開く。
「アルドさん、まずは魔法の事をよく知る事から始めたいので勉強から始めたいんですけど…」
恐る恐るとだが、カーシュは問い掛ける。
ガテン系受けっぽい男と分かったとは言え、まだ怖いものは怖いのだ。
しかし、アルドはそれを気にした様子もなく答える。
「ハッキリ言って、私は座りながら魔法を教える事は出来ません。質問があったら逐一聞いてください。私もこうして教わりました」
そうハッキリと言うと、アルドは掌を上に向けて話し出した。
「魔法。それは己の体内にある魔素を使い、現象を起こす事を言います」
アルドの掌に拳大ぐらいの水球が出来る。
地球ではない、異世界だからこその魔法。
それにカーシュは目を輝かせた。
「…その、魔素って言うのは?」
「魔素は体の中、自然でも存在する、力の源と言いますか…表現が難しいですが魔法を行使する際には絶対に必要なものです」
火を付ける時の酸素、みたいな物だろうか。
「男だったら誰でも魔素はあるの?」
「普通の男なら魔素器官が備わっているので」
「魔素器官? それは何処にあるの?」
「身体の中心…へそ辺りに感覚を感じます」
「え? それってーー」
カーシュの質問が2、3個続いた辺りで、アルドは寡黙に口先に人差し指を立てる。
「一先ず質問はここまで…次に行きます」
(……今の仕草! よくセシムがやってたやつだぁっ!!)
前世のゲームの事を思い出しながら興奮していると、その隙にアルドが出していた水球を無くし、カーシュの両手を掴む。
「あ、あの…?」
「目を閉じて…感じて下さい」
そう言われてカーシュは平静に目を閉じる。
しかし、中身は平静を保てていなかった。
(な、何を感じるんですかぁっ!?!? ふおぉぉぉぉぉっ!!?)
声にならない声を挙げていると、アルドの手から温かい何かが流れ込んでいる。
(あ……これが魔素ってやつかな…)
「……なるほど」
「え、どうしたんですか?」
「…後日話しましょう。今日はここまでです」
「えぇ…」
しかしアルドは、呆然とするカーシュを背に小走りで王城へと走っていくのだった。
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